枝のボールペンとアルファベット・キーホルダー。ボールペンの替え芯は、ペンチを使って取り替え可能。使い終わった枝は森へ。キーホルダーは「自然の恵みフェスタ」に出品。お友達にもプレゼントしている

森からいただいて……

 息子が通っている保育園は、雨の日も風の日も、雪の日も森へ遊びに行く。息子はよく木の枝を「お土産だよ」と言って持って帰ってくる。息子のお気に入りの枝以外は、冬に薪ストーブをつける時の木っ端に使わせてもらう。


 ある日、木っ端に適した長さに枝を折っていると、ふと、この枝で何か作りたいなと思い、枝を眺めながらいろいろ考えた。そこで出来上がったのが、小さい頃憧れていた“枝のボールペン”と、枝を輪切りにして作ったアルファベット・キーホルダー。

枝のボールペンとアルファベット・キーホルダー。ボールペンの替え芯は、ペンチを使って取り替え可能。使い終わった枝は森へ。キーホルダーは「自然の恵みフェスタ」に出品。お友達にもプレゼントしている
枝のボールペンとアルファベット・キーホルダー。ボールペンの替え芯は、ペンチを使って取り替え可能。使い終わった枝は森へ。キーホルダーは「自然の恵みフェスタ」に出品。お友達にもプレゼントしている。

 木から枝が落ち、自然に還る前に少しだけ使わせていただく。森からいただいた枝を丁寧に扱いながら作り上げていく。貴重な資源だから、手にした人もきっと大切に使ってくれる、自然のあたたかさを感じてくれると信じて……。

(N・K SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.96(2018年3月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.20」

※この記事は2018年に執筆したものです

クラフトフェア はじめてのおでかけレポート

1. どきどきはじめてのクラフトフェア

初夏の日差しがまぶしい5月、はじめてのクラフトフェアに行ってきました。

なにを隠そう、私はクラフトフェアビギナー(初心者)。

おしゃれな空間をイメージして勝手にどきどきしながら、足を踏み入れてみました。

今回遊びにいったのは2つのクラフトフェア。


山梨県北杜市の「モノツクリノモリ」

 地元のクラフト作家さんを中心に出展された、こじんまりとしたアットホームなマーケット。木工、陶芸、アロマキャンドル、銀の食器や雑貨などをはじめ、モノづくり体験ができるワークショップ、地元のおいしいグルメ、歌やダンスのステージ。

 森林にかこまれた美術館が会場で、自然と美のあたたなか雰囲気のすてきなマーケットでした。

山梨県北杜市の手工芸作家・ぐるぐるへびの俵裕子さん
山梨県韮崎市のキャンドル作家・HOPE2018の小田切綾子さん

長野県原村の「八ヶ岳クラフト市」

 日本各地からクラフト作家さんが集まる「八ヶ岳クラフト市」(今回は緊急事態宣言(2021年5月付)が出ている都道府県の作家さんの出展は見送られました)。

 広い八ヶ岳自然文化園の敷地に、ガラス、木工、染織、陶磁器、アート、食器などのクラフト作品がいっぱいでした。

 購入した一部はこちら

 ・長野県産材サクラでできたピアス(By Hashimoto Seisakusyo)

 ・静岡県浜松市のヤマザクラとヒメシャラのミニチェア(By Greenery)

 ・陶器の小鉢3つ(By 夢木工)

はじめてのクラフトフェアに行った私。

最初はどきどきして、作品とパンフレットをみるのに精一杯でしたが、

次第に、作家さんに木の産地を聞いたり、どこに工房を構えているとか、モノづくりをする前はこんな仕事してたんだよ、など会話を楽しめるようになりました。


2. クラフトフェアの魅力

 全国の至るところで行われているクラフトフェアでは、多くの場合、その県内か近隣県、または全国の作家さん・お店・工房(プロもセミプロもアマチュア問わず)が、手づくりの作品を出品しています。農産物のマーケットプレイスやフェスタに似ていて、地元の素材を活かし四季を感じる作品や展示、催し物でいっぱいです。 

