私が脱サラして工務店を立ち上げたのは、今から17年前、45歳の時でした。創業時から数年間は、新築とリフォームを合わせても数件程度と、細々と事業を続けておりました。その上、私の“心のあり方”が悪かったのか、家族や社員、協力業者やメーカーとの関係もぎくしゃくとした暗い雰囲気でしたので、次々と問題が発生しました。例えば、2か月の短期間に1000万円の受取手形の不渡りに遭ったり、妻から離婚の申し入れがあったり、社員が突然退社したり、子どもが交通事故に遭ったり、現場で山のようにクレームが発生したりと、まさに八方塞がりの状態でした。
しかし、今から12~3年程前、そんな私に転機が訪れました。リフォームするお客様から「ちょっと読んでみなさい」と、生長の家の小冊子を渡されたのです。事務所に帰って読み始めますと、私の心はすぐさま引き込まれました。そして、そこに載っていた体験談を読んでいる内に、どんな時であっても明るく前向きに物事をとらえることの大切さや、感謝と思いやりの気持ちを忘れていたことに気づいたのです。私は「この通りに実践すれば、必ず何でもうまくいく」という気になりました。このように「絶望からほのかな希望へ」、この小冊子一つのお蔭で、私は変わることができたのです。
そのお客様からは「生長の家の練成会に参加するように」と勧められましたので、藁をもつかむような気持ちですぐに参加しました。この練成会で私は「人間が幸せになるための法則」のようなものを学び、感動して、ワクワクしながら帰りました。
練成会に参加してからは毎日、先祖供養や神想観を実修したり、親の月命日にはお墓参りをするようになりました。すると、その頃から、私の周りの環境が大きく変わり始めたのです。例えば、「家業は継がない」と言って、家を出て行った息子が「手伝いたい」と言って戻ってきたり、「離婚したい」と言っていた妻が会社の経理を手伝ってくれるようになったり、退社した社員が戻ってきて、不渡り手形の処理を手伝ってくれたり、協力業者から仕事を紹介してもらえたりしました。このような様々な変化により、会社の売上も2倍近くまで上がりました。お陰様で、家族も全員が健康で、3人の子どもも結婚し、それぞれ2人ずつ孫も生まれました。「今、最も幸せだなあ」と感じております。
生長の家は“自然との共存・共栄・調和”を重んじる教えですので、「工務店として何ができるのか」を検討してまいりました。そして平成17年に、“最も地球環境に優しい家づくり”が完成しました。ここで「脱石油」であり、100%自然素材にこだわった「森から生まれた家づくり」を紹介します。近い将来、化石燃料が枯渇すると言われています。インドや中国など、2000年以降、著しい成長を遂げている国々の石油や食料の消費量が年々増加し、それらを奪い合う時代がやってきています。そういった事態を避けるために「石油に依存しない家づくりを」と追求した結果、森の素材を有効に活用することを思い立ちました。以下はその取り組みです。まず一番大切な家の骨組みは、無垢の柱と梁を使用します。よく使われている集成材は、貼り合わせる際に化学物質である接着剤が含まれていますので使いません。断熱材として、壁の中に秋田杉の皮を粉砕して繊維状にしたものを120㎜入れています。付加断熱として、環境先進国・ドイツで開発された、木の繊維で作られた40㎜のボードを貼っています。サッシは木製サッシを採用、石油でできた樹脂サッシよりも予想以上に断熱性能が高く、暖かな雰囲気を演出してくれます。そして、外壁と内壁にはすべて漆喰を塗りました。これで家の中の空気は格別です。
家の中に目を向ければ、床には無垢の“くるみ”、2階の床には45℃の低温で乾燥させた南三陸産の杉を採用しています。高温で乾燥させた木材は水分だけでなく油分までも飛ばし、細胞も壊れてしまいます。しかし、低温で乾燥させた木材は生きているように瑞々しく、ピンク色で艶があります。天井板も杉を使用し、さらに屋根断熱も杉の皮を400㎜入れています。そして玄関の土間にも、高温で焼く際に膨大な石油を使うタイルではなく、自然石を使っています。
このように、私どもの家づくりに使う材料は、運搬や工場での製作工程も含め、できる限り地球環境に負荷を与えないものを採用しています。この家づくりの考え方は「神・自然・人間の大調和」を目指す生長の家の教えと出会えたことが大きく、大変感謝しております。ありがとうございます。