TOP > Web聖使命 > 2014年8月号 > 記事

宮大工の「ものづくりマイスター」
自然を礼拝する心を伝えたい

埼玉県川口市 石塚惠造さん

外宮の参道の板垣で、造り方を説明する石塚さん。
職人らしい真剣な表情を見せる

 建築大工の分野の「ものづくりマイスター」として埼玉県内の公立中学校で講演を行うほか、宮大工としても活躍しているのが、埼玉教区の相愛会員でかつて工務店を経営していた石塚惠造さん(64)。
 同マイスター制度は、厚生労働省が管轄する若年技能者人材育成支援等事業のことで、学校・企業などで若年技能者に実技指導などを行うもの。石塚さんは、日本建築大工技能士会から推薦を受けて昨年10月に認定されました。
 一方、石塚さんは、昨年10月に斎行された伊勢神宮の第62回式年遷宮の造営時から、小工こだくみ(宮大工)を務めています。
 今年6月下旬、伊勢神宮の外宮で記者を迎えてくれた石塚さんは、参道を歩きながら、鳥居、常夜灯、板垣など、手掛けた仕事を丁寧に説明してくれました。
「円柱は、最初、電気かんなで八角形に加工し、十六、三十二角形と段階的に削り、丸鉋で丸く仕上げます。木材のいのちを感じ、すべての作業に丹精を込めなければ、滑らかな肌触りにはなりません」
 物静かな石塚さんですが、仕事の細部にまで話が及ぶなど、熱意が伝わってきます。中学校を訪問した際には、半円の丸太(長さ50センチ、直径30センチ)を使って、円柱加工の説明と実演を行い、生徒が興味しんしんに。「ものづくりの楽しさが伝わったのかも。大工を志す若者が出てくれればうれしいですね」(石塚さん)

参道にある常夜灯。
約100基のほとんどを、
石塚さんの班が手掛けた

 大工の道を志したのは4歳のとき。貧しくて、物置のような狭い家に住んでいたため、「将来、自分で大きな家を造る」と決意を固め、中学校卒業後は東京の工務店に就職して住み込みで働き始めました。その傍ら、宮大工になる夢を実現するため、寸暇を惜しんで、名工の刃物を探したり、神社仏閣を訪ねては、職人の技を見て伝統技術を学びました。そんな努力は、独立後も続き、平成22年、式年遷宮の造営工事のための臨時職員に採用されました。
「宮大工としてやしろ用の木材を加工していると自然を礼拝する気持ちが強くなります。そんな時、神と自然と人間は一体と説く生長の家の教えを、如実に実感するのです」
 23歳のとき、母親ががんを発症して一時は絶望しましたが、「いのちは生き通し。神と人間は一体」と生長の家で学んで心の安らぎを取り戻し、信仰の道へ。その後、母親を亡くしましたが、変わらず研鑽を積んできました。
「技術だけでなく、自然を礼拝する心を若者に伝えたい。それが、宮大工として、ものづくりマイスターとして私にできることと信じています」(石塚さん)