TOP > Web聖使命 > 20060901号 > 記事

生きている地球 92

カーシェアリング(3) “レンタカー型”が普及の兆し

社用車を半減できた会社も 本欄では、地球環境をめぐるさまざまな問題とその克服の動きを探っている。  今回は、前回に引き続き、「カーシェアリング」を取り上げ、“レンタカー型”のカーシェアリングを事業化する際の規制が全国的に緩和されたのを機に、カーシェアリングの事業所が全国に広がりを見せつつある最近の動向を紹介したい。

カーシェアリングの無人ステーション(広島市)

■規制の緩和が追い風に

日本で事業としてのカーシェアリングを行う場合は、従来、次の条件を満たすことが必要だった。 ①構造改革特別区域(特区)内に車両が配置されていること②環境に配慮した車両の使用③IT技術の導入による車両の貸渡し状況や整備状況の把握が可能——。

このうち、①の特区の認定を受けるためには、まず事業者が、地方自治体の“特区窓口”にカーシェアリングの事業内容を説明し、同意が得られれば、自治体が内閣府に特区を申請し、内閣府が国土交通省と協議の上で認定する——という流れとなる。こうした一連の手続きには約1年の時間と数々の書類作成の手間がかかることから、事業者の大きな負担となっていた。

しかし、今年4月1日からの規制緩和により、特区に限定されず、先の②と③の条件を満たせば、全国どこでもカーシェアリングの事業化が可能となった。さらに、国(内閣府)への申請が不要となり、地方運輸局への申請で済むようになり、手続きが一気に簡素化された。  これを追い風に、株式会社マツダレンタカー(本社・広島市)が、去る7月14日、カーシェアリング事業の全国展開を発表した。

■東京ドーム6杯分のCO2削減を目指して

すでにマツダレンタカーでは、規制緩和前の平成16年から国土交通省中国運輸局(広島市)とカーシェアリングの勉強会を重ね、欧米での事例を学ぶうちに、カーシェアリングの普及によってCO2を大きく削減できると同時に事業としても成り立つと判断。昨年2月、広島市内のJR横川駅前にカーシェアリングの店舗(無人ステーション)を出店していた。

その後、広島市内に7カ所、福岡市内でもNPOが以前から行っていた実証実験を昨年10月から引き継ぐ形で5カ所のステーションをオープンさせた。 「広島の8カ所のステーションは、実験的な意味合いで駅前、オフィス街、住宅街などの異なる立地条件の場所にオープンさせましたが、会員数も順調に増え、広島の3カ所で経営が黒字化。全体の半数のステーションで黒字が見込める状況になってきました」(上西清志・同社社長)

さらに今年4月からの規制緩和を受け、7月に神戸、8月に大阪とステーションを1カ所ずつオープンし、東京、愛知、札幌、仙台にも順次オープンさせていく予定だという。  上西社長は、「法人の利用が全体の55%、個人利用が45%。中には社用車を半減できたという会社もあります。個人では今のところ転勤以外による退会はなく、まずまずの滑り出し」と自信をのぞかせる。  肝心の環境保全への貢献だが、同氏は「シュミレーションによると、会員数が6,000人で、240台を利用すると、全体のCO2削減量は年間で東京ドーム6杯分にあたる3,938㌧となる」と語る。

■共同事業のカーシェアリングネットワークも

一方、全国の自動車整備会社でつくる任意団体、全日本ロータス同友会(東京都港区、会員企業1,500社)も、会員企業のうち11社が、各社の出資金の範囲内で責任を負う形で共同事業を行う「日本カーシェアリングネットワーク有限責任事業組合」を今年7月19日に設立した。 これは、札幌市にある須賀原自動車工業(株)が、昨年3月から「ウインド・カー」の名称でカーシェアリング事業を行い、この中で培ってきた経営ノウハウ、運営システムなどを、参加10社に提供し、各地でカーシェアリング事業を行うもの。事業の運営はそれぞれの会社が行うが、事業組合が広報宣伝活動やタイヤ、ガソリンなどの一括購入を行い、経費を削減する。

今年10月には、埼玉、大阪、広島、鳥取、山口、福岡などで、先の10社がいっせいにサービスを開始する予定だという。 同事業組合事務局の高橋昭裕氏は、「札幌での1年間の事業で手応えを感じて、全国展開に踏み切りました。同友会としても全面的に協力して3年以内に各地の事業を軌道に乗せたい」と語っている。

環境によく、資源の節約にもなるカーシェアリングだが、その知名度はまだまだ低い。しかし、レンタカー業界や企業団体がこうしたカーシェアリングの全国展開に取り組むことは、今後の普及に大きな弾みとなりそうだ。