【実録レポート】初挑戦!山梨県産ヒノキ丸太で橋を手づくりしてみた

 生長の家国際本部”森の中のオフィス”の敷地には、いくつかの小川が流れています。

 今回はそのひとつの小川(幅約1.5m・深さ40㎝程)にかけた、手づくりの橋について材料や作業内容をレポートします。

                                    


橋の手づくりに挑戦!作業を紹介

(1)設計

 橋体は丸太橋です。橋桁に丸太を挟み込むようにして敷き詰めて路面をつくり、同じサイズの丸太で地面に杭打ちをして固定します。


(2)材料の紹介

 今回使用した木材は地元・山梨県産のヒノキで、同県南アルプス市にある、山梨県木材製品流通センター協同組合(木の国サイト)より足場用の丸太を30本、杭用4本、橋桁に4本の木材を仕入れました。同組合は、「がんばろう!県産材」を合言葉に、地域工務店との連携もしています。

地元・山梨県産のヒノキ

 塗料は植物由来のオスモカラー(ドイツ製)で、“森の中のオフィス”の外壁塗装に使用したものを今回分けてもらいました。


(3)下準備

 橋が傾かないよう安定した足場を作るため、地均しをしました。自生していた細い樹木を根っこから切断して取り除き、大きな石は移動し、形のよい石は安定した足場となるよう利用しました。

小川に草木が生い茂る
幅約1.5m・深さ40㎝ほどの小川

 丸太はボルトやナットを使用して固定します。組み上げの時の作業がスムーズに進むよう、予めボルトが必要になる箇所に穴を開けました。また橋を小川に固定するために、使用する丸太は先端を杭状に加工しました。

 また大きなカケヤで打ち込む時に、丸太が割れる可能性があるため、端材を利用して杭打ちキャップを作りました。


(4)手づくりの作業台

 38本の丸太に塗装をしてから組み立て作業をするため、塗りやすく、かつ乾きやすくなるよう専用の作業台も手づくりしました。


(5)橋づくりイベント

 今回、塗装や組み立ての作業はイベントを兼ねて実施し、晴天の中13名が参加しました。


 塗装班は作業場所に塗料が滴り落ち汚れないよう、足下に養生シートを張りました。塗料には伸びがあり、刷毛の先に少々つけるだけでもよく塗ることができます。この日のために作られた作業台もあって、効率よく塗り進めることが出来ました。そして設置場所まで運び、組み立て始めました。


 組み立て班は運ばれてきた丸太を組み立てていきます。図面を確認しつつ、小川に3mの丸太4本を2本づつにしてかけ、前後左右のバランスをみます。次に30本の丸太が橋の路面となるよう、横に敷き詰めていきながらボルト・ナットで締め込みます。橋の型が出来上がったら、杭状に加工した丸太を使って小川に固定します。ここでカケヤを使用しますが、木材が破損しないよう杭打ちキャップを用意して打ち込んだので、綺麗に仕上がりました。

 規模からしたら小さな橋かも知れませんが、現場状況に応じ身を処しながら作業することや、道具の使い方や注意点、例えば大きなカケヤを使う際は周囲への注意が必要など意識が広がったと思いました。


(6)仕上げ

 後日、いよいよ総仕上げです! 組み立て作業中についてしまった足跡を高圧洗浄機できれいに落としてから1日乾かし、総仕上げでオスモカラーを再度塗りました。

 下準備も含めてかかった日数は約7日間。作業に関わった一人一人の力が結集した素晴らしい橋が出来上がりました。

木製の手づくり橋が完成

                                    

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現在生長の家国際本部”森の中のオフィス”見学は中止しておりますが、終息し再開した暁には、ぜひお越しいただき、渡ってみてください。(要予約:代表番号 0551-45-7777)

                                   

(SNIクラフト倶楽部・尾身和洋)

クラフトフェア はじめてのおでかけレポート

1. どきどきはじめてのクラフトフェア

初夏の日差しがまぶしい5月、はじめてのクラフトフェアに行ってきました。

なにを隠そう、私はクラフトフェアビギナー(初心者)。

おしゃれな空間をイメージして勝手にどきどきしながら、足を踏み入れてみました。

今回遊びにいったのは2つのクラフトフェア。


山梨県北杜市の「モノツクリノモリ」

 地元のクラフト作家さんを中心に出展された、こじんまりとしたアットホームなマーケット。木工、陶芸、アロマキャンドル、銀の食器や雑貨などをはじめ、モノづくり体験ができるワークショップ、地元のおいしいグルメ、歌やダンスのステージ。

 森林にかこまれた美術館が会場で、自然と美のあたたなか雰囲気のすてきなマーケットでした。

山梨県北杜市の手工芸作家・ぐるぐるへびの俵裕子さん
山梨県韮崎市のキャンドル作家・HOPE2018の小田切綾子さん

長野県原村の「八ヶ岳クラフト市」

 日本各地からクラフト作家さんが集まる「八ヶ岳クラフト市」(今回は緊急事態宣言(2021年5月付)が出ている都道府県の作家さんの出展は見送られました)。

 広い八ヶ岳自然文化園の敷地に、ガラス、木工、染織、陶磁器、アート、食器などのクラフト作品がいっぱいでした。

 購入した一部はこちら

 ・長野県産材サクラでできたピアス(By Hashimoto Seisakusyo)