 楽しみのひとつは、作品について作者本人とお話しができること。聞きたいことを尋ねると、皆さん自分の作品についての思いや、素材や技法についてのこだわりを、嬉しそうに話してくれます。一見同じように見える木製のトレーや陶器の皿も、木目やうわぐすりのかかり具合は多様で、手彩色のアクセサリーはもちろん一つひとつ全然違い、服やカバンや帽子も一品ものが多くて、選ぶのに迷います。

 こうして、実際に会った作家さんの作品を買うと、それを使うたびに、つくった方のことが思い出されて、大事に使うようになります。 

 作家さんと話をしていると、次は自分でどんなものをつくろう?どんな素材がいいかな?などと、クラフトに使えるのかのヒントが得られます。また、たくさんの作品を見て迷っているうちに、自分の好きなデザインや色や形状が、自分でだんだん分かってきて、自分でつくってみたい物のイメージがわいてきます。

  作品をじかに見て、触って、五感で作品に触れてみることは、自分で実際にモノづくりをするときのとても良い刺激になります。 

 また、雑貨を買えるほかにも、実際に体験できるワークショップもあります。自宅では道具や材料が揃わず、ハードルが高いなと思うジャンルの手づくり体験にも挑戦できるので、おすすめです。


 こうしたクラフトフェアにおける作家さんとの出会いがきっかけで、
山梨県北杜市の生長の家“森の中のオフィス”で毎年開催されている
「自然の恵みフェスタ」(※2020年は新型コロナの影響で中止)や、
生長の家の美術公募展である「生光展」にご協力いただくご縁もありました。
クラフトフェアに行くことは、自分自身の学びの場でもあると、感じています。


 ちなみに、私がネットでクラフトフェアを調べる時は、
「クラフトフェア ○○」「クラフト市 ○○」(○○には地名を入れる)などのキーワードでネット検索しています。

 各都道府県で、大小さまざまなクラフトフェアが開かれていますので、遊びにいってはいかがでしょう。 (新型コロナウイルスの感染対策をしてお出かけください)

 最近では、新型コロナウイルスの影響で開催中止になるクラフトフェアもある一方、オンラインで開催されているものもあります。

 皆さんも身近なのクラフトフェアを探す際の参考にしてみてください。

(SNIクラフト倶楽部 松尾純子)


ネクタイで作ったポーチと携帯ケース

自分の手で作ってみよう

厚紙にカラフルな紙を貼って、ペットボトルのキャップと使用済み切手入れに
お菓子の空き箱は可愛い小物入れに
ネクタイで作ったポーチと携帯ケース
ネクタイで作ったポーチと携帯ケース

 手作りを始める前は、何でもお店で買うことを先に考えていました。今では、自分で作ることをまず考えます。たとえば、物を入れる箱も、丁度良い大きさのものがなければ、厚紙を欲しい形や大きさに切り貼りして、好きな柄の紙を貼って作ります。職場でも、ペットボトルのキャップや使用済み切手、楊枝や砂糖等を入れる箱も手作りした物を使っています。


 また、お菓子等の空き箱も、処分する前に、ちょっと手を加えて、可愛らしい小物入れに作り替えたり、不要になったネクタイも捨てずにほどいて、ポーチや携帯ケースにリメイクしたりしています。何でも処分する前に工夫すると、資源を大切に使えますし、ゴミも減ります。


 手作りは手間がかかるものです。しかしその分、自分の手で作れば愛着が湧いて大切に使い続けられます。今の時代、何でも買えばすぐに手に入りますが、自分で作り出した物にこそ尊い価値があると思うのです。

(西村典子・SNIクラフト倶楽部)


      

『白鳩』誌No.92(2017年11月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.16」

世界にたった一つのものを作る

 子どもの頃から手芸が好きで、今までに編み物、刺繍、羊毛フエルト、ペーパークラフト、グラスリッツェン(ガラスに彫刻する工芸)等、色々な物作りに挑戦しました。
 初めて作ったのは手縫いでの巾着。1枚の布から誰でも簡単に袋が作れて、少々ゆがんでいても、「自分で作った!」という喜びでいっぱいでした。今ではミシンを使って、ポーチやケース等の布小物を、心を込めて作っています。


