生長の家社会事業団等との訴訟について

ニュースリリース

2014.10.13

弊社と公益財団法人生長の家社会事業団(以下社会事業団)並びに株式会社光明思想社との訴訟、「平成26年(ネ)第10026号著作物利用権確認請求事件」に対する控訴審判決が平成26年10月15日、知的財産高等裁判所第4部で行われ、遺憾ながら弊社の主張が受け入れられませんでした。その判決書を精査しましたが、著しく公平を欠き、事実認識を誤り、審理不充分であるため、平成26年10月28日、最高裁判所に上告しました。

本件訴訟は、弊社が戦前から一貫して刊行して参りました、谷口雅春先生の代表的な著書『生命の實相』や『甘露の法雨』等について、出版使用許諾契約に基づく著作物利用権が存続していることの確認を求めたものであります。

本件訴訟の発端は、平成21年1月13日に、社会事業団が当社に対して、昭和57年当社発行の革表紙『生命の實相』復刻版の印税の一部の支払いを請求して参りました。しかし、当該印税は著者谷口雅春先生のご指示に基き、谷口雅春先生並びにご逝去後はそのご遺族に支払い済みであり、社会事業団に支払う理由も根拠もないことから、お断りしました。それを不服として社会事業団は、平成21年2月27日東京地裁民事第46部に支払いを求める訴訟を起こし、以来4年余にわたって高裁、最高裁まで本件が審理されましたが、遺憾ながら当方の主張は入れられず、時効分を除く金50万円の支払いが確定しました。また、『生命の實相』等の著作権の帰属も社会事業団にあると認定されました。

上記印税の不払いにより、弊社と社会事業団との間の信頼関係は毀損されたとして、社会事業団は『生命の實相』や『甘露の法雨』等の出版使用許諾契約の更新拒絶の有効性を主張して当該書籍群の弊社からの出版を差し止めています。しかし、以下の如く、その主張は、長年の相互信頼の下に継続された契約を拒絶する理由とはなり得ないものでありますので、上記著作群について著作物利用権の確認を求めているものであります。

弊社の立論の根拠は、2点に集約されます。第1点は、本件の発端となった革表紙『生命の實相』復刻版発行当時は、ご存命中の谷口雅春先生は勿論のこと、弊社も社会事業団も関係者全員が当該書籍の著作権は谷口雅春先生にあるとの認識を共有していた事実です。当該書籍の印税支払い請求があったのは平成21年1月13日であり、本書発行後27年経過した時点であり、それまで一度たりとも社会事業団から請求がなかったという事実です。たとえ、事後的な裁判所の判断として、復刻版の印税を社会事業団に支払う法的義務があると認められたとしても、これまで、関係者全員が支払いの義務がないとの認識を共有していたのです。そのような状況において、金50万円の印税を支払わなかったことを理由に、26年以上継続されてきた出版契約の更新を一方的に拒否するのは民法上の信義則に悖る行為であり、権利の濫用であると弊社は信じています。

第2点は、谷口雅春先生は社会事業団を昭和21年1月8日に設立された以降、社会事業団に長年にわたって『生命の實相』をはじめ多くの著書の印税を寄付されてきましたが、谷口雅春先生が昭和60年6月17日に逝去された後、事業団に印税が寄付されてきた書籍の内、どの書籍の著作権が寄付されたのかを明確にするために相続人となられたご遺族と社会事業団との間で1点1点明確に確認した上で作成されたのが昭和63年3月22日付確認書です。その確認書には『生命の實相』について、頭注版全40巻、愛蔵版全20巻と記載されているのみで、争点となっている革表紙『生命の實相』復刻版は含まれていないのです。その上、ご遺族の作成された著作物の遺産目録には革表紙『生命の實相』復刻版が明記されているのです。こうした事から、弊社は、革表紙『生命の實相』復刻版の著作権は谷口雅春先生に帰属しているとの認識の下に谷口雅春先生ご逝去後は復刻版の印税をそのご遺族にお支払いしてきました。そう信じるに足るこのような明確な根拠の主張に対して、東京地裁並びに同高裁は、『生命の實相』の著作権登録を根拠として、上記確認書により、『生命の實相』復刻版の著作権は谷口雅春先生の遺族に帰属し、事業団には帰属しない旨の確認がなされたとは認められない、また遺産目録は単に遺族間の認識に基づくものに過ぎず、事業団とは関係のないものであるとの認定を行っています。弊社はこの点について、第1審に次いで高裁において更に詳細な主張をしてきましたが、遺憾ながら、弊社の主張は一顧だにされませんでした。

谷口雅春先生の提唱された人類光明化運動の構想の下、相互理解と信頼に基づいて弊社が60年以上も継続して『生命の實相』や『甘露の法雨』等を出版してきたという重い事実、布教伝道上の枢要な聖典類の出版差し止めが生長の家の宗教活動に及ぼす甚大な影響、弊社の象徴的な出版物『生命の實相』や『甘露の法雨』等の出版停止は弊社の経営基盤を大きく揺るがすものであると共に社会的信用をも毀損するものであることなどからして、その差し止めという極端な行為の可否についての判断は、実態に即した公平かつ公正な配慮が求められるところであり、それらを欠いた高裁判決は誠に不当なものであるといわざるを得ません。従って弊社は、最高裁に於いて公平且つ公正な判断を仰ぐべく、10月28日付で上告致しました。

弊社に対して日頃からご支援ご理解を頂いている多くの方々に、ご心配とご迷惑をおかけしていることを心からお詫び申し上げますとともに、差止状態となっている谷口雅春先生のご著書『生命の實相』や『甘露の法雨』等の1日も早い発行を目指して鋭意取り組ませて頂いている現状をご報告させていただく次第でございます。

以上