「あなたの使命は・・・」/相愛会総轄実行委員会委員長 澤田伸史
こんな話があります。ある禅僧が駅で電車を待っているとき、ひとりの学生が近づいてきて、「お尋ね
していいですか」と言う。禅僧が「はあ」と言われると、青年は次のような質問をした。「僕は何をした
ら、いいんですか」と、何をしたら真に生きがいのある人生を送れるかを尋ねたといいます。すると禅僧
は「自分の好きなことしたらいいじゃないか」と答えると青年は、「その自分がわからないから悩んでい
るんです。自分とは何ですか」と聞き返すと禅僧は、「昔から『汝自らを知れ』というが、いちばん身近
にあって、いちばんわかりにくいのが自分だ。時間がないから、結論だけ言おう。君は今から、自分のこ
とは勘定に入れないで、だれかのために自分を献げて生きてごらん。そして他人のために働いて『よかっ
たなあ、幸せだなあ』と思えるような自分がわかったら、それがほんとうの自分だと、わしは思うがな
あ」と答えたと言います。
人はだれでも生きがいのある人生を送りたいと願っています。そうした人の多くが、自分の使命、人生
の目的の手がかりを求めて、あちこちで開かれている講演会やセミナーに参加しているという話をよく聞
きます。
大聖師・谷口雅春先生は、「あなたの使命は何であるか」と題して次ぎのようにご教示くださっていま
す。
「自分の使命が何かわからぬ」などと言うこと勿(なか)れ。今あなたが置かれている時点に於けるその
位置に於いてあなたの眼前(めのまえ)にあるものを解決することが、今あなたに与えられたる使命なので
ある。生涯を通じて一貫して与えられた使命というようなものは、確かに各人にあるのであるけれども、
それは山頂を眺(なが)めるようなものであって、その山頂まで登って行く一歩一歩を健実に歩み行くこと
によってのみその使命の最高峰に到達することができるのである。そして、その使命の最高峰に到達する
までは、“今”の時点に、“今”の位置にある物事に全力を尽すことが今与えられている使命である。
(谷口雅春先生著『人生の秘訣365章』270頁)
このように生長の家を信仰する私たちは、「“今”の時点に、“今”の位置にある物事に全力を尽すこ
とが今与えられている使命である」とご教示いただいておりますから、日々「三正行」の励行から湧き上
がる信仰の喜びをもとに、“今”の位置にある物事に全力を尽し、それぞれの使命を力強く邁進してまい
りましょう。
(2015.11.06、相愛会総轄実行委員長 澤田伸史)