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ダウン症の高校生が“絵織物”の個展

大分県宇佐市の大木麻里さん


個展会場で絵織物を制作する大木麻里さん。2時間以上集中して制作することも

大分県宇佐市の聖使命会員で同県立宇佐支援学校高等部3年の大木麻里さん(18)は、ダウン症の障害を持ちながらも、絵織物、水彩画、フェルト画の創作に打ち込み、芸術的天分を発揮している。
 去る7月17日~8月31日、麻里さんは、隣接する中津市内の福祉ショップ「青の洞門 心の駅」で初の個展を開催し、絵織物や水彩などの力作15点を出品した。「麻里さんと織りの宇宙へ」と題した同展は、障害者を支援するNPO法人「ぴいあ」(中津市)の主催によるもの。
 個展の模様は、NHK総合テレビのニュースなどで紹介されて約400人が来場。「ここにずっといたい」「作品に癒やされた」などの喜びの声が寄せられた。
 8月21日、会場を訪ねて麻里さんと家族から、創作の様子や個展に至る経緯を聞いた。


◆色彩豊かな展示作品の数々
 民家風の一軒家が個展の会場。中に入ると、玄関、廊下、6畳の和室の壁や床に、鮮やかな毛糸やフェルトの絵織物が飾られていた。和室の一角には、絵織物の実演コーナーも設けられ、麻里さんが30色以上の毛糸玉から色を選んでは、四角い枠内に整然と並ぶ縦糸(凧糸)に横糸となる毛糸を1本ずつ手で通して織っていく。
 記者が「楽しい?」と麻里さんに声をかけると、「はい」と元気な返事が返ってきた。
 作品は、動物や学校の友達を描いた素朴な絵柄から複雑な色が混じり合う抽象的な表現までさまざまで、中には長辺が1㍍ほどもある大作も。どれも「黄色とピンクとオレンジが好き」という麻里さんの色彩感覚が表現された明るい作品だ。
 こうした麻里さんの絵織物は、(財)亜細亜美術交友会(東京・台東区)が主催する「第45回亜細亜現代美術展」(平成20年)、「第4回亜細亜アート展」(同22年)で共に入選を果たすなど、高い評価を受けている。

■手織りを通して天分が開花
 み教えに最初に触れたのは、障害を持つ麻里さんの子育てに悩んでいた母親の悠子さん(56)。平成13年、小学3年生の麻里さんを、シルバー人材センターに所属して子供の学習支援を行っていた中尾幸子・地方講師(77)宅へ通わせるようになったのがきっかけだった。
 ある日、中尾さんに悩みを打ち明けて『生命の實相』(谷口雅春先生著)を勧められた悠子さんは、すぐに全40巻を購入して読むと、「人間はそれぞれ役割や天分を持ち、親を選んで生まれてきた」と分かり、心から麻里さんの障害を受け入れることができたという。その後、麻里さんも生命学園や青少年練成会に参加し始めると、「車いすの友達を手助けするなど優しい面がどんどん出てくるようになりました」(悠子さん)。

父母と次兄、祖母と一緒に

 麻里さんが中学2年になった18年、「もっと娘の可能性を引き出してあげたい」と悠子さんは手織り教室を主宰する知人に頼んで、麻里さんは毎週土曜日の2時間、手織りを教えてもらうようになった。すると、麻里さんは、次々と創造的な作品を生み出すようになり、公募展でも入賞を重ねるように。
 今回の個展は、今年6月下旬、麻里さんの作品がNPO法人「ぴいあ」の目にとまり、急きょ決定。宣伝から運営までをNPOのスタッフが一手に引き受けた。
 麻里さんの当面の目標は、「岡本太郎現代芸術賞展」に5㍍近い絵織物を出品すること。無心でコツコツと制作を続ける麻里さんなら、きっと独創的なアイデアで、素晴らしい作品を作り上げるに違いない。