 ・静岡県浜松市のヤマザクラとヒメシャラのミニチェア(By Greenery)

 ・陶器の小鉢3つ(By 夢木工)

はじめてのクラフトフェアに行った私。

最初はどきどきして、作品とパンフレットをみるのに精一杯でしたが、

次第に、作家さんに木の産地を聞いたり、どこに工房を構えているとか、モノづくりをする前はこんな仕事してたんだよ、など会話を楽しめるようになりました。


2. クラフトフェアの魅力

 全国の至るところで行われているクラフトフェアでは、多くの場合、その県内か近隣県、または全国の作家さん・お店・工房(プロもセミプロもアマチュア問わず)が、手づくりの作品を出品しています。農産物のマーケットプレイスやフェスタに似ていて、地元の素材を活かし四季を感じる作品や展示、催し物でいっぱいです。 

 楽しみのひとつは、作品について作者本人とお話しができること。聞きたいことを尋ねると、皆さん自分の作品についての思いや、素材や技法についてのこだわりを、嬉しそうに話してくれます。一見同じように見える木製のトレーや陶器の皿も、木目やうわぐすりのかかり具合は多様で、手彩色のアクセサリーはもちろん一つひとつ全然違い、服やカバンや帽子も一品ものが多くて、選ぶのに迷います。

 こうして、実際に会った作家さんの作品を買うと、それを使うたびに、つくった方のことが思い出されて、大事に使うようになります。 

 作家さんと話をしていると、次は自分でどんなものをつくろう?どんな素材がいいかな?などと、クラフトに使えるのかのヒントが得られます。また、たくさんの作品を見て迷っているうちに、自分の好きなデザインや色や形状が、自分でだんだん分かってきて、自分でつくってみたい物のイメージがわいてきます。

  作品をじかに見て、触って、五感で作品に触れてみることは、自分で実際にモノづくりをするときのとても良い刺激になります。 

 また、雑貨を買えるほかにも、実際に体験できるワークショップもあります。自宅では道具や材料が揃わず、ハードルが高いなと思うジャンルの手づくり体験にも挑戦できるので、おすすめです。


 こうしたクラフトフェアにおける作家さんとの出会いがきっかけで、
山梨県北杜市の生長の家“森の中のオフィス”で毎年開催されている
「自然の恵みフェスタ」(※2020年は新型コロナの影響で中止)や、
生長の家の美術公募展である「生光展」にご協力いただくご縁もありました。
クラフトフェアに行くことは、自分自身の学びの場でもあると、感じています。


 ちなみに、私がネットでクラフトフェアを調べる時は、
「クラフトフェア ○○」「クラフト市 ○○」(○○には地名を入れる)などのキーワードでネット検索しています。

 各都道府県で、大小さまざまなクラフトフェアが開かれていますので、遊びにいってはいかがでしょう。 (新型コロナウイルスの感染対策をしてお出かけください)

 最近では、新型コロナウイルスの影響で開催中止になるクラフトフェアもある一方、オンラインで開催されているものもあります。

 皆さんも身近なのクラフトフェアを探す際の参考にしてみてください。

(SNIクラフト倶楽部 松尾純子)


子どもの「マイクロプラスチック」問題への興味に向き合うヒント


1.子どもにマイクロプラスチック問題をどう伝えるか

娘と近所の図書館へでかけたある日。
好きな絵本を借りて、受付で手続きをしていると、
娘はエコ関連の本を並べた特設コーナーから、
ゴミとリサイクルに関する本を持ってきました。

ペラペラとめくって、結局は借りずに自ら本棚にしまいましたが、
興味を持ち始めているのかな?と感じました。

その後も、コンビニ前や道端にゴミが落ちてると
「ねえ!ゴミ落ちてるよ!!」とみつけては教えてくるのでした。

しかしかばんの中にはゴミ袋や手袋、トングを入れていないので、
「次またゴミ袋持ってるとき拾おうね」
と言いながらモヤモヤ。

別の日も「ねえ!ゴミ落ちてる!!」「お母さん、落ちているのになぜ拾わないの」が数度も続きました。

その度にゴミ袋を持ってない(いや、持ってないことを理由に拾おうとしない)自分にモヤモヤしていました。

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2.ゴミ拾いがきっかけで始まった、娘の興味

これより遡ること1ヶ月前。
もともとのきっかけは、娘とお友達親子とごみ拾いをしながら、散歩したときの事。

「道にゴミが落ちてるとね、それが風や川に流されて海に行って、ゴミが小さく削れて、
お魚が食べちゃってお魚しんじゃうんだよ」そう話かけながら、ゴミ拾いをしました。

その後、保育園の駐車場や道端にゴミが落ちてると
「ねえ!ゴミ落ちてるよ!!」とみつけては教えてくる娘。

ある日、自宅の本棚から『クジラのおなかからプラスチック』の本を取り出し、
なにやらペラペラ眺めていました。
海中に捨てられた網に絡まった亀や、ビニール袋に絡まった海鳥の写真をみて、
「かわいそう」と漏らしていました。

