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震災を乗り越え、オペラ公演

仙台市 佐藤淳一さん

芸術監督と主役を務めた佐藤さん
(中央、撮影・三枝近志)

 今年7月30~31日、宮城県人で構成された仙台オペラ協会が演じるオペラ『鳴砂なりすな』が、東京・初台の新国立劇場で上演された。3月11日の東日本大震災で被災した出演者も多く、上演が危ぶまれたが、同協会の芸術監督で、相愛会員の佐藤淳一さん(52、仙台市)は、「仙台の頑張りを見せよう!」と上演を決意。自らテノール歌手として主役も務め、成功に導いた。
 「多くの方のご声援とご協力を頂き、初日満員と大成功。“宮城からよく来てくれた”“元気をもらった”などの感想を頂き、本当に良かったと思いました」
 大震災を乗り越えてのオペラ公演は、公演前後、朝日、読売、産経など各新聞で取り上げられ、話題を呼んだ。
 震災後、佐藤さんは、協会職員と共に出演者の安否を確認。1週間後、約200人全員が無事と分かると、「こんな時こそ上演しよう!出演者も前向きになれる」と上演を心に誓った。
 しかし、オペラ『鳴砂』は、大嵐による難破船や、船がたどり着いた漁村を舞台としている作品。佐藤さんは「津波で多くの尊い命が失われた今、この作品を本当に上演してよいのか」という迷いもあったという。
 震災から2週間後の3月末、仙台市で主なメンバーが集まって公演の賛否や各人の被災状況を話して雰囲気が暗くなりかけた時、遅れてやってきたある男性出演者が叫んだという。
 「こんな時だからやろうよ!」
 その男性は、自宅1階が津波で水没するという大きな被害を受けていたという。
 「仲間の言葉がうれしかったですね。皆の気持ちも上演へと傾き、練習にも熱が入りました。出演者を一つにまとめるのは大変ですが、“必ずできる!”という思いを常に持てば、良き方向に進むのだと、教えの素晴らしさを改めて感じました」

 佐藤さんは、福島県会津若松市の生まれ。母親で、地方講師の佐藤洋子さん(79)の影響で教えに触れ、小学1年から青少年練成会に参加。東京芸術大学で声楽を学び、現在、尚絅しょうけい学院大学(同県名取市)の教授として声楽を教える。その間、同協会の公演に参加し始め、平成20年から芸術監督も務めている。
 同13年と14年、相愛会全国大会(当時)で、妻でメゾソプラノ歌手の明子さん(50、白鳩会員)と2人で、日本の歌などで歌声を披露したことも。
 「さらに教えを学び、“オペラ”を通して多くの皆さんに勇気や元気を与えていきたい」