
平成6年、主人と私はそれぞれの病院で作業療法士を続けながら結婚しました。私は、主人に愛されているという実感のある新婚生活を夢みていました。ところが新婚早々から、期待が裏切られ、主人は交友関係が広く帰宅時間は不規則で深夜に帰ってきて2、3時間の仮眠を取って出勤ということが度々で泊まってくることもありました。会話の時間も少なく、私は不満で愚痴ばかりこぼしました。「愛されたい」と思いながら実感のない日々が空しく過ぎて行きました。
結婚翌年の三月のある日、私の職場に、主人の職場から電話がありました。「ご主人が辞表を机の上に置いて欠勤しています。何があったのですか?」寝耳に水で、急いで家に帰って洋服ダンスを開けると、主人の洋服は一着もありません。私はパニック状態になりました 。主人の家出の原因は、毎日のように聞かされる私の愚痴でした。私は泣きながら主人の両親に「主人から連絡が入ったら、私が悪かったのです。ごめんなさいと伝えて下さい」とお願いしました。 一週間後に主人から電話がありました。私は「もう一度やり直したいから、会って下さい」とお願いしました。これからは何でも主人に相談し、愚痴も言いませんと誓いました。私は共働きだから主人に対して奢(おご)る気持ちもあったと反省し専業主婦になり、再出発しました。ところが、家出されたという悲しみは、心の奥底に引っかかり、主人に心から安心と信頼、尊敬ができないままでいました。
■夫の病気、子供の病気
平成8年に長男、10年に長女が誕生しました。ところがその翌年頃から、主人がたて続けに自動車事故を起こしました。まぶたが下がる目の異常と、握力が子供なみに落ちたのが原因でした。精密検査を受けると「重症筋無力症」と診断されました。ガーンと金槌で殴られたようなショックで、わたしは落ち込みました。また、その頃から4歳と2歳の長男と長女が喘息で交互に入院するようになりました。発作が起きると、呼吸困難で苦しむ我が子が痛々しくて、私の胸も張り裂けそうでした。そんな心身ともに疲れ切った私に救いの手が差しのべられました。平成12年2月、我が家のポストに「生長の家」の月刊誌『白鳩』、『理想世界』が入っていたのです。
そこには、「人間は神の子なんです。仮に病気が現れることがあっても、あなたは“病人”になってはいけません。神の子は本来病なしで、健康なのが本当の姿なのです。だから、あなたは大丈夫。すべての人や物に感謝して、心を明るく持つことが大切ですよ。感謝したときに、そこに神様が現れます。」と書いてありました。 私の心に明るい光が差し込みました。また、生長の家には、『甘露の法雨』(※『甘露の法雨』というのは、人間の存在は有限の肉体の存在ではなく、永遠生き通しの生命であること、そしてまた、完全で円満な素晴らしい神の子の生命であることを説いている真理の言葉をお経の形にしたものです。)というお経があって、そのお経の冒頭に〈汝ら天地一切のものと和解せよ。天地一切のものとの和解が成立するとき、天地一切のものは汝の味方である。天地一切のものが汝の味方となるとき、天地の万物何物も汝を害することはできぬ〉とある。さらに〈汝らの兄弟のうち最も大なるものは汝らの父母である。神に感謝しても父母に感謝し得ない者は神の心にかなわぬ。天地万物と和解せよとは、天地万物に感謝せよとの意味である〉とありました。
父や母に、私は感謝をしたことがあっただろうか?主人や子供に感謝したことがあっただろうか?と反省すると同時に胸に熱いものがこみ上げてきました。
それから、生長の家の「母親教室」や「練成会」に参加するようになり、今までは主人を束縛していたから主人も苦しく、私も苦しかったのだ。本当の愛は与えるものであり、放つものであると勉強しました。子供の病気を、私はしっかり心で掴んでいたのです。咳をすると「早く家に入りなさい」と叱り、夜中にも布団をはいでいないだろうか、と何度も起きました。心配することが母親の愛だと思っていましたが、すべては私の取り越し苦労でした。
■我が家は明るく輝く
生長の家を信仰し、調和のとれた楽しい家庭をつくることの他に、私の使命はこの教えを人々にお伝えすることではないかと思い自宅で「母親教室」を開かせていただくようになりました。
その年の3月、主人は勤めていた老人保健施設を退職し、長い間の夢であった「整体治療院」の開業を決め、私は、「あなたなら大丈夫!」と祝福しました。しかも、準備期間中の5月に、主人が病院で精密検査を受けると「異常なし」と診断されました。それは、思いがけないプレゼントでした。開業した治療院には、大勢の患者さんが来てくれます。主人の技術も評判ですが、何よりも明るくて楽しい人柄が好評のようです。
もう、主人の帰りが遅くても何の心配もしていません。心から信頼できるからです。朝は「行ってらっしゃい」と合掌して見送り、夜もどんなに遅くても「お帰りなさい。お疲れさまでした」と合掌して迎えています。
あれこれと思い悩んだ過去は、私の心が主人のすばらしさを曇らせていたのです。長男はスポーツが大好きで、陽やけして健康そのものです。勉強は算数が得意です。人にやさしく、妹の面倒もよく見てくれます。仲よい二人を見ながら、私のすばらしい宝物に感謝しています。
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