※書籍に実際に掲載されている写真とは異なります

5歳ながら、いろんな点と点が繋がって、どういうことか理解しようとしてるのか、
どこまでか分からないけど、娘の興味に向き合ってみようと思い、
以下の3つのことをやってみることにしました。

①一緒に外でごみ拾いをしてみる
②絵本を一緒に見る
③自宅で「ごみを減らす」「プラスチック使用を減らす」

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3.マイクロプラスチックとはなにか

5歳の娘にマイクロプラスチックといっても分からないかもしれないので、
「風や川に流されたゴミが小さくなって、海に出て・・・」と教えました。

そもそもマイクロプラスチックとはなにか。
「マイクロ」とは1000分の1ミリ、0.001ミリのことを指しますが、「マイクロプラスチック」の場合は、大きさが5ミリ以下のプラスチックのことを指します。

マイクロプラスチックには大きく2種類あり、


1つは製造される時点で既に5ミリ以下の小さいプラスチックです。

例えば、日本では2016年から化粧品メーカーによる自主規制が進んでいますが、スクラブという小さな粒々や歯磨き粉に使われている研磨剤のマイクロビーズのことをいい、元々小さなプラスチックとして製造されたものなので、「一次マイクロプラスチック」と呼ばれています。

2つめは、プラスチック製品が自然環境中で劣化し、粉々になったプラスチックです。

道端に墜ちているプラスチックゴミなどが紫外線で劣化したり、風で飛ばされて海や川に流れ着き、波や紫外線で劣化することでボロボロと崩れます。しかし池中や海中では長期間分解されずに残るため、これが「二次マイクロプラスチック」と呼ばれています。

これが今、プラスチックごみの中でも特に大きな問題になっているといいます。

また5ミリ以下のマイクロプラスチック以外にも、
海を漂うごみの問題「海洋プラスチックごみ問題」は深刻です。

エレン・マッカーサー財団(Ellen MacArthur Foundation )が世界経済フォーラムの支援を受け、2016年と2017年のレポートで発表した報告によると、2050年には海に漂うプラスチックごみの重量が、世界中の海の魚の総量を超えると予測しています。


漂うプラスチックごみを、餌と間違えて誤飲する生物、ビニール袋や漁業網が体に巻き付き、自分では取ることができずにいる生物、彼らはやがて、死に至ります。

さらに、最近では「ナノプラスチック」という問題も明らかになってきています。「ナノ」とは「マイクロ」の1000分の1ミリなので、更に小さなプラスチックを指し、これが体内に取り込まれると臓器に蓄積されるなどの影響があると、問題視されはじめています。

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4.なにができる?

これらをきっかけに、ゴミ袋と軍手をセットにして、鞄に入れて持ち歩くようになりました。


母がずっと「そうだね~、また今度ね~」とか「お店の人が拾うから、拾わなくて大丈夫だよ」という態度を続けることで、娘がそれで良いと思ってしまわないように、一緒に拾い、一緒に成長しようとしたいと思いました。

ただマイクロプラスチックのごみ問題は、今日明日で解決することではありません。
日常の中の小さな行動から考えることが大切だと思うのです。

だからこそ、ごみが海にたどり着かないようできることを娘に伝えたいと思いました。
といっても、頭でっかちにならず、肩の力を抜きながら、楽しく。

「ビニールぶくろをたくさんつかわない。
 ビニールぶくろのかわりに、べつのふくろをつかいます」

「なんどもたいせつにつかおう」

「うみやかわのおさかなさんをまもるために、いえのなかのゴミをへらしていこう」

理解するのに何年経ってもよいので、
一緒に楽しみながら声をかけてみよう、そう思う今日この頃です。

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(SNIクラフト倶楽部 松尾純子)


参考:

『クジラのおなかからプラスチック』 保坂直紀・著 出版社: 旬報社

『海洋プラスチックごみ問題の真実 マイクロプラスチックの実態と未来予測』著者/編集:磯辺篤彦、出版社:化学同人

エレン・マッカーサー財団「Publications The New Plastics Economy」

 環境省HP「第3章 プラスチックを取り巻く状況と資源循環体制の構築に向けて」)

森の中のゴミ拾い

ゴミがいっぱいだった森の道

 こんにちは、SNIクラフト倶楽部の中井です。
 2020年4月、私は電動アシスト自転車を買いました。私が住む山梨県北杜市は、自然がとても豊かで美しく、のんびりとサイクリングしたら楽しいだろうなという思いから、自転車に乗り始めたのです。

 ところがいざ走ってみると、道ばたや草むらの中には、いろんな種類のゴミがいっぱい落ちていて驚きました。7年前から、住んでいる街のゴミ拾いを続けていましたので、これからは自転車に乗りながら、森の道もきれいにしようと決心したのです。


自然の生態系を守る“森の中のゴミ拾い”

 ゴミ拾いをするようになって一ヶ月が過ぎた頃、一頭の野生のシカが道ばたに捨てられた弁当を食べているのを見て、私はショックを受けました。今まで、街の中でゴミ拾いを行っていた時は、そこに住む人たちが喜んでくれたらという思いで続けていました。