 私は、悩み事があったり、気分の優れない時は、作品作り用の布を眺めるようにしています。柄などを合わせていると、「今度は何を作ろうか」と、ワクワクして想像力が膨らみます。すると、いつの間にか元気になっているのです。物作りは、精神的にも、肉体的にも、とても素晴らしい事だと思います。また、「物を大切にする」気持ちにもなりました。
 手作りの魅力ーそれは、大量生産とは違い、自分を表現して、世界にたった一つだけのオリジナルな作品を、無限に作れることだと思います。

(西村典子・SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.90(2017年9月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.14」

再び習う

 

 編み物は子どもの頃からどうにも苦手だった。理由は簡単。私が左利き、教えてくれる母が右利きだからだ。母がやって見せてくれるものを反転するが、要所で混乱して目数が合わなくなったり縁がヨレヨレになったりする。出来上がりは可愛くない。意欲が湧かず、次を作らないので上手にならない。この繰り返しだった。


 「右で編めばいいじゃない」と母は簡単に言うけれど、では母が左で編んでみたらいい。初心者が利き手ではない手で編むよりも簡単なはずだ。そう思うが、右利きから見れば、直すべきは少数派の左利きの私なのだ。世知辛い。


 そうやって子どもの頃に諦めた編み物だが、最近は実家に帰省する度、また母に習っている。目数が合わなくなっても、気長に直せるように私が成長したことと、教えてくれる人がいる有り難さを感じるから。そうやって出来上がったのがこのスヌード。おそろいの手袋は、私にはまだ難しいので、母にお任せ☆


(H.M・SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.84(2017年3月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.9」

「ボタニカル」って?

 2016年10月に“森の中のオフィス”で開かれた「自然の恵みフェスタ2016」で、何を出品しようか悩んでいた頃、「ボタニカル」という言葉が耳に入ってきた。少し前から流行っているらしいそれは、雑誌などで見ると、私好みの雰囲気。流行りは苦手だけれど、素敵と思うものには抗えず、英語が不自由な私は、意味を調べてみた。


 ボタニカル(botanical)とは、「植物の」「植物から作られた」 という意味。
 

 流行り物は自分に不要と決めつけて、意味もわからず拒否するところだった。何を隠そう、小学生の頃の唯一の習い事が「生け花」だった私。植物は大好きなのだ。その季節ならではのお花を生けることが楽しかったことを思い出し、植物を使った飾りを作りたくなって、私なりの「ボタニカル」に挑戦することにした。

 蜜蝋と植物由来の素材を使って、ワックスサシェ(芳香剤)作り。道端で見つけた葉っぱも入れて。いつもの道路も、素材を探すと宝探しの気分。流行りもたまには悪くない。


(H.M・SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.83(2017年2月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.8」

自分で直すことで、より大切に思えるモノに

 10年ほど前、メガネを買った時にサービスでついてきたメガネケース。最近、触るたびに表面がボロボロとはがれてくるようになった。新調するのは簡単で、お店には様々な形や色のものがあったけれど、今使っているものより素敵と思えるものは無かった。サービスでついてきたこのメガネケースは、10年使っている間に私の大切なものになっていたのだと気づいた。


 家にある端布を木工用ボンドで貼り付けて直すことを思いついた。もし失敗したら諦めて買い替えればいいのだ、と軽い気持ちで、でも慎重に、シワが寄らないように、角がかさばらないように、ふたがうまく開閉できるように、じっくり時間をかけて作業した。


 出来上がりは、布に少しボンドが染み出たり、ふたの裏の布を切り過ぎて角に元の色が見えたりしているけれど、真剣に向き合って直したメガネケースは、より愛おしくなった。以前は鞄にポイッと投げ入れていたけど、今はそうっと。


