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生きている地球 94

環境共生住宅①:周辺環境との調和に配慮

居住者の意識も重要なポイントに

本欄では、地球環境をめぐるさまざまな問題とその克服の動きを探っている。
今回は、地球環境保全の視点から、省エネ、省資源、廃棄物の減少などを十分配慮し、周辺の自然環境とも調和ているほか、居住者が健康で快適に生活できるように工夫した「環境共生住宅」を取り上げてみた。

■地球温暖化防止の一環として

「環境共生住宅」が検討され始めたのは、平成2年、政府が二酸化炭素排出量の削減を盛り込んだ「地球温暖化防止行動計画」を決定したことがきっかけ。


深沢環境共生住宅の中庭には風力発電装置も

同年、これを受けた建設省(当時)住宅局が、住宅メーカー、大学、自治体を集めて、「環境共生住宅研究会」を発足させ、「資源エネルギー」「住宅のつくり方」「ライフスタイル」の3つの部門に分かれて、3年間にわたって調査・研究を開始し、同4年、環境共生住宅とは、「①地球環境の保全②周辺環境との親和性③居住環境の健康・快適性の3つの要素を満たす住居およびその地域環境を指す」と定義付けた。
これらの考え方に含まれる要素は、①省エネと省資源、リサイクル、廃棄物の削減②地下水の流れや風向き、土壌、生息する動植物などを考慮した設計③体に害を与えない建築材料の採用、採光や換気の工夫による快適性など。
さらに、この研究は、同9年、財団法人「建設環境・省エネルギー機構」に設置された「環境共生住宅推進協議会」(建築会社、電機メーカー、電力・ガス会社、自治体など77団体が参加)が引き継ぎ、11年、同協議会は、省エネ、耐久性、地域環境に配慮した住宅を認定する「環境共生住宅認定制度」を設けて、民間住宅に対する環境共生住宅の普及に努めている。

■環境共生住宅のモデルケース

一方、自治体や住宅供給公社等も、国土交通省の「環境共生住宅市街地モデル事業」の助成を利用するなどして、環境共生住宅の建設を進め、現在、国内では戸建て住宅から集合住宅まで、60カ所以上で建設されている。
中でも代表的なものが、平成9年、東京・世田谷区に完成した「世田谷区深沢環境共生住宅」(敷地面積7,388平方㍍)。
 これは、従来の木造平屋建ての都営住宅(35戸)を、5棟の環境共生型の集合住宅(70戸)に建て替えたもの。
 2年間にわたり、地形、敷地内の樹木や小動物、季節による風向きの変化などを徹底的に調査した上で、敷地内の団地5棟(3〜5階建て)の構造や配置を設計し、建設した。


各戸のバルコニーにある雨水貯留タンク

その特徴を先の「環境共生住宅」の3つの定義に当てはめてみると──。
①「地球環境保全」の面からは、屋上緑化(一部の棟では壁面緑化も)、太陽熱温水器(1棟)、太陽光発電装置による常夜灯、各戸バルコニーの雨水貯留タンク、生ゴミの共同処理機による堆肥化、小型風力発電装置(2基)。このほか建て替え時に出た瓦などの廃材をリサイクルした。

また、②「周辺環境との親和性」については、井戸水を利用したビオトープ(多様な生物との共生の空間)の造営、旧住宅の樹木の一部を保存、透水性舗装など。
 さらに、③「居住環境の健康・快適性」に関しては、地域の風向きを調査して樹木や建物を配置、各棟の前に花壇を付設、建物に吹き抜けを設けて風通しを考慮、道路や縁石を段差がないバリアフリー化など。
 こうした住宅環境を整えても肝心なのはそこに住む人の意識だが−−。
 同住宅で自治会長を務める田口幸八さんは、「環境に配慮するという趣旨にたいへん満足しています。住み心地もいいです。以前よりも維持管理に工夫が必要ですが、花壇と植栽は各棟で管理してもらい、毎月1回、団地の居住者全員で敷地内の掃除を行うなど、住民全体で環境保全に取り組んでいます」と語る。
 また、同住宅は、環境共生住宅の先駆けとして、全国の自治体から視察を受けたり、マスコミで報道されるなど注目を集めており、世田谷区によると、居住者が移転した際、「環境共生住宅」として入居者を募ったところ、一戸に対し、約4,800人の応募者が殺到したという。
 消費者の“環境共生住宅”への関心が高まりつつあることを受けて、その迅速な普及策が求められていると言えそうだ。