 でも、自然の中でゴミ拾いを行うようになって、ゴミを拾うことは私たち人間のためだけではなく、そこに住む動物や植物の生命を守ることにつながるということに気づきました。落ちているゴミの中には、動物や植物にとっても有害なプラスチック製品やガラス瓶、空き缶なども、とても多いのです。動物がゴミの破片でケガをしたり、間違えて食べたゴミによって、消化不良で死んでしまうケースもあるということを知りました。

 また、美しい水を作ってくれるのは、川の源である森です。その森にプラスチックの容器が捨てられていることで、川から海に流れたプラスチックゴミによって川や海が汚されています。さらには、紫外線などによって劣化し、ボロボロになったプラスチックが土壌に入り込むことで、土の栄養が減り、植物の生長や土中に暮らす生物に悪影響を与えているとも言われています。このような「海洋プラスチック」「マイクロプラスチック」などの問題は、多くの学者やメディアなどが取り上げています。(参考:NHK就活応援ニュースゼミ「1からわかる!プラスチックごみ問題」



 森の中で行うゴミ拾いは、あらゆる自然の生態系を守ることができると気づきました。動物や植物、昆虫など全ての生物が平和に暮らすことができ、私自身が自然を傷つけない生き方をするためにも、今私は森の中のゴミ拾いを毎日続けています。


ゴミ拾いは嬉しいことがいっぱい

 ゴミ拾いを続けていると、嬉しい出来事もたくさんあります。私はその日によってゴミ拾いをするコースを変えたりはせずに、ずっと同じコースでゴミ拾いを行っています。毎日同じコースを走っていると、少しずつ季節によって移り変わる風景や、様々な種類の鳥や昆虫、植物に出会うことができ、自然は生きていることを鮮やかに感じることができます。


 たまに出会うおじさんから、「今日もありがとう!」ってお礼を言ってもらえたり、畑作業をしているおばさんに、「おはようございます」って挨拶してもらえたりすると、すごく幸せな気持ちになります。

 また、ゴミを拾って草むらがきれいになると、草や木やそこに住んでいる動物たちも喜んでくれているような気がしてきて、私と自然との一体感を味わうことができました。


自然と一体の喜びを生活に表現

 森の中のゴミ拾いを続けるようになって、自然に“与え返す”生き方()を自分の生活にもっと反映していきたいと思うようになりました。

 最近、具体的に変えたことがあります。拾ったゴミを入れるために、今までレジ袋を使っていたのですが、竹かごに変えました。レジ袋は石油由来であることに加え、毎回ゴミ拾い後にはレジ袋も一緒に破棄するため、もったいないと感じていました。

 しかし竹かごは、自然素材でできていることや、繰り返し使えること、最終的には土に還ることなど、自然にかける負荷が少ないです。


他にも、飲み物のボトルを自転車に付けるドリンクホルダーを竹で作りました。

 このようにして私は、自然に感謝して、自然に“与え返す”生き方を心がけることによって、今まで味わったことのなかった幸せを実感しています。

 これからも、森の中のゴミ拾いを続けながら、自然と一体の喜びを、生活に表現していきたいと思います。

(SNIクラフト倶楽部 中井憲治)

<参照>
*自然に“与え返す”生き方:谷口雅宣・生長の家総裁ブログ「唐松模様」より「自然界に“与え返す”生き方」

仙台七夕と手づくりの思い出

SNIクラフト倶楽部事務局の松田あゆみです。
8月と言えば、夏祭り。

私の生まれ育った宮城県仙台市でも、街のあちらこちらに手作りの七夕飾りが飾られ、
とても賑やかになります。
(残念ながら2020年は中止になってしまいました)


【仙台七夕の飾りに込められた願い】

一説には伊達政宗が、様々な願いを込めた七種類の飾りを和紙で作り、飾ったことが起源といわれています。

短冊(たんざく)…    学問や書道の上達
紙衣(かみごろも)…   病気や災難の厄除け、裁縫の上達
折鶴(おりづる)…    家内安全と健康長寿
巾着(きんちゃく)…   商売繁盛
投網(とあみ)…     豊漁・豊作
屑篭(くずかご)…    清潔と倹約
吹き流し(ふきながし)… 織姫の織糸

出典:仙台商工会議所


商店街では、店ごとで大きな竹に手づくりした七夕さん(地元・仙台での呼び方)を飾り付け、
店の前に飾ります。

数年前からこの竹の一部はリサイクルされるようになり、
お盆の迎え火として商店街を灯す竹灯籠になっていたり、
鹿児島県川内市で作られている竹紙の原料ともなっているそうです。
(画像は竹灯籠の様子)


【夏休みの思い出】

私の家は商売をしていたので、夏休みの子供の居場所は家の中になく、遊びに出かけていました。

母から勧められる先は「ミシン屋さんで弁当袋作り」や「市役所で七夕さんを作る」といった具合で、
何かしらのものづくりをして、夏休みの宿題代わりに提出できる遊びが多かった気がします。

