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あいさつにまつわる思い出をつづり、最優秀賞を受賞

新潟県糸魚川市 中村栄美子さん

新潟県糸魚川市在住で、白鳩会員の中村栄美子さん(63)は、昨年11月、青少年育成富山県民会議(富山市)が公募した平成19年度「あいさつにまつわる いい話」に応募し、全国から2,427作品が寄せられた中から一般の部で最優秀賞を受賞、地元紙『新潟日報』で紹介され話題を呼んだ。四半世紀にわたって民話を集め、語る活動を続けている中村さんは、「お道よう(帰り道に気を付けて)という方言にまつわる思い出を綴りました。温もりのある言葉を若い世代に残していきたい」と語っている。



市民図書館でやさしく語りかけながら紙芝居を行う中村さん(右)
と協力者で白鳩会員の神喰志津子さんと

「あいさつにまつわる いい話」は、青少年育成富山県民会議が、心のふれあいあいさつ運動の一環として、平成13年から公募しているもので、一般、小学生、中学生の部門から、それぞれ最優秀賞が選ばれた。
 中村さんの受賞作「お道よう……」(1,600字)は、中村さんが小学1年生だったある冬の日、魚の行商をしていた母親と2人で山村に行った時の心温まるエピソードを綴ったもの。
 集落に続く細い雪道。母親と私の二人が、反対からやって来る人を待っていると、すれ違いざまに、「お姉ちゃん、待っててくれてありがとうね」とその人は挨拶してくれた。
 行商の場の雑貨店に着くと、おばあさんは温かく迎えてくれ、その後、帰り際、「お道よう、お道よう(帰り道に気を付けて)のう」と手を振って見送ってくれた。
 時は流れ、同じように「お道よう」と挨拶していた私の長女は、通っていた小学校に願い出て、それを挨拶言葉のひとつに入れてもらったことも。現在、長女は成人して東京に勤務しているが、会えば今でも、「お道よう」と挨拶を交わす。この温かい言葉をずっと使っていきたいと思いを新たにした──。
 中村さんは、「方言には誰もが古里のぬく もりを感じますが、そんな思いを書きました。若い世代へ方言を伝えて、郷土愛を育みたい」と語る。
 そんな中村さんは、民話を語り伝えて四半世紀余になる。きっかけは昭和56年、当時、勤務していた糸魚川電報電話局で、顧客サービスとして始まった“民話テレホンサービス”を担当し、糸魚川周辺の民話をテープに吹き込んだこと。サービスは人気だったが、平成12年、中村さんの退職を機に終了。が、「 めないで」という声が多く、中村さんが電話番号を買い取って、ボランティアで民話テレホンサービス(通話料のみ)を続けて現在に至っている。
 これらの民話のほか、古老の聞き語りを基に『糸魚川・西頸城にしくびき の民話』第1〜6集と『糸魚川民話の旅』の合計7冊を出版。15年から毎月2回、市立図書館で子供たちに民話の紙芝居も行っている中村さんは、「子供たちが瞳を輝かせて聞いてくれるとうれしいですね」と語る。
 中村さんは、信徒の父親の勧めで、中学1年の時、本部練成道場(東京・調布市)の一般練成会に参加したが、その後、教えから遠ざかっていたという。
 25歳で2歳年上の与一さんと結婚し、1男1女の幸福な家庭を築いたが、平成15年、与一さんが60歳の時、悪性リンパ腫を発病。「半年の命」と宣告され、途方に暮れたが、そんな時、高校時代の同級生に誘われ、広幡正一・地方講師宅の誌友会に参加し、教えを学び始めたものの、半年後、与一さんは昇天した。「孤独感に押しつぶされそうになりましたが、“生命は生き通し”という教えが支えに。本当に感謝しています」
 毎朝、神想観・聖経読誦を欠かさず信仰に励んでいる中村さんは、『白鳩』誌7月号から日本の民話を連載することになり、「亡き父や夫も喜んでいるはず。み教えを学びながら、先祖伝来の知恵と道徳が詰まっている民話を長く語り続けていきたい」と抱負を語っている。