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全日本ブラインドダンス選手権大会
3種目で入賞し、テレビ出演

教え支えに全盲のハンデ乗り越え:横浜市の笠羽明美さん

横浜市在住の地方講師で全盲の笠羽(かさば)明美さん(51)は、去る8月、東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた「第1回全日本ブラインドダンス選手権大会」(主催・有限責任中間法人 日本ダンス議会〈JDC〉、協力・日本テレビ放送網㈱)に出場。女性部門の「ルンバ」で準優勝に輝き、そのほかの2種目でも入賞した。教えを支えに失明のハンデを乗り越え、ダンスや盲人卓球を行うなど活発に活動している笠羽さんは、「社交ダンスの魅力は相手との一体感を感じられること。今後も、こうした活動をますます続けて、出会った方々には積極的にみ教えを伝えていきたい」と語っている。

ブラインドダンスとは、“視覚障害者の”ダンスの意味で、視覚障害者と健常者が男女ペアで踊る社交ダンス。


鮮やかなピンクの衣装に身を包んだ笠羽さん
(東京ビックサイト)

去る8月27日、正午から午後4時半、東京ビッグサイトで開催された「第1回全日本ブラインドダンス選手権大会」には、国内の25の社交ダンスサークルから127人の視覚障害者が異性のパートナー(健常者)と共に参加し、延べ295ペアが男性部門と女性部門に分かれ、タンゴ、ワルツ、ルンバ、チャチャチャの4種目で技を競い合った。

笠羽さんは、3種目にそれぞれ別の男性パートナーとペアで出場し、ルンバで準優勝、ワルツ3位、タンゴ6位という好成績を収めた。

特にルンバは、今大会の趣旨に賛同して視覚障害者のパートナーとして参加したタレントのゴルゴ松本さんとペアで出場。2人は鮮やかなピンクを基調とした衣装に身を包み、1分半にわたって、ラテン音楽に乗って伸びやかに踊った。

この模様は、大会当日、日本テレビの「24時間テレビ 愛は地球を救う」の中で放映され、笠羽さんが終始満面の笑みをたたえて踊る様子が映し出された。

「得意なルンバを最高の笑顔で踊って準優勝し、心からうれしく思います。皆さんから“笠羽さんの笑顔って本当にすてき”と言われましたが、これも生長の家に触れて明るくなれたおかげ」

こう語る笠羽さんは、結婚後の昭和54年、長男の一博さん(27)を出産後まもなく、視界に白い霧がかかったようになって医師から網膜色素変性症と診断され、その後、徐々に視力は衰えた。

さらに、4年後に生まれた長女の美穂さん(23)は、2歳の時、脳性マヒと診断された。

「自分の視覚障害だけでも大変なのに、娘まで障害が…、と目の前が真っ暗になりました」

それでも笠羽さんは、おぼろげな視力を頼りに、週2回、美穂さんのリハビリで電車とバスを乗り継いで療育センターに通い、家事と育児をこなしたが、心身ともに疲れ果て、「私には、もう美穂は育てられない」と夫の広夫さん(57)に泣いて訴えたという。

これがきっかけで療育センターから、家事や育児を手助けするヘルパーとして紹介されたのが、生長の家信徒の市川美江子さん(77)だった。

「ある日、市川さんに、仕事が多忙で家事に非協力的な夫への不満を口にすると、“環境や運命は心がつくるもの。ご主人に感謝し、あなたが家庭の中の太陽にならなきゃ”と言われ、その後、『甘露の法雨』のテープを借りたりしてみ教えを学ぶようになりました」

やがて母親教室リーダーを拝命し、伝道にも励むようになった笠羽さんは、心境も明るくなり、夫にも心から感謝できるようになったという。

「夫が私に家事や育児を任せたのも、私が障害に甘えずに自立できるように私をあえて突き放してくれていたのだということに気づいたのです」

こうして何事にも前向きになった笠羽さんは、横浜にある視覚障害者のための施設「神奈川県ライトセンター」で、盲人用パソコンや点字を学んだり、社交ダンスサークルに入って、月2回の練習に励むように。

「社交ダンスで気分もリフレッシュし、その活力を家事や子育てにも生かせるようになりました」


大会を前にプロのコーチから指導を受ける

10年前から同サークルの代表となった笠羽さんは、今年5月、JDCから「ブラインドダンス大会を開催することになったのでぜひ協力して欲しい」と依頼され、JDCと全国のダンスサークルの間の連絡担当として、大会の運営に協力。 /p>

一方、8月、日本テレビから、ゴルゴ松本さんとペアでルンバを踊るという連絡が入った。

「驚きましたが、ゴルゴ松本さんとペアが組めてラッキーでした。非常に思いやりのある方で、練習の時も常に私を気遣ってくださって…」

こうして、「1カ月で5㌔もやせた」と言うほど多忙な日々を過ごした笠羽さんは、自身が3種目で入賞。大会に出場したタレントのリーダー格の南原清隆さんは「ブラインドの皆さんから改めてダンスの素晴らしさを教わりました。ダンスはいろいろな壁を超えるのですね」と番組中に感激を語るなど、大会自体も大成功を収めた。

このほかにも、翌9月、活発に活動する笠羽さんは、東京都国立市の多摩障害者スポーツセンターで開催された「第3回全国障害者卓球大会」の女子の部で、見事、準優勝している。

平成7年に地方講師試験に合格し、5年ほど前から全盲となったが、ダンスサークルなどの友人・知人に普及誌を愛行するなど伝道を続けている笠羽さんは「現在、車いす生活にもかかわらず、明るく立派に育ってくれた長女に道案内をしてもらって、誌友会に出講するのが夢」と語っている。