市役所で行われていたワークショップで七夕飾りを作った時は、
一つ一つ飾りに込められた意味を教えてもらいながら、
何日も通って飾りを完成させました。


【私の手づくりの原点】

父は釣具屋をしていましたが、
同時に自分で釣り竿や仕掛けなど、道具を作る職人でもありました。

お客さんに
「こんな道具が欲しいけど売っていない。
自分では作れないが、作ってくれたら買う。」と言われると

あれこれと工夫を凝らし、作ってしまう器用な人でした。

父のごつごつとした手から繊細な道具が作られていく工程を
ワクワクしながら見ていました。

そのおかげか、自分たちで作り、試す。
うまくいかない時は父に相談し、
時には一緒に作るということが遊びの一部になっていました。


【材料を選ぶ時の気持ちの変化】

以前は、あまり材料にこだわりがなく、
デザインだけで生地や毛糸を選んでしまい、石油由来の製品も使っていました。

しかし、クラフト倶楽部へ入ったことで、
何かを作る時には原材料や原産国が気になるようになりました。

そんな私が4月(完成したのは5月)につくったのは、
竹繊維で作られた糸で編んだショールです。

竹繊維で作られた糸で編んだショール


自然素材だからこその優しい風合いは、化繊に劣ることはなく、楽しい手づくりの時間を過ごせました。


6月に甥が生まれました。

何か手づくりの物を贈りたいと思い、
スタイ(よだれかけ)を作るため、オーガニックコットンの生地を求めました。

送られてきた甥の写真を眺めながら、
家族の笑顔を思い浮かべ、手づくりを楽しんでいます。

みなさんも、誰かの笑顔を思いながら手づくりを楽しんでください。

きっと世界で一つだけのステキな作品が、
思い描いた以上の笑顔を運んできてくれるのではないでしょうか?

(SNIクラフト倶楽部 松田あゆみ)

布マスクは代用品じゃなくて、これからの主役だ

みなさんこんにちは。
SNIクラフト倶楽部の松尾純子です。
2020年1月末から世界各地で流行が始まった、新型コロナウイルス感染症。
日本では5月末に緊急事態宣言が解除され、感染拡大防止の対策をしながら、
仕事や学校、日常生活が再開されています。
しかし7月上旬現在、再び東京で100名越えの感染者が確認されたり、世界では感染拡大が止まらず、
世界中で1100万人以上の人が感染し、52万人以上が亡くなっています。(参照:WHO世界保健機構より)


日常生活で必需品となったマスクですが、
一時、不織布が主流の使い捨てマスクの生産が需要に追いつかず、
マスク不足の時期もありました。
そんな中で、SNIクラフト倶楽部の多くのメンバーが取り組んだように、
世の中では「ないなら作ろう」「洗って繰り返し使える」と、
綿などの自然素材で布マスクを手作りする人、また繰り返し使えるマスクを購入する人が増えてきました。

しかし現在(7月)においては、マスク不足の時期から一転。
「布マスクは、あくまでも代用品。 安く使い捨てできるマスクが手に入るなら、こっちを使う。」

不織布の使い捨てマスクの供給が増え、布マスクを使っていた人も、使い捨てマスクに変える人もいらっしゃるかと思います。

この記事は決して使い捨てマスクを否定するものではありません。
ですが、この新型コロナウイルスの問題や、使い捨てマスクによって起きている海洋ゴミ問題と、わたしたち人間一人ひとりの意識や行動との関係について触れながら、 繰り返し使える布マスクが、これからの主役になってほしいと願いを込め、 ブログを綴りたいと思います。


1.お店に戻ってきた不織布マスク

1月下旬から使い捨てマスクが手に入らず、
布マスクを手作りして使っている人、
お店やネットで布マスクを購入する人、
使い捨てマスクを洗って消毒し、数回使っている人など、
自分のせきやくしゃみ、会話における飛沫感染を防止する目的で、
マスク着用するために、さまざまな工夫で感染拡大防止に努めていました。

日本においては、国内の各企業の新規参入や、4月中旬ごろより海外からの輸入再開により、
徐々に店頭に不織布マスクが並ぶようになりました。
以前に比べ、非常に高額だった不織布マスクも、7月上旬現在は値崩れしているようです。

一方で、お店で格安でマスクが手に入るようになってからは、
それまで布マスクを使っていた人も、便利・手軽・安いという理由で、
次第に使い捨てマスクを利用するようになった人も多いのではないでしょうか。


2.海を漂う人間が捨てたマスクたち

世界全体で拡大を続ける新型コロナウイルス感染症。
それに伴い、世界中でマスクの需要が高まりました。
その一方で、世界各地の海中で、捨てられたマスクのゴミが漂流し、
生態系に悪影響を及ぼしています。

使い捨てマスクが海に漂流 生態系に新たな脅威 (朝日新聞GLOBE 2020年3月13日)
マスクが海を汚す… 使用増加でポイ捨ても増加 (ロイター2020年6月10日)

記事によりますと、マスクやゴム手袋といった、 新型コロナウイルスの感染を防ぐため使われたとみられるものが 多数見つかるようになったといいます。

これらは、海洋中のプラスチックゴミなどと同じで、環境に影響を与えます。
一般に広く使用されているサージカルマスクは「紙マスク」とも呼ばれますが、
実は「紙」ではなく、主な材質はポリプロピレンという「プラスチック」です。

フランスのNPO・Opération Mer Propreの創始者ロンバール・ローラン氏はこう言います。
「マスクが分解されるまで、300年から500年くらいかかると言われています。環境に長期的な影響があり、分解されて食物連鎖の過程に入り、最終的に人間が食べてしまうのです」