(H.M・SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.82(2017年1月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.7」

SNIクラフト倶楽部・展示コーナーだより♪

*展示コーナー・2020年度の作品が揃いました*

2019年に、国際本部の“森の中のオフィス”内に誕生した
SNIクラフト倶楽部の展示コーナー


このコーナーは、主に“森の中のオフィス”を見学される方へ
生長の家のプロジェクト型組織(PBS)の活動、低炭素のライフスタイル実践の紹介を目的として、
SNIクラフト倶楽部メンバーの作品を展示しているものです。

こちらの記事もあわせて読む↓

2019年4月完成「SNIクラフト倶楽部・展示コーナーが完成♪」


2年目となる2020年の展示コーナーには、
全国のSNIクラフト倶楽部メンバーにも協力をいただき、
沢山のすてきな手づくりの品が集まりました。

どの作品もひとりひとりの個性が光り、
見ていて心が温かくなるものばかりです。

そんな作品たちをこれから紹介させていただきます。


*作品紹介*

クラフトに使う材料も
「自然素材」「自然由来の製品」を使うようにしています。

糸、毛糸、木材、竹材、植物染料などを使用し、
化石燃料由来のものはできるだけ使用していません。(再利用品は除く)


『竹皮の弁当箱』作者:つしま屋 
天然の竹からとった皮(2019年5月採取)でつくられた作品です。 時が経っても、傷みはなく、むしろ、しっかり乾いて丈夫になっていて、 まだかすかに竹の香りも残っています。

『Tシャツヤーンのひもポシェット』 作者:kiramekiyukie  
古着のTシャツを細く切り、一本の糸にして、編まれた作品です。

『里山の春』 作者:ひだまりの家 
ぎんなん、松葉、かぼちゃの種、桜の枝などでつくられた作品です。

『紫陽花染めのタッセル』 作者:花鳥舎
生長の家赤坂“いのちの樹林”で剪定したあじさいの葉で、
草木染めにした絹糸からつくられた作品です。

『エコクラフトテープのかご』 作者:あーちゃんのカゴ 
エコクラフトテープと必要最低限の接着剤で つくられた作品です。この作品をご覧になった方に“「自分でも作ってみたい」と思っていただけたらうれしい”との想いで出品いただきました。

『めぐる季節』 作者:andante 
天然素材の布と糸で八ヶ岳の四季を表現した作品です。
額は端材とそうめんの木箱でつくられています。

『リネン×和紙糸の食器洗いクロス』 作者:手作り雑貨ふわふわ工房 
日本製のリネンと和紙糸のワッフル生地、綿100%のミシン糸でつくられた作品です。
タグ部分は麻100%のテープに、日本製の綿100%の刺繍糸で刺繍がほどこされています。

『麻ひもタワシ』 作者:あゆさんのエコタワシ 
黄麻(ジュート)を指で編んでつくられた作品です。

『コットン毛糸タワシ』 作者:有機編紡 
オーガニックコットンの糸で編んだ食器用タワシです。

『小鳥の語らい』 作者:ミセス・ローズ 
森の中で仲むつまじく語らう小鳥たちを押し花で表現した作品です。

『フレンチリーブトップス』 作者:kasty.kasty.kasty
綿100%の生地と、レースはリネンのハギレを使用。
自分の服は可能なかぎり自給自足をしたいという思いからの作品。

『リネンの刺し子バッグ』 作者:kasty.kasty.kasty
リネンのハギレをつぎ合わせ、裏布は洋服を作った余り布を使用。
布の補強に飾りの要素を加えた“刺し子”作品です。

『八ヶ岳ブックスタンド』 作者:暁工房 
山梨県産スギ材を使用し、柿渋で塗装された作品です。
八ヶ岳をイメージしてつくられています。

『竹のランプシェード』 作者:Bang Bamboo 
地元・山梨県北杜市の竹林から採取した竹で作った作品です。
太陽光を蓄電したバッテリーでLEDライトを光らせます。

