WEB版母親教室

2017.10「しあわせな食卓・食卓にノーミート料理を」

2017年10月17日  

テキスト 谷口純子先生著『おいしいノーミート 四季の恵み弁当』

     谷口純子先生著『平和のレシピ』

 

食欲の秋、美味しいものを大好きな人と食べる、それだけで楽しい気分になりますね!

現代の社会は、豊かで便利で、さまざまなものがすぐに手に入り、情報やものが溢れている時代ですが、子育て中のお母さんにとっては、あまりに情報が多すぎて、何をどう選んでいいか難しい時代ですね。また、核家族化が進んで、本来なら祖父母から伝わるはずの家庭料理の味や食習慣も伝わらなくなっていることは残念なことです。

「いただきます」「ごちそうさま」そのような食事の挨拶にはじまり、「お米の一粒にも感謝して残さず食べること」そのような自然や食の恵みの有り難さも伝わりにくくまた感じにくくなっています。また、地元に、せっかく美味しい食材があっても、共働きで忙しい毎日の中では、つい“早く、便利に、簡単に”と考え、ファーストフードや、コンビニ弁当ですませるということも少なくないかもしれません。ですが、毎日の食事がそのようでは「生きる力」は湧いてきそうにありません。今月は、家族のしあわせな食卓とともに、現代社会の中で、環境・資源・平和と複雑に絡み合っている「食」について少し考えてみましょう。

 

しあわせな食卓

 

生長の家白鳩会総裁・谷口純子先生は、『おいしいノーミート 四季の恵み弁当』に次のようにお書きくださっています。

『食事作りは、一日たりとも欠かすことのできない重要な仕事です。現代は大変便利な社会になり、家で料理をしなくても、町では何でも手に入り、口にすることができるようになりました。けれども、家庭で作られる料理は、外食や売っているものにはない“食べる人への気持ち”が込められています。それらは、目にはみえませんが、隠れた栄養素として幼い時から私たち一人一人を育んできたに違いありません。

手の込んだものでなく、普段の何気ないお総菜であっても、心を込めて作ることによって、家族は健康で幸せな毎日を過ごせるのではないかと思います。』(3頁)

 

「ただいま~!」と帰ってきた子供にとって、夕食の支度をするお母さんが台所で野菜を刻む音、匂い、お母さんがいるという気配さえも、どんなにか子供の心の安定剤になっていることでしょう。学校でイヤなことがあって縮こまっていた心がほぐされ、お母さんの手作りのご飯を食べると、イヤなことも忘れてしまうにちがいありません。たとえ手の込んだものでなくても、お味噌汁一品でもお母さんの作る食事には愛情があります。そして大好きな家族と一緒の食卓を囲むと、笑顔があふれ、ささやかな日常の中にも喜びを発見することができるのだと思います。いくら、栄養価を計った身体によい食事でも、一人の食事は味気なく笑顔のない食卓ではおいしさは感じられません。

食事は、単に物質的栄養素の補給だけのものではなく、心も養います。「おふくろの味」ということばがあるように、同じ材料で同じように作っても、やっぱりお母さんの作った味は子供にとって大切な味であり、いくつになっても思い出とともによみがえり、心の支えになるのではないでしょうか。

 

食事をつくることは尊いこと

 

最近はほしいものは何でも手に入る時代ですが、食生活の中でも遺伝子の組み換えや、添加物など自然から遠ざかった食品が身の回りには溢れ、購買意欲をかき立てる商品のコマーシャルはあとを断ちません。

 

生長の家白鳩会総裁・谷口純子先生は、『平和のレシピ』に次のようにお書きくださっています。

(前略)私たちが食事を作るということはとても尊いことです。近ごろは男性もお料理される方が多いと聞きますが、みんなで楽しくお料理をして、家庭で食事を作ることの価値――それはただ家庭のために忙しい思いをしてお食事を作るのだということではなくて、それをさせていただくことはとてもありがたいことなのだというものの見方に変えていただいたら、毎日が楽しいものとなるのではないかと思います。(221頁)

 

お料理を自分で作るのであれば、食材も地元で取れた旬のものや農薬を使っていないものを選ぶことができます。子供が成長する過程において健康を考え、よい体質を作ってあげることは親として子供に送る大きな財産ですが、そのためには、親である私たちも安心で安全なものを見極める賢さも必要ですね。

そこで、生長の家日本国内で推奨する食品選択の優先順位を皆さんにご紹介します。

 

  1自分で栽培した有機野菜、及びそれを使った加工食品

  2有機JAS認証のない国産の有機食品

  3有機JASマークが表示されている国産の食品

  4国産の減農薬・減化学肥料で栽培された農産物(特別栽培農産物)、その加工品

  5一般的な栽培方法の野菜・その加工品

  6有機JASマーク等が表示されている外国産の食品

   水産物天然ものを推奨しますが、入手困難な場合は、フードマイレージの少ないものを選びます。

  (参考『低炭素の食生活って何?』(宗)「生長の家」運動推進部白鳩会推進課:発行)

「すべては神の生命において一体である」という真理を生きる私たちは、できるだけ地

球環境や生き物を傷つけず、人々の暮らしに悪い影響を与えない食品を選択していきたいと思います。食品を求めるときに、産地はどこか、加工食品なら何が含まれているかを確認したり、可能であれば、畑やプランターで1種類でも野菜を育ててみたり、調味料の1種類だけでも有機食品を継続して購入してみてはいかがでしょう。