(引用:TBSニュース【SDGs×コロナ後の世界】マスク普及で“不都合な真実”も


3.コロナ禍での気づき

人類の誕生とともに感染症との闘いの歴史が始まったといわれ、中世ヨーロッパにおいて人口の3分の1が死亡したといわれるペスト。世界中で5億人以上の者が感染し、死亡者数が2,000万人とも4,000万人ともいわれる1900年代以降インフルエンザの流行など、感染症は多くの人類の命を奪ってきました*1。

しかし感染症の歴史と人類・文明の関係は、人間が自然や動物を自己中心的に利用し、より至福な便利な文明生活を追求してきた結果、感染流行を繰り返してきたという研究結果もあります。 * 2
また、産業革命以降、とりわけ20世紀以降、人間による「開発」「発展」という名の自然への介入は、それまでとは比較にならない規模と速度で自然破壊がすすみ、それによって引き起こされた感染症が数多くあります。 * 3

根本的に、私たち人間ひとりひとりが、便利で効率優先な、大量生産大量消費のサイクルの矛盾・問題点に気がつき、自然や他の動植物を、人間の好きなままに酷使するような価値観・生き方を変えない限り、問題は繰り返すと思います。

2020年、世界中で大流行した新型コロナウイルスの問題から、
私たちは生き方を変えていくことを学ばなければいけない、そう思うのです。


4.布マスクは代用品じゃない。これからの主役だ

先にも述べましたが、決して、使い捨てマスク自体を否定したいのではありません。 (使い捨てマスクが必要な仕事やシチュエーションもあると思います)

使い捨てできるマスクが手に入らなかった2月以降、
不便であっても様々な手段でマスクの代わりになるものを使う人が多くいました。

しかし再び使い捨てマスクを購入できるようになったら、
また使い捨て文化に戻ってしまう風潮を見て、矛盾を感じていました。

布マスクを使う等、一見不便に思えるこの経験を生かして、
環境問題や次世代の地球へ意識をむけ、
持続可能な生活スタイルを続けてみませんか。

「布マスクは代用品じゃない。むしろこれからの主役になってほしい。」
---街で布マスクをつけている人達を見て勇気をもらい、
この思いが更に広がるようにと、そう願うのでした。

(SNIクラフト倶楽部 松尾純子)


参照:
*1:人類と感染症の歴史 – 厚生労働省サイト
*2:「文明と伝染病:その関連の歴史」(大谷明・国立感染症研究所名誉所員)
*3:『感染症と文明-共生への道』(山本太郎・著、岩波新書)

「豊かな気持ちで生活を楽しむ」

こんにちは、SNIクラフト倶楽部事務局の中井です。

新型コロナウイルスの問題で、新聞やネット、テレビでは不安なニュースが連日報道されています。
多くの人々が、一日でも早い終息と、世界の平和な日常を取り戻すことを願っているかと思います。

突然ですが、私は以前まで眼鏡業界で営業職をしていました。
その頃の私は毎日忙しく、文字通り「心を亡くして」指示とノルマに
追われる日々を過ごしていました。
そんな当時の心境などを思い出しながらも、
今回の新型コロナウイルスの問題を機に考えたことを、記事にしてみました。


端材でスマホスタンドを作ってみる

3月の終わり頃、家の倉庫を掃除していた時、すごくきれいな木目の端材を見つけました。
この木を使って何か作れないかと考えました。

「そうだ。スマホスタンドを作ってみよう」

ちょうど、スマートフォンを使って会員の方々とビデオ通話をする機会が増えていたので、スマホスタンドが欲しかったのです。

早速、のこぎりで木を切って、紙やすりでじっくりと磨いていきました。
あせらず、優しく木の表面を磨いていくと、木も私の動きに合わせるように、自分の木目の美しさを、ゆっくり、ゆっくりと見せてくれました。

私があせらずに作ることで、木は、自分が本来持っている美しさを私に教えてくれました。

それで、完成したのが、この作品です。

こんなふうにスマホを立てて使います。
差し込む溝を調節すれば、スマホの角度も変えることができます。

お店に行けば、もっと格好良く、機能的なスマホスタンドは売っているでしょう。
でも、私にとっては、このスマホスタンドが一番のお気に入りになりました。
なぜなら、この作品の材料である何の変哲もない1枚の板は、この私に豊かな時間を与えてくれたからです。


不安な日々が続くなかで

4月に入って、新型コロナウイルスの感染拡大の防止のため、私が勤務する生長の家国際本部“森の中のオフィス”が閉鎖されました。
突然の在宅勤務で業務となった私は、「全国の会員の皆さんは元気にしてるのかな?」と心配になりました。

「そうだ。絵手紙を届けて、少しでもみんなに元気になっていただこう」

実は、今まで行事などで絵手紙を描いたことはありましたが、その絵手紙を誰かに送ったことは一度もありませんでした。

「明るく 優しく いのちを 観つめて」

一枚ずつ、じっくりとていねいに、心を込めて書きました。
春らしく桜の花を描きました。

「喜んでくださるかな」

そんな想いで、一枚一枚真心を込めて描いていると、私自身が幸せな気持ちになりました。
そして、届いた方の嬉しそうな表情が思い浮かび、桜の花びらの優しさまで感じることができました。