『スマホスピーカー』 作者:むすび木工 
建築端材及び山梨県産材でつくられた作品です。

*おわりに*

こうして作品が集まると、
「クラフトする」ことへのひとりひとりの想いに、
前向きなパワーを感じます。

そして、つくった人の個性や存在を感じることができて
「手づくりってすごいな~」と改めて思いました。

今この画面を通して、作品をご覧いただいたみなさまにも、
自然重視のクラフトの素晴らしさを感じていただき、
何かつくりたい! というきっかけになっていましたら、嬉しく思います。

(SNIクラフト倶楽部 松尾富美子)

布マスクは代用品じゃなくて、これからの主役だ

みなさんこんにちは。
SNIクラフト倶楽部の松尾純子です。
2020年1月末から世界各地で流行が始まった、新型コロナウイルス感染症。
日本では5月末に緊急事態宣言が解除され、感染拡大防止の対策をしながら、
仕事や学校、日常生活が再開されています。
しかし7月上旬現在、再び東京で100名越えの感染者が確認されたり、世界では感染拡大が止まらず、
世界中で1100万人以上の人が感染し、52万人以上が亡くなっています。(参照:WHO世界保健機構より)


日常生活で必需品となったマスクですが、
一時、不織布が主流の使い捨てマスクの生産が需要に追いつかず、
マスク不足の時期もありました。
そんな中で、SNIクラフト倶楽部の多くのメンバーが取り組んだように、
世の中では「ないなら作ろう」「洗って繰り返し使える」と、
綿などの自然素材で布マスクを手作りする人、また繰り返し使えるマスクを購入する人が増えてきました。

しかし現在(7月)においては、マスク不足の時期から一転。
「布マスクは、あくまでも代用品。 安く使い捨てできるマスクが手に入るなら、こっちを使う。」

不織布の使い捨てマスクの供給が増え、布マスクを使っていた人も、使い捨てマスクに変える人もいらっしゃるかと思います。

この記事は決して使い捨てマスクを否定するものではありません。
ですが、この新型コロナウイルスの問題や、使い捨てマスクによって起きている海洋ゴミ問題と、わたしたち人間一人ひとりの意識や行動との関係について触れながら、 繰り返し使える布マスクが、これからの主役になってほしいと願いを込め、 ブログを綴りたいと思います。


1.お店に戻ってきた不織布マスク

1月下旬から使い捨てマスクが手に入らず、
布マスクを手作りして使っている人、
お店やネットで布マスクを購入する人、
使い捨てマスクを洗って消毒し、数回使っている人など、
自分のせきやくしゃみ、会話における飛沫感染を防止する目的で、
マスク着用するために、さまざまな工夫で感染拡大防止に努めていました。

日本においては、国内の各企業の新規参入や、4月中旬ごろより海外からの輸入再開により、
徐々に店頭に不織布マスクが並ぶようになりました。
以前に比べ、非常に高額だった不織布マスクも、7月上旬現在は値崩れしているようです。

一方で、お店で格安でマスクが手に入るようになってからは、
それまで布マスクを使っていた人も、便利・手軽・安いという理由で、
次第に使い捨てマスクを利用するようになった人も多いのではないでしょうか。


2.海を漂う人間が捨てたマスクたち

世界全体で拡大を続ける新型コロナウイルス感染症。
それに伴い、世界中でマスクの需要が高まりました。
その一方で、世界各地の海中で、捨てられたマスクのゴミが漂流し、
生態系に悪影響を及ぼしています。

使い捨てマスクが海に漂流 生態系に新たな脅威 (朝日新聞GLOBE 2020年3月13日)
マスクが海を汚す… 使用増加でポイ捨ても増加 (ロイター2020年6月10日)

記事によりますと、マスクやゴム手袋といった、 新型コロナウイルスの感染を防ぐため使われたとみられるものが 多数見つかるようになったといいます。

これらは、海洋中のプラスチックゴミなどと同じで、環境に影響を与えます。
一般に広く使用されているサージカルマスクは「紙マスク」とも呼ばれますが、
実は「紙」ではなく、主な材質はポリプロピレンという「プラスチック」です。

