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自他一体の信仰を生きる
相次ぐ異常気象
昨年3月の東日本大震災以来、9月の和歌山県の記録的な豪雨、今年2月の豪雪や4月の爆弾低気圧など、激しい異常気象が日本列島を襲い、海外でも昨年のタイ洪水等、地球温暖化に伴う集中豪雨や洪水、干ばつなどがここ数年、各地で頻発しています。しかし、これらの現象はほんの序章にすぎず、さらなる異常気象が地球上を覆う可能性も高いといわれています。もはや「未曾有」という言葉ですら陳腐に感じられる 21世紀、ある科学者は、地球の気温は20年以内に2度上昇し、50年後には4度を突破、深刻な食糧危機で人類は存亡の危機に直面する、とまで言っています。
こういう報道を見聞きするにつけ、総裁・谷口雅宣先生が 10年以上も前から講習会等で繰り返し説かれ、警鐘を鳴らし続けてこられたことが現実になりつつあることを強く感じます。
私事になりますが、私には5人の子供と1人の可愛い孫がいます。総裁先生のご著書を拝読し、また環境問題に関して多くの識者の声を聞いて地球環境の現状を知れば知るほど、子や孫の生きる未来のことがどうしても気に掛かります。
また世界に目を向けると、発展途上国の人々が、私たち先進国、新興国が原因となって引き起される地球温暖化の影響により、どれほど苦しい状況に追い込まれているか、その悲惨な現実が連日報道されています。世界の飢餓人口は 10億人に達し、何と毎日3万人、1年間では約1,000万人の子どもたちが餓死しているそうです。その一方で、ワールドウォッチ研究所が昨年発表したレポートによると、肥満人口は20億人を超えたといわれています。
信仰の行動化を
大聖師・谷口雅春先生は、本当に宗教的な悟りを得たならば、自他一体の真理を自覚して、「彼の苦しみは私の苦しみである」と相手の苦しみをじかに自分に摂取し、行動しなければならないと、次のように説かれています。
私達光明思想の運動を、ただ神想観をして神にまかせておったらいいというように誤解している人もありますけれども、行動を伴わないような信仰は空念仏であって本当の信仰ではないのであります。本当に信念が出来たら、信念の通りに動き出すという衝動が出来て来なければならない。そしてそれが行動化されなければならない。人間は神の子である。神は人類の親様であり、神において人類は一つのいのちである。自他一体である。
(谷口雅春先生著『信仰の活人剣』 73頁より)
生長の家は立教以来、神さまの御心を地上に顕すために様々な実際運動を展開してきましたが、地球環境保全活動に関しては、平成13年にいち早くISO14001の認証を取得するなど世界の宗教界をリードし、その後も平成19年度より始まった“炭素ゼロ”運動、さらに平成25年度に予定されている「森の中のオフィス」への移転等、過去に類例のない取り組みを行ってきています。
この「森の中のオフィス」については、今年2月 20日の『日本経済新聞』の朝刊に、太陽光やバイオマス(生物資源)発電でエネルギーを自給自足する日本初の「ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」として大きく報道されました。
経済産業省は 2009年に「2030年までに新築の建築物全体でZEB化を実現する」方針を打ち出し、ZEBに近い省エネ性能を備えたビルの普及を後押しする補助金も予算化しています。深刻な電力不安を背景に、建設業界は2020年にはZEBが一般化するとみており、技術開発を急いでいます。
今や大手新聞にも特筆すべき記事として掲載されるようになった生長の家の先駆的な取り組みは、これまでも多くの識者から高い評価を受けてきました。
その1人、東洋大学教授の西山茂氏は「仏教が現代の諸課題にどう取り組んだらいいかを考えるにあたっては、生長の家副総裁(当時)、谷口雅宣先生のご著書に示されている生長の家の最近の指向性が貴重な参考になる(中略)生長の家の取り組みは先駆的で、わが国の神社・寺院・教会・新宗教教団を問わず宗教界が見習うべき模範である」(『生長の家白鳩会』平成 20年5月号18〜19頁)と絶賛しています。
また、世界的な環境問題のスペシャリスト、東京大学名誉教授の山本良一氏は、 2002年に発刊された総裁先生のご著書『今こそ自然から学ぼう』を一読して、その優れた先見性に驚きの声をあげています。
広がる環境保全の取り組みの輪
昨年3月の震災直後、「公共広告機構」のコマーシャルがテレビで繰り返し流れていました。その1つに、電車内で妊婦に席を譲る女性の行為に触発された男子高校生が、石段を昇る老婦人に手を貸してあげるというコマーシャルがありました。1人の女性の親切な行いによって、男子高校生の中に宿る “神性・仏性”が目覚め、他者への思いやりの行動となって現れる、そういうメッセージを私はこのコマーシャルから受け取りました。
同様のことが今、環境保全活動でも起こりつつあります。生長の家の取り組みは、西山氏が「宗教界が見習うべき模範である」といみじくも言われたように、他の宗教団体に少なからぬ影響を与え、徐々に環境への取り組みの輪が宗教界に広がりつつあるように感じます。
ご存知のように立正佼成会は、生長の家に続いて平成 22年2月にISO14001の認証を取得しました。多くの宗教団体と深いつながりを持つ立正佼成会が認証を取得したことの意義は大きく、今後、他の宗教団体にも波及していくと思われます。
また、今年1月8日の『讀賣新聞』には、天台座主と高野山真言宗金剛峯寺の座主が 1,200年に及ぶ両宗の歴史の中で初めて対談したとの記事が掲載されましたが、その中で高野山座主が、“今後、宗教は世界の環境問題にどう取り組むべきか”の問いに対して、「天地万物に神仏が宿るという信仰を持つ両宗派が中核となって、環境への取り組みの輪を広げる。そして無用な自然破壊を阻止し、日常生活を見直す自覚を持ってもらう。宗教界が震災後の日本人の生き方の支柱にならないといけないし、それがこれからの世界を動かすことになると思うのです」と述べています。
宗教界はまさに個々人の「人生いかに生きるべきか」を説くだけではなく、人間をはじめ 3,000万種以上の生物が生きている地球生命圏をいかに存続させるかに全力を尽くすべき時代が到来していると感じるのです。
最新刊『次世代への決断――宗教者が “脱原発”を決めた理由』の中で、総裁・谷口雅宣先生は次のように説かれています。
今この時は、日本を初め世界の各地で、人類が今後どういう方向に進むべきかを深く考える時期である。先進諸国の生き方を拡大すれば、温暖化問題だけでなく、食糧や資源、エネルギーの不足は目に見えている。そういう意味で、私たち日本の国で、 “物不足”“エネルギー不足”のような状態が一時的にでも起こることには意味がある。それによって私たちはこれまでの生活を見直し、ムダ遣いが多く、物質主義的だった生き方を反省し、我々の良き伝統を振り返る。すると我々の先祖は、物質を崇拝する生き方ではなく、物質と見えるものの背後にある神の御心、仏の御心、人々の愛念を認め、できるだけ活かすという物の使い方をずっと長い間やってきた。そういう省資源・省エネ、自然との共存ができる生き方に転換しなければならない。ちょうど私たちの運動も大切な変わり目に来ていますが、この混乱の中から、正しい方向性を見出してしっかりと歩み出さなければいけない。
(同書168〜169頁より)
今こそ、私たちは神の愛、仏の四無量心の具体的実践としての生長の家の環境保全活動に自信を持ち、誇りを持って取り組もうではありませんか。
(平成24年4月15日
記)
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