TOP > Web聖使命 > 20081101号 > 記事

アムールトラの小さな命を守りたい

釧路市 村井 つとむさん

去る5月、釧路市動物園で、アムールトラの子供3頭が誕生。1頭は死亡、残った2頭も先天性の四股障害で、育成は困難と予想されたが、同市は「命の大切さを伝えたい」と2頭の育成を決定した。これを支援する募金活動に尽力したのが、同市在住の聖使命会員で、NPO法人釧路市動物園協会会長の村井力さん(84)。村井さんは、先頭に立って街頭募金を始め、全国に募金を募ると、2頭の姿は感動を呼び200万円の募金が集まった。村井さんは「多くの善意に感謝し、尊い2つの生命を支援していきたい」と語っている。


釧路市動物園にてタイガ、ココアと一緒に。
村井さん(右)と孝子さん

 アジア東部に生息するアムールトラは、国際自然保護連盟によって絶滅危惧種に指定されており、野生の生息数は約450頭しかないという。
 釧路動物園では、アムールトラをつがいで飼育して繁殖を待ち望んでいたが、今年5月24日の朝、職員が出勤すると、出産した母親のチョコが放置したまま、仮死状態になっている3頭の子トラを発見。獣医師が湯の中でマッサージして蘇生を試みたが、オス1頭は間もなく死亡。が、残る2頭は命を取り留めて、タイガ(オス)、ココア(メス)と名付けられた。
 しかし、2頭とも四股に障害があり、特に後肢は内側に湾曲し、交差している状態だった。障害を持つアムールトラの人工保育は国内に前例がなく、しかも、オスの成獣の体重は200〜300㎏になるため、成長しても体重を支え自力で歩けるのか、それ以前に、無事育つのかどうかもわからなかったという。
「けれども、必死に生きようとする2頭を目の前にして、その命をどう守り育てていくかという選択しかありませんでした」と山口良雄園長は振り返る。
 ほどなく伊東良孝・釧路市長は、「2頭を懸命に育てて、命の大切さを伝えたい」と発表。
 それを受けて、6月10日、村井さんが会長を務めるNPO法人釧路市動物園協会も金銭面からの支援を決定し、同25日、飼育用のネコ用粉ミルク1カ月分を寄贈したほか、広く支援を呼び掛けるため、園内2カ所に募金箱を設置。同28日には、村井さんと、協会や動物園職員らが市内のショッピングセンターの前で街頭募金を行った。
 7月から、新聞、ホームページなどで紹介され募金が開始されると、2頭が必死に生きる姿が大きな共感を呼び、「感動した」「命の大切さを実感した」などの声とともに、8月末まで200万円の募金が寄せられた。これらは2頭の獣舎増築に使用される予定という。
 そんな中、飼育員の手厚い世話で、2頭はすくすくと成長し、今年9月にココアが、同10月にはタイガが4足歩行できるように。体重は、それぞれ14.3㎏と13.2㎏までに育ち(10月7日現在)、今では2頭で元気にじゃれ合う姿も見られるという。山口園長は「生後2カ月半で、先天性の軟骨形成不全症と診断され、4足で歩くのは奇跡としかいいようがありません」と驚きを隠さない。
 村井さんは「多くの人々の善意に応えるためにも、今後も長く支援し続けたい」と語る。
 村井さんは、釧路市の隣の阿寒村(当時)に生まれ育ち、熱心な信徒の父親の鉄之助さん(故人)の影響で教えに触れた。
 早稲田大学を卒業後、兵役に従事。戦後、帰郷して、父親が創業した石炭会社の村井組(現在の村井建設株式会社)に入社、27歳の時、妻の孝子さん(80)と結婚。夫婦2人で毎月、誌友会に参加するように。
 その後、村井さんは、父親と共に、石炭産業のほか、建設、道路舗装等に事業を拡大。釧路、根室地域で経営地盤を築き、現在、同社会長を務めている。

元気になったタイガ(右)とココア

 一方、妻の孝子さんは、平成7年から2期6年間にわたって白鳩会教区連合会長を拝命して教勢発展に尽力。その間、村井さんも協力して、毎回の講習会には、社員や仕事の関係者130人ほどを導いた。
 平成9年、釧路教化部の新会館建設に当たり、多額の寄付を行ったが、これは、昭和39年、釧路道場(後の旧教化部会館)建設の際に多大な寄付を行った父親から、村井さん夫妻に「生長の家は必ず続けていくんだよ」と託された遺志も汲んでのことだった。
 村井さんは、「動物の生命も大切。動物園協会としても、今後もアムールトラの支援を続けていきたい」と、社会的貢献に意欲を燃やしている。