上手に描けないと思うと、ちょっと尻込みしてしまいます。
でも、上手に描けるかどうかよりも、描いている時にどれだけ豊かな気持ちになれるか、このことの方が尊いことなんだと気づきました。


いのちを生かす生活 

最近私は、

「どうすれば自分は幸せに生きることができるのだろうか」と悩むことはやめて、
「どうすればまわりが幸せに生きることができるのだろうか」と考えるようにしています。


新型コロナウイルスの影響で在宅勤務になり、あまり外に出ることができなくなりました。

そんな私が、今心がけていることは、豊かな時間を過ごすということです。
ごはんを自分で作ってみたり、お風呂掃除をしたり、洗濯物をたたんだり、いろいろやって楽しんでいます。
早く片付けようなんて思わずに、一つ一つのことをじっくりと味わいながらするんです。

タオル一枚でも、ていねいにたたんでるだけで、いろんな気づきが与えられます。
豊かな時間をタオルが与えてくれます。

今まで当たり前のようにしていたことも、できないことが多くなりました。
できなくなったことを数えれば、キリがないほどたくさんあります。
でも、私は思います。


今できることの中に、私たちが行うべき正しい生き方のヒントが、きっとあるんじゃないかと。

今、いのちを生かす生き方を考えるチャンスを与えられているような気がします。

この機会に、じっくりとていねいに、豊かな時間を味わいながら、日常生活やクラフトを楽しみたいと思います

(SNIクラフト倶楽部 中井憲治)

「そうだ!クラフトしよう」-つくる喜び

増えた在宅時間に

新型コロナウィルスの感染症拡大が影響して 、
学校が休校したり、 会社が出勤制限を掛けるなど、
ご家族が自宅にいる時間が増えたご家庭も多いのではないかと思いますが、
皆さま 、いかがお過ごしでしょうか。

子供達は退屈してきて、

“ちょっとそこまで”

とショッピングモールだとかに安易に刺激を求めて出かけてませんか? 

こんな時こそクラフトで独創性を生かし
表現する喜びを知るチャンスだと感じます。

それはいくつになっても、誰にでも、
気持ちに蓋をしなければ出来るのではないでしょうか。

大人は、豊かな経験から、素晴らしい“クラフト”が出来ると思いますし、

子供達と一緒に、手作りによる自己表現の楽しさを味わう事が出来るのではないでしょうか。

きっと必要な材料も家の中に沢山あります


先日、こんなのをつくってみました


“ 子供達は家で退屈してるんじゃないかなー”

と思っている時に、 ふと、
私が高校生の頃、休み時間に友人と遊んでいた時のことを思い出しました。

「そういえば、面白い飛び方をしたものがあったぞ!!」
そんな昔の経験からアイディアを得て、
子供達の退屈しのぎになる物がつくれたらなぁ~と考えました。


私も高校一年生の娘がいますが、
宿題、課題に追われて毎日机に向かう日々を送っています。

作ったものを見せたときは無反応でした

それもそのはず、この第一印象からは何が何だか分からなかったと思います。


父から娘へ 「これ楽しいよー

これ楽しいよー」 



娘に 一投げしてみると、表情が一変! 

ここから二人でキャッチ段ボール?が始まりました。
娘は 園児だった頃にかえったかのような笑顔で、
こちらが「もうやめようか」と言うまで終わらない程でした。

こんなに喜んでくれるとは思っていませんでしたが、
娘との嬉しい思い出をまた一つ、つくることができました。

全ての経験が生かされるとはこの事ですね。


倫理的な生活は、実践することで発見があります。喜びが湧いてきます。

そして今がそのチャンスです。

思いついたものに対して“こんなの…”なんてと思わないで下さい。

実は多くの方が同じ事を思いついていて、
ほとんどが形に表していないだけかもしれません。

想像するだけなく、それを形にあらわすのはとても楽しいです。
形にすることでワクワク感、喜びが出て来ます。
そして実践するうちに素晴らしい情報にも出会います。


季節を楽しんでクラフトする

春一番が吹くこの時期にも出来る事は沢山あると思います。

今、私の頭の中にあるものは凧作りです。
それぞれで作り上げて持ち寄り、連凧にして願いを込め、
空高く上げたら、楽しそうで考えただけでワクワクします。

さあ、そろそろこんな風に思っていただいてるのではないですか?

「そうだ!クラフトしよう」

(SNIクラフト倶楽部事務局 尾身和洋)

そうじ用具に新しい生命を吹き込む

 

職場にあるシュロのほうきたち
だいぶ年季が入り、毛先が曲がって使いづらくなったほうき。
ここ数週間、だんだんと使われなくなっていき、役目を終えそうな雰囲気がありました。

とうとう、破棄して新しいものに替えようか、という話が出ました。

買い換えを思案していた頃、備品管理を行っている部署の先輩にちょうどお話しをする機会がありました。

「毛先を切ったら、まだまだ使えるわよ~」

と優しく教えてもらい、

「そうか!!!!!!」とハッとするものがありました。

早速教えてもらった通りに
仕事の合間をぬって、外のデッキでハサミを入れていきます。
ちょき、ちょき、ちょき、ちょき・・・。

シュロは固くて、なかなか作業は進みません。

それでも切っているうちに、
なんだか心があたたかくなっていく感覚がしました。

毎週一緒にそうじをする職場の方々への感謝

まだ使えるのに破棄しようとして申し訳ない気持ち、

ほうきに絡みついているホコリや髪の毛さえも、ほうきが私たちの手の代わりとなって働いてくれているんだ、とありがたく感じてくるのでした。

決してまっすぐではないし、短くなってもいい、
そんな思いで整えてみること2日間。

できたー!!