食物は本来、その季節に自分の身近で作られているものが一番美味しくて、身体にもよいものです。「食」は人を良くすると書きますが、「地産地消」「旬産旬消」をすることで、その食べ物が私たちの身体の中に入って良いエネルギーに変わって、身体の調子はよくなり心も明るく元気になるはずです。また私たち消費者が、よい育て方をされた野菜や食材を選ぶことは、生産に真摯に取り組んでいる生産者を応援することにもなります。もしかしたら、そういった食材は値段が少し高いかもしれませんがその値段はいのちの重みでもありますね。子供のいのちが、健康でのびやかに育つためには、健康な水と空気と土、太陽の恵みを受けたものを、感謝していただくことだと思います。そして、毎日のご飯の支度の中で、それらの大自然に「生かされている、ありがたい、嬉しい」という感謝とよろこびの中で心をこめて調理すれば、それは尊い祈りとなって、家族に伝わり笑顔のあふれるしあわせな食卓になりますね。

 

食卓から平和を

私たちはたくさんのいのちによって生かされていることや人が生きるために必要なものは、全て自然が与えてくれていること、太陽や雨、風、土そこに住む様々な生物や菌類のおかげであることを思い出してみると、自然が健全でなければ、人は生きていけないことに気づきます。私たちが住む地球では、今地球温暖化による気候変動が異常気象、旱魃、洪水、海面上昇を引き起こし、住むところを失った環境難民を生み出しています。地球温暖化は、CO2等の温室効果ガスの大量排出によるもので、世界全体の排出量の約半分は食肉産業全体から排出されています。

 

生長の家白鳩会総裁・谷口純子先生は、『平和のレシピ』に肉食の弊害について次のようにお書きくださっています。

一般的に言って、人間が口にする食事の中身は、経済的に豊かになればなるほど肉類の割合が増える。この肉類を生産するために、現在はウシやブタなどの家畜、ニワトリなどの家禽には、ほとんどの場合、穀物飼料を与えている。早く太らせるためである。その量は、大変なもので、動物に与える穀物を、人間のための穀物に栽培転換すれば、世界の飢餓の問題は解決すると言われている。有り余るほど多くの食糧に恵まれている人がいる一方で、飢えて死んでいく人がいる。このように極端な格差があることが、世界の平和を脅かしているのである。(189頁)

 

肉食を控える理由は、動物の命を犠牲にし、間接的に殺生になるというということだけでなく、世界の穀物生産の約三分の一が家畜の飼料に使われ、貧しい国々の人々の口に入らず、飢餓問題の一因ともなっています。その穀物飼料を食べたウシやブタを食べるのは、やはり有り余るほど多くの食糧に恵まれている国の人々です。それは、世界を豊かな人と貧しい人に分断し、人々に憎悪、不平等の思いをつのらせます。また、ウシやブタを飼うためには、広い土地がいります。世界では都市化が進んでいますが、農地はほぼ一定していますから、その土地を確保するためには、森林伐採によって、土地をつくる以外にありません。生物多様性に満ちたアマゾンやセラードでは、この放牧や飼料をつくる土地の確保のために原住民は土地を追われ、森林破壊によって多くの生物種が絶滅し、生態系を崩しています。そのような森林伐採によって、地球温暖化はますます進行し、海面は上昇し、さらに土地は減り、土地の奪い合い、資源の奪い合いにつながっていきます。

そこで私たちは考えるべきです。次世代に生きる、子供や孫たちに何を残すことができるのか。ものすごい勢いで、森林を破壊し、空気と水を汚し、大地を傷つけてきたツケを支払わなければいけないのが未来の子供たちだと考えると悲しくなりますね。次の世代に、美しい地球環境を残すことは、私たちの責任なのではないでしょうか。

私たちは色んな選択肢のなかから、自分で選んで自分の人生を生きていますが、食べ方は生き方にもつながります。食事は普通、一日に三回いただくものなので、大変強い習慣性があります。「人間は神の子」と教えていただいている私たちが、肉食を控え、ノーミート料理を心がけることは、大きな愛行であり、善業を積むことになります。台所をあずかる私たちが“他からできるだけ奪わない”神の愛を現す生き方を選択することは、家族の健康だけでなく、美しい地球を守り、世界の平和にも大いに貢献することになり、そのような善い行いは、家族の人生に、しあわせを運んでくれるはずです。

 

  • 子育ての中の「食」の大切さを伝える

心を込めてノーミート料理を作ってみる

肉食が、あたり前に食卓にのぼっていると、肉食をやめるということは、家族に理解をしてもらうには難しく、時間のかかることでしょう。でも、肉食を減らすことはできると思います。肉を使わなくても美味しいお料理はできます。

 『おいしいノーミート 四季の恵み弁当』谷口純子先生書

 『おすすめします 食卓にノーミート料理を』(宗)「生長の家」発行

  普及誌『白鳩』-“森の中のオフィス”食堂レシピ- 

などを参考に家族が喜んでくれそうなメニューを、家族やお子さんと一緒に作ってみるのもいいですね。

 

  • 今月のやってみましょう

  子供と一緒にノーミート料理(環境に優しい料理)を作ってみましょう

 

さて、今月の普及誌「白鳩No91」も大変参考になりますので、併せてごらんください。また、全国で開催されています生長の家の「母親教室」へのご参加を心よりお待ちしています。