第48回衆議院選挙に対する生長の家の方針「再び、与党とその候補者を支持しない」

ニュースリリース

2017.10.04

今月22日の衆議院選挙を前に、当教団は、昨年の参議院選挙の時と同様に、安倍晋三首相の政治姿勢に対して明確な「反対」の意思を表明するために、「再び、与党とその候補者を支持しない」方針を再確認し、合わせて、生長の家が考える政治のあるべき姿を全国の会員・信徒に周知することにしました。

私たちは、なぜ再び、与党とその候補者を支持しないのでしょうか。それは、昨年の参議院選挙の与党不支持の理由として挙げたのと同じく、彼らの政治姿勢が改まらないどころか、国民を無視した強引な政権運営を繰り返しているからです。

1.民主主義の根幹をなす立憲主義を軽視している。

安倍政権は、すでに一内閣の閣議決定だけで「集団的自衛権」を行使できるとする “解釈改憲”を行ったり、一気に11本の安全保障関連法案を強行採決しましたが、今年も、6月15日の参院本会議で、十分な審議を行わないまま、共謀罪(正式名称=改正組織犯罪処罰法)の採決を強行しました。この共謀罪は、内容的にも、犯罪を計画段階から処罰できるもので、テロ組織や暴力団に限定されず、一般市民までが捜査の対象となりうると懸念され、戦前の治安維持法との類似性も指摘されています。

また、安倍政権は、今回の衆議院解散・総選挙を、両院で3分の2以上の圧倒的多数を握る優位の立場にあるにもかかわらず、敢えて強行しました。これには野党が強く反発しただけでなく、憲法学者からも、内閣の解散権の乱用であり、「議会制民主主義の趣旨に反し、立憲主義を危機にさらすものだ」という批判が相次いでいます。安倍首相が、森友・加計問題の追及の目をそらすために解散権を行使したとの疑惑は大きく、多くの良識ある国民の納得を得られていません。

このように、昨夏の参議院選後の国会運営を見ても、安倍政権は、権力を一手に握ったことをよいことに、自分の利益を優先させて強引に国を動かそうとしている一方、主権者である国民の意思を尊重しない独裁的手法が目立ってきています。

2.九条改憲に反対する

今回の衆議院選挙では、私たちは自由民主党(安倍晋三総裁)が打ち出した公約の一つである、「憲法第9条の改正」に反対します。自民党の9条改憲案の「自衛隊の明記」は、「現状の自衛隊の追認だから問題ない」と安易に考えることは間違いであり、日本国憲法の平和主義や基本的人権の保障を脅かす危険性があると考えるものです。

「自衛隊」という言葉を憲法第9条に明記することは、2015年に強行採決された集団的自衛権の限定行使を認めた安保法制を含めて確定することになり、それによって自衛隊の役割が拡大し、米軍と共に軍事行動する機会が増える可能性があります。アメリカの個別的自衛権と「有志連合」の集団的自衛権のそれぞれの発動によって始まったアフガニスタン戦争のような米国主導の戦争に、自衛隊が進んで参加する、あるいは参加させられる可能性が高まります。

また、9条への「自衛隊の明記」は、自衛隊や在日米軍の活動や集団的自衛権行使が自由にできるようにするため、これを監視する国民の「知る権利」や、反対の意思表示をする「表現の自由」などの基本的人権を大きく制限する根拠を与えることになります。実際に、自衛隊の南スーダンの派遣施設隊の日報問題では、政府にとって“不都合な事実”が隠蔽されたり、森友学園・加計学園問題でも、安倍首相個人にとって“不都合な真実”が政府や省庁、一部マスコミを巻き込んで隠蔽されたことをみても、「知る権利」や「表現の自由」が制限されることは同政権の“体質”とさえ言えるでしょう。

自民党は、北朝鮮のミサイル問題があったから、「九条改憲」を言い出したのではなく、2005年に「新憲法草案」(第1次草案)を策定し、また2012年には、「日本国憲法改正草案」(第2次草案)を策定して、その中では、「自衛隊」ではなく、「国防軍」を保持することを堂々と掲げていました。自民党の本音は、「自衛隊の明記」ではなく、国防軍――つまり軍隊を憲法上に明記することであることは知っておく必要があります。ですから、安倍政権の“日本軍国化”のねらいは、「9条改憲」の一つを見ているのでは全貌が分かりません。憲法だけでなく、いくつもの法律の改正、新設、閣議決定、具体的政策などを総合して見ることで、その本当の危険性が露わになります。

すなわち、平和安全保障法、特定機密保護法、共謀罪の強行採決、武器輸出の解禁、軍民両用研究の推進、教科書検定への介入強化などに、今回の自衛隊の9条明記を組み合わせれば、日本の軍事力を増強し、かつ自由に集団的自衛権を行使でき、自衛隊の活動や安全保障に関する情報を隠し、反対するものは徹底的に排除する国を作り上げようとしているとの疑いが深まります。加えて言えば、“教育無償化”の動きには対価があります。タダの教育と引き替えに、政府のさらなる教育内容への介入がやり易くなるという側面を知っておく必要があります。

世界の平和を軍事力や核の抑止力によらず、唯一絶対の神への信仰によって持ち来そうとする生長の家は、このように、日本国憲法の平和主義を後退させ、主権者である国民の権利を縮小し、軍事力の増強、米軍との一体化によって、東アジア地域の緊張を高める結果となる9条改憲案に反対し、立憲主義をないがしろにして、日本の軍国化をめざそうとする安倍政権に対して、明確に「反対」の意思を表明するものです。

3.生長の家が考える政治のあり方について

今回の選挙では、野党勢力が分裂して混迷を深める情勢となっていますが、ここで生長の家がどんな政治を支持するかについて明らかにしておきます。

(1)立憲民主主義に基づく政治の運営

安倍政権がないがしろにしている「立憲主義」とは、憲法によって政治権力を制限し、政治家に憲法を遵守させることですが、それは、民主政治の現代にあっても、「多数者の専制」を防ぐために必要不可欠な考え方です。したがって、「民主主義に立憲主義は不要」という安倍首相の考え方は間違っていると言わざるを得ません。

この立憲主義を民主主義と組み合わせたのが「立憲民主主義」です。それは、一方で国民の政治的自由を最大限認めつつ、その民主的な選択で選ばれた政府といえども憲法で制約し、多数者が好き勝手に権力を使うのを防ぐことによって、立憲主義と民主主義との間でバランスを取ろうとする考え方です。今日で言えば、たとえ与党が議会で圧倒的多数であっても、憲法に基づく政権運営を誠実に行い、間違っても憲法を無視したり、少数者の意見を無視して政治を行うことをしないという政治のあり方です。私たちはこの「立憲民主主義」を支持するものです。

(2)環境・資源問題の解決を含めた安全保障の推進

私たちの願いは、世界の平和です。この平和を実現するためには、核の抑止力や軍事力の行使だけでは不十分です。私たちは、唯一絶対の神への信仰に基づきながら、世界の国同士が対話や交流を深めることにより、文化や宗教の共通性と多様性を認め合いながら平和共存することを目指しています。安倍政権は北朝