3年余り、認知症を患(わずら)った89歳の母の介護をしています。母一人、子一人で育てられたので、介護するのは当たり前と思う半面、少しずつ記憶が薄れていく母親を見るのは悲しく、精神的に疲れてイライラし、母親にあたってしまいます。そして、そんな自分を後悔する日々です。私はどんな気持ちで母親に接したらいいのでしょうか。_(S・T 、63歳、女性)
回答者:メイ利子 (生長の家本部講師)
そのままのお母さんを受け入れ、
感謝の心で過ごしましょう
私も91歳の母親と2人暮らしですので、あなたのお気持ちはよく分かります。子供は、親にはいつまでも元気でいてほしいと期待するので、衰(おとろ)えていく親の姿を受け入れるのは、簡単なことではありません。でも、一番辛(つら)いのは、老いを受け入れなくてはならない本人ですね。
私は、ある日、母親が娘の期待に応(こた)えたくても、思うように身体がついていかないことに苦しんでいたのを知り、反省しました。それからは、そのままの母親を受け入れることができるようになり、心に余裕(よゆう)が生まれました。また、介護保険制度を利用することで、仕事と生活のバランスがとれるようにもなりました。
あなたのお母さんも、認知症を患(わずら)っていても、心の中ではいつもあなたの幸せを願っている、素晴らしいお母さんです。そのままのお母さんを受け入れて、生み育ててくれたことに感謝しましょう。
介護生活では、できないことに注目していると心が暗くなります。私は毎日、生長の家が推奨(すいしょう)している日時計主義の生き方(*1)を実践(じっせん)し、母親と一緒に、その日にできたこと、嬉しかったこと、感謝したことなどを口に出して数え、『日時計日記』(*2)に記録しています。「ご飯が美味(おい)しかった」「トイレに行けた」「空が美しかった」「鳥がきれいな声で鳴いていた」「よく笑った」など、特別なことではありませんが、こうすることで、当たり前の日常生活の中に、喜びや感謝することが溢(あふ)れているのに気付くようになります。
母親は、娘がこれからも明るく生きていくことができるよう、自(みずか)らの姿を通して教えてくれているのだと思います。どうぞ、あなたもご自分を大切にしながら、お母さんと一緒に過ごせる時間を、明るい感謝の心でお送りください。
*1=日時計が太陽の輝く時刻のみを記録するように、人生において光明面のみを見る生き方
*2=白鳩会総裁・谷口純子監修。生長の家刊