環境ビジネス

ネット(正味)ゼロエネルギーの実現へ

2015年4月18日  

札幌教区栄える会副会頭
高橋正樹

高橋正樹

総裁先生のお話に感銘  環境問題へ取り組み

「私にできる環境問題への取り組み」について発表させていただきます。

私は栄える会に入って23年、相愛会員になって20年近くになります。環境保全活動に取り組むようになったきっかけは、10年以上前に栄える会の繁栄ゼミナールで、岐阜教区の多和田美子講師のお話を聴いて感銘したことです。多和田講師は「自分の会社の無駄を省こうと色々試した結果、気がついたのが、会社で年に数度しか動かしていないものを活用したり、再度、原料として新たな役割を持たせることが、無駄を省くことになり、ひいてはものの命を生かすことにもつながる」「このことに気がついてから、会社の業績が飛躍的に伸びた」と話されていました。

私自身、それまでも「全てのものには神の命が宿っている」と聞いてはいましたが、特に何か実践していたわけではありませんでした。「これはよいお話を聞いた」と思い、さっそく今まで産廃業者に分別しないで捨てていた物を細かく分別して、より多く再資源化できるようにするなど、ものの命を大切にするように心がけました。そのせいか、仕事は順調で、お陰様で仕事上の協力者にも恵まれてきたように思います。

また、今から10年ほど前に日本武道館で開催された全国大会で、当時、副総裁をされていた谷口雅宣先生が、環境問題は地球環境の問題だけに留まらず、食糧危機によって弱者の生命が脅かされていること、エネルギー資源の争奪によって国家間の争いの元にもなっていることなどをお話しになられ、今後、人類が化石燃料に頼る生活を改め、自然エネルギーを主体とした生活に移行していくことが世界の平和にも繋がるとお示しくださいました。さらに、雅宣先生がご自宅にも太陽光発電装置を設置したとお話しになられたのを聞いて、とても感銘を受けました。

さまざまな技術的課題を乗り越えて

私は住宅設備全般を仕事にしていますので、生活に関わるエネルギーを自然エネルギーにするためには何ができるだろうかと考えました。太陽光発電装置やヒートポンプ技術、つまり主に気体の圧縮・膨張と熱交換を組み合わせることで低温部分から高温部分へ熱を移動させる技術によって給湯や暖房の熱源を大気中や地中から採取する方法などがありましたが、どれもが高額の設備投資が必要なため、普及には色々と問題がありました。

幸い、私の会社は機器メーカーの工事協力店でもありましたので、発売前に使い勝手などを評価してもらうフィールドテスト段階から関わることができたり、他の機器メーカーが、ドイツの会社から床暖房に関係する制御装置を輸入するに当たり、会社訪問への同行を頼まれ、2度ドイツに行き、暖房設備の先進国の技術的な話を聞くことができました。その結果、低温水による暖房が可能なことや、暖房端末が接続されたシステム内を循環する熱媒体の加熱をヒートポンプによって行う、ヒートポンプ熱源システムと上手く適合することが分かりました。

ヒートポンプでCO2を削減  高評価で実績を伸ばす

先ずは自宅で試してみようと思い、屋上に太陽光発電装置を設置したり、ヒートポンプ式給湯機、いわゆるエコキュートや、ヒートポンプ式の暖房設備を取り入れました。これは、今のスマートハウスにCO2排出削減のためにITを活用して家庭内のエネルギー消費が最適に制御された省エネ住宅の原型になりました。成果は、人に話しても疑われる程の高いものになりました。

同業者が「ヒートポンプなんて売れないよ!」という中、少しずつ実績を増やし、5、6年前には国の政策でNEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)や、SII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)が代行機関として「高効率機器導入推進の補助金事業」を始めたのを機に、削減システムの認定を取り、実績を伸ばすことができました。北海道から申請された件数の6割ぐらいに、当社が関わるまでになりました。

ネット(正味)ゼロの実現へ  地中ヒートポンプシステムの施行

2年前の2012年から始まった、省エネの工夫で消費エネルギーを減らし、使うエネルギーを自ら作り出す住宅、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの支援事業にもチャレンジしたところ、一昨年に1棟、昨年も1棟、採択されました。北海道は暖房に使用するエネルギーの割合が大きく、ネット・ゼロ、つまりエネルギー消費が正味ゼロを実現するのは難しいと言われていましたし、スタートをした一昨年の段階では、北海道からの採択は5件くらいの狭き門でした。