フランスのNPO・Opération Mer Propreの創始者ロンバール・ローラン氏はこう言います。
「マスクが分解されるまで、300年から500年くらいかかると言われています。環境に長期的な影響があり、分解されて食物連鎖の過程に入り、最終的に人間が食べてしまうのです」

(引用:TBSニュース【SDGs×コロナ後の世界】マスク普及で“不都合な真実”も


3.コロナ禍での気づき

人類の誕生とともに感染症との闘いの歴史が始まったといわれ、中世ヨーロッパにおいて人口の3分の1が死亡したといわれるペスト。世界中で5億人以上の者が感染し、死亡者数が2,000万人とも4,000万人ともいわれる1900年代以降インフルエンザの流行など、感染症は多くの人類の命を奪ってきました*1。

しかし感染症の歴史と人類・文明の関係は、人間が自然や動物を自己中心的に利用し、より至福な便利な文明生活を追求してきた結果、感染流行を繰り返してきたという研究結果もあります。 * 2
また、産業革命以降、とりわけ20世紀以降、人間による「開発」「発展」という名の自然への介入は、それまでとは比較にならない規模と速度で自然破壊がすすみ、それによって引き起こされた感染症が数多くあります。 * 3

根本的に、私たち人間ひとりひとりが、便利で効率優先な、大量生産大量消費のサイクルの矛盾・問題点に気がつき、自然や他の動植物を、人間の好きなままに酷使するような価値観・生き方を変えない限り、問題は繰り返すと思います。

2020年、世界中で大流行した新型コロナウイルスの問題から、
私たちは生き方を変えていくことを学ばなければいけない、そう思うのです。


4.布マスクは代用品じゃない。これからの主役だ

先にも述べましたが、決して、使い捨てマスク自体を否定したいのではありません。 (使い捨てマスクが必要な仕事やシチュエーションもあると思います)

使い捨てできるマスクが手に入らなかった2月以降、
不便であっても様々な手段でマスクの代わりになるものを使う人が多くいました。

しかし再び使い捨てマスクを購入できるようになったら、
また使い捨て文化に戻ってしまう風潮を見て、矛盾を感じていました。

布マスクを使う等、一見不便に思えるこの経験を生かして、
環境問題や次世代の地球へ意識をむけ、
持続可能な生活スタイルを続けてみませんか。

「布マスクは代用品じゃない。むしろこれからの主役になってほしい。」
---街で布マスクをつけている人達を見て勇気をもらい、
この思いが更に広がるようにと、そう願うのでした。

(SNIクラフト倶楽部 松尾純子)


参照:
*1:人類と感染症の歴史 – 厚生労働省サイト
*2:「文明と伝染病:その関連の歴史」(大谷明・国立感染症研究所名誉所員)
*3:『感染症と文明-共生への道』(山本太郎・著、岩波新書)

【つくり方】立体型布マスクのつくり方

こんにちは♪ 今回は立体型の布マスクのつくり方を紹介します。

【 材 料 】

・表地・・・綿や麻のお好きな生地 タテ18cm×ヨコ35cm 1枚
(今回は綿麻混の花柄生地を使いました)

・裏地・・・ダブルガーゼ生地  タテ18cm×ヨコ30cm  1枚
(今回はダブルガーゼ生地を使いました。1枚重ねのガーゼ生地を使う場合は、これを2枚用意)

・糸(木綿)

・マスクゴム紐・・・約30㎝を2本
 ★ゴム紐の伸縮によって、用意する長さは前後します。また、男性が使用するマスクは約35㎝あると余裕があります。

 ★ゴム紐がない場合はこちらを参考にどうぞ

【 道 具 】

型紙(プリントアウトしてご利用ください。印刷する際は A4サイズ 100%で出力してください)
・ミシン(なければ手縫いでOK)
・裁ちばさみ、糸切りばさみ
・まち針
・紐通し
・アイロン、アイロン台