使いやすくなって、まだまだ使えるようになりました。

道具をていねいにメンテナンスし、新しい生命を吹き込む。

シュロの切った毛先の束は、薪ストーブのたき付けで再利用。

大量生産、大量消費の時代ですが、

1人の先輩の言葉をきっかけに、

捨てること無く、むだもでず、新しく買うこともなく、
大切に使うことができました。

そしていちばん喜んでいるのは、
この「気づき」をもらったわたし自身の心なのでした。

(SNIクラフト倶楽部 松尾純子)

草木染めっておもしろい!?

突然ですが、今あなたが着ている洋服は、何色でしょうか。
そして、どのような染料でその洋服を染めているかご存じでしょうか。

今回ピックアップするのは、「草木染め」です。
「自然染め」「天然染め」「植物染め」とも呼ばれています。
自然界にある天然のもの、たとえば花、草、野菜、木の実など、
身近にあるもので布を染めます。
草木を煮出してつくった染液に、天然素材の糸や布などの材料
《コットン(綿)やシルク(絹)、ウール(羊毛)》などを入れて染めるのです。

ちなみに、草木染めという言葉は、比較的新しい言葉で、
名付け親の山崎斌さんは、昭和7年に「草木染」という言葉を一度商標登録しましたが、
「草木染を愛する人に自由に使用してもらいたい」という思いから商標権を放棄された、と言われています。


染色文化の歴史

染色文化の歴史は古く、原始的な手法での染色は、
一説によるとエジプトのピラミッドでは4000年以上も前に、
中国では紀元前3000年頃、ヨーロッパやインドでは紀元前2500年頃から行われていたことが分かっています。
日本では、紀元前1400年頃から植物や貝紫などで染色が行われてきたとされています。


合成染料と天然染料

1856年、約160年前にロンドンにて「合成染料(化学染料)」が世界ではじめて誕生します。
天然染料よりも安価で手軽な合成染料は、世界の染色技術の主流となっていきます。
現在も流通している商品の9割以上が「合成染料染め」になります。
おそらく、みなさんが持っている洋服も、合成染料で染められたものが多いのではないでしょうか。

「合成染料」が普及した背景には以下のような理由があります。

1)染料自体の質を安定して供給できる。
 これによって毎回同じ色が染められるようになりました。

2)安価である
 草木染めは植物を育て、収穫し、煮煎じるなど、とても手間がかかります。収穫や栽培、人件費、光熱費もいれるとそのコストは合成染料の100倍以上とも言われます。

3)長期保存ができる
 合成染料にも保存期限が有りますが、たいていは2-3年程保存ができます。草木染めの場合、鮮やかな色を染めようとすると採取してすぐに使わなければならないということもあります。また、草木染めは季節によって染められる色も限られてきます。

こういった点から、合成染料が世界で主流となりました。
しかしこれは、あくまでも製作者目線においての「良いこと」です。
安い値段で、同じ色をいつでも染められるので、大量生産に向いているということです。


一方で、「草木染め」の良いところも考えてみます。

1)安全性が高い
化学染料の中には危険なものもあります。
過去に使われていた化学染料で現在は使用を禁止されているものもたくさんあります。
その点、草木染めは自然界の物を使って染めるため、安全です。

2)環境に優しい
染色には水をたくさん使い、染色後に排水します。
合成染料の染織排水は環境汚染の原因となります。
草木染めは植物を煮煎じた物を使うので、熱湯のまま川に流すなどをしなければ環境を傷つけてしまうことはまずありません。

3)複雑な色合いが出せる
人工的に作られる分、安定した色が出る合成染料。
そのため、グラデーションなど微妙なニュアンスの色合いを出す場合、数種類の染料を調合する必要があります。

一方の草木染めは、もともと染料の中に様々な色素が混ざっているため、淡いグラデーションや色をいくつも重ねたような風合いなど、複雑な表現ができるのです。


手仕事の楽しさを知って、買い物を考える。

私たちSNIクラフト倶楽部では、
自然からもらった環境に優しい素材を使って、
少しめんどくさいと思うことも丁寧にクラフトすることを大切にしています。

わたし(松尾)はこの草木染めに初めて挑戦したことで、
手仕事の尊さと、楽しさを再確認することができました。

すべて自分で染めた服や布でなければいけない、ということではなく、
安く、大量に購入した衣服が、どんなプロセスで染めて造られ、
販売されているかを、前よりも知ることができ、
考えて衣服を買うきっかけもになったと思います。

今回タマネギの染液で染めたハンカチ。模様ひとつひとつが違って愛着がわきます

草木染めが楽しいとわかったので、
次はどんな植物や野菜などで染めてみようか、ひとつ楽しみが増えたのでした。


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草木染めってどうやってやるの? -タマネギの皮編-

(SNIクラフト倶楽部 松尾純子)