しかし、昨年、ついに「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業」に地下水利用の融雪槽を使った地中ヒートポンプシステム、つまり地中からの自然エネルギーをヒートポンプで採熱して有効活用するシステムが高効率であると認められ、我社のシステムが「その他の省エネルギーシステム」に採択されました。現在、全国で9件しか採択されていません。また「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業」の対象ではありませんが、昨年、そのシステムを利用した暖房設備工事を施工することができました。

その他、太陽光発電装置の設置も年間30件近く行っていますし、当社の社屋や倉庫の屋根にも太陽光発電装置を設置し、電気の使用量軽減を計っています。さらに、北海道太陽光普及協会を通して、道庁などの依頼で各地での講習の講師として参加し、太陽光発電装置の普及促進に努めています。

新たな取り組みへ  ITを駆使したアパート建設へ

新たな取り組みとしては、昨年末から、ITを駆使してエネルギーを賢く制御して使う、スマートタイプのアパートを建設中です。これは、屋根に太陽光発電装置を設置し、暖房に寒冷地ヒートポンプエアコン、給湯にヒートポンプ式エコキュート、換気に室内の暖かい空気の熱を50%以上回収する換気装置をそれぞれ装備し、さらに照明はLED照明器具を全箇所に採用した、北海道では初となるスマートタイプのアパートのことで、今年4月初めについに完成しました。

2棟建つうちの1棟のアパートは、入居者が太陽光発電の恩恵を直接受ける仕組みになっていますので、入居者の環境意識が高くなる効果も期待できると思います。積雪地の問題もヒートポンプ技術によるロードヒーティング、道路の融雪や凍結防止のため路面の温度を上げる仕組みを計画しており、これらも環境に配慮したアパートのモデルケースになるものと確信しております。

楽しみな苗木づくり  植樹活動への参加

さて、現在、札幌教区栄える会では植樹活動を行っていますが、きっかけは、小樽教区栄える会が横浜国立大学名誉教授である宮脇昭先生を講師に招いて始めた「千年の森」の植樹活動に参加させていただいたことでした。

それを機に、植木好丈(よしたけ)・札幌教区栄える会会頭(当時)が植樹のためのどんぐり等の苗木作りを開始しましたので、私も最初の苗木の棚作りやスプリンクラー用の水道工事まで、全て参加しています。

工事用の足場材を活用した苗木の棚は、苗木ポットを何段にも置けるように棚板を増やし、数千鉢も置くことができます。山林で拾い集めたどんぐりを一つずつ育苗用ポットに植え、水をたっぷりあげます。その数は3,000個近くになります。

苗木作りを始めて今年で4年経ちますが、今まで育てたものが、今年はいよいよ植樹の苗木として何処かの野山に旅立つことになっており、今から楽しみにしております。

職場での御教えの実践と欠かせない後継者づくり

また、私は職場でも普段から生長の家の教えを生かすようにしており、「捨てればゴミ、分ければ資源!」「分けることによって、物に命が蘇っていくのだ」と社員に教えています。また「仕事に向き合う姿勢でも、世の中に必要とされる人になりましょう」と話しています。さらに、会社の利益だけを追求するのではなく、社会や地域に対し何ができるのかを常に考えながら仕事をしております。結果は後からついてきます。お陰様で、我社は10年以上、黒字が続いています。

私は、年間に休む日数が20日間位しかありませんので、地域でのボランティア活動などは中々難しく、生長の家の行事と、仕事関係の会議や行事に参加する機会が多いというのが現状です。ですから、普段一番多いのは、会社と関係のある人々との関わりですので、そこを中心に、生長の家の活動や講習会のお誘い等、伝道に努めています。

社員や取引先の方々にも講習会や繁栄ゼミナールに何度も足を運んでもらい、生長の家の教えを知っていただくようにしています。その結果、相愛会の会員になってくれた人もいます。さらに、何年か前からは、会社の中で栄える会の支部を作ろうと準備を進めています。

また、会社の後継者作りには生長の家の教えは絶対欠かせないと確信していますので、これからは会社関係を通して、生長の家の教えをもっと広めていきたいと考えています。

振り返ってみますと、こうして色々と世の中に貢献できるようになったことや会社の繁栄も、昔、全国大会で総裁・谷口雅宣先生がご指導くださったことを素直に実践させていただいたお陰と感謝しております。

◯第6回生長の家相愛会・栄える会合同全国幹部研鑽会」(平成26年4月27日)でのシンポジウムより:生長の家本部練成道場にて◯

 


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