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生きている地球 93

都市型レンタサイクル:通勤・通学などの“足”に

利用者増がサービス継続の鍵

本欄では、地球環境をめぐるさまざまな問題とその克服の動きを探っている。
今回は、二酸化炭素を排出しないクリーンな交通手段として、都市部の自治体や事業所が通勤・通学や観光用に提供している“都市型レンタサイクル(貸自転車)”を取り上げてみた。

■「定期利用」も可能

車ではなく、自転車を所有して通勤などに利用することだけでも環境には善いこと。では、その自転車をレンタルで利用する“都市型レンタサイクル”のメリットとは何か。
1台の自転車で複数の利用者に対応できるため、所有するより台数を減らすことができる。つまり資源の有効利用になり、かつ社会問題となっている駅などの放置自転車の解決にもつながることが考えられる。

そんな中、平成10年から、国土交通省では、「エコサイクルシティ」構想を掲げて、自転車の利用環境を整えながらその利用を促し、環境や人にやさしい街づくりを推進している。
このため、同省は、全国30の地方自治体を「自転車施策先進都市」に選定、各自治体では自転車用道路の整備やレンタサイクル事業などを行って自転車の利用を促進している。


西武新宿線「上石神井」駅近くにあるレンタサイクルの駐輪場

その自治体の1つ、東京都練馬区は、同省の構想に先駆け、平成4年から「都市型レンタサイクル事業」を開始した“先進区”。同区では西武池袋線「大泉学園駅」北口に専用駐輪場を開設したのを皮切りに、これまで7カ所(6つの駅前)に駐輪場を設置し、現在、合計2,750台の自転車を2,199人の利用者(1日平均)が利用している。

利用手順は、①専用カードを車庫に挿入②車庫の自動扉が開く③利用者が車庫の外に出す④自動扉が閉まる——というもので、24時間、利用が可能。

車種は、26インチの自転車一種類。一時利用は4時間未満が100円、4時間以上24時間以内が200円、定期利用は1カ月2,000円。

定期利用者は、毎回特定の自転車を利用するのではなく、専用駐輪場にある空き自転車を利用。専用カードに出入庫の記録が書き込まれるので、1度に2台以上は利用できない。

竹永修一・同区交通施設係長は「利用者から“通勤や買い物に便利”と評判も上々です。区のウェブサイトなどで積極的に利用を勧めたい」としている。

都では、現在、このほか4つの区がレンタサイクル事業を行っている。

■都市観光向けのサービス

一方、観光需要も見込み、平成15年10月、大阪で初めて、都市型レンタサイクル店としてオープンしたのが「うえまち貸自転車」(同市中央区)。

大阪城や四天王寺、心斎橋や難波までそれぞれ自転車で約10分と、観光やビジネスの拠点に近い同店は、35台の自転車を所有。
車種は16インチの折り畳み自転車、26インチの自転車、同インチの幼児用シート搭載車の3種類。料金は1時間300円、1日1,300円で、定期の貸し出しは行っていない。平日は約10人、土日は約20人が利用し、内訳は観光目的が7割、営業などのビジネス目的が3割。

しかし、片岡真・同店店長は「店は赤字で、それを経営母体の観光会社がカバーしている現状です。3年続けて、需要は十分感じていますが、利用者が見込める大阪駅前などの一等地への出店は経費がかさみ、難しいところ」と語る。

■好立地と経費削減で店舗 数を伸ばす事業所も

一方、駅の改札口近くに専用駐輪場を設置した利便性と徹底したコスト削減によって経営を軌道に乗せている事業所もある。駅レンタカー関西(兵庫県尼崎市)が、関西圏で展開している「駅リンくん」がそれ。
「駅リンくん」は、駅と職場、学校、自宅の間の“足”として定期利用も可能。料金は一時利用が300円、定期利用が1カ月2,000円。同社は、平成10年、大阪府大東市のJR住道駅のそばに駐輪場を設置してサービスを開始。その後、大阪、兵庫、滋賀各府県の16の駅前に「駅リンくん」の駐輪場を設置して、定期利用者は年々増加し、現在、4,800人まで達している。

「JR西日本の子会社なので改札口の近くに駐輪場を設けられるのが強み。経費削減のため、自転車を大量に一括購入したり、従業員にシルバー世代を雇用したりして採算もとれています」(藤本聡・駅レンタカー関西営業企画部長)

レンタサイクルは、店の立地条件や採算性などの問題をクリアすれば拡大が見込まれそうだが、利用者側の環境意識の向上も欠かせないところ。二酸化炭素を排出しないクリーンな交通手段である、都市型レンタサイクルの今後の普及に大いに期待したい。