【つくりかた】

★ 〈ポイント!〉
 綿やガーゼは縮むため、事前に生地を水通ししておきましょう 

型紙をA4サイズで印刷し、形通りに切ります。


②裏地を二つに折り、 裏地の型紙(点線を折り曲げる)サイズにあわせて裁断します。 これで裏地が2枚用意できました。


③表地につかう布を中表(※1)に折り、 表地の型紙(点線を折り曲げない)サイズに合わせて 裁断します。 これで表地が2枚用意できました。
(※1 できあがりに表にしたい面を内側にして生地を重ねること)


④上記②で裁断した裏地を2枚重ねた状態で、前中心を縫い代1㎝を残して縫います。同じく上記③で裁断した表地を、中表で2枚重ねた状態で、同じく前中心縫い代1㎝を残して縫い合わせます。(写真は表地。完成時に表にした面を、内側にして縫い合わせます。)


⑤裏地、表地ともに、縫い目から2㎜位を残して、縫い代部分に1㎝間隔でハサミを入れます。


⑥ 縫い代部分を手で開けて押さえ、アイロンで開いた状態を固定させます。(「アイロンで割る」といいます) 表地、裏地と共に縫い代をアイロンで割ります。


⑦表地と裏地を中表に合わせ、中央で表・裏の縫い目同士ぴったりになるように重ね、上下を縫い代0.7㎝~1㎝で縫います。縫うのは、裏地の端点から端点までです。


⑧ 縫い終えたら、表にひっくり返してアイロンで形を整えます 。


⑨次に表布の両側を1cm→2cmの三つ折りで内側に折り、アイロンをかけます。
この時、折り山がちょうど裏布の端になっているはずです。


⑩三つ折りしたところを縫います。縫い始めと縫い終わりは力がかかるので、返し縫いをしましょう。


⑪ゴム紐を紐通しを使って通し、結びます。結び目は、ゴム通し口の中に隠します。

完成です!


【もしもゴム紐がなければ・・・】

(1)自宅にある余り布で、紐をつくる方法

<材料> 
・余り布(タテ45~50㎝×ヨコ4㎝)×2本
 (できたら綿だと肌触り◎)

①サイズに裁断した布を、1㎝幅で4つ折りにしてアイロンをかけます。

②ギリギリ端を縫います。

③作った紐を通します。
ゴムとは異なり伸縮はしませんが、
長さを調節できる結び方をすれば、ゴムよりも耳が痛くなりにくく快適に使用できます。

紐の長さを調節できる結び方はこちら


(2)コットン毛糸を編んで紐をつくる方法

<材料・道具> 
・コットン毛糸
・かぎ針

①くさり編みで約35㎝の紐を2本つくります。

② 作った紐を通します。ほどよく伸縮し肌触りも気持ちよいです。長さを調節できる結び方をして、快適に使用できます。


むすびに・・・想いとこだわり

新型コロナウィルス感染拡大の影響で、布マスクを手づくりされる人が増えているかと思います。このつくり方ページが、少しでもお役に立てることを願いながら、最後にSNIクラフト倶楽部の想いをご紹介します。

自然素材を選ぶ(購入する場合は、可能な限り国産・日本製)
 マスクの材料としてよく使われるのは、主に綿。
 他に、麻などの自然素材でマスクを作ることがほとんどかと思いますが、
日頃から手芸・木工などクラフトをする際には、石油由来の材料は使わずに自然素材、そして可能な限り国産・日本製を選ぶようにしています。

自宅にあるものをリメイク、活用する
 ものを大切にする、不要になったものに新たな生命を吹き込み、末永く使うよう心がけています。


そして最後に
世界中で感染が広がっている新型コロナウイルスの一日でも早い終息と、
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、

使い捨てマスクの生産・流通が従来通りになったあとも、
使い捨て文化に戻るのではなく、繰り返し使える布マスクを日常的に使う方がひとりでも多く増えることを願っています。

(SNIクラフト倶楽部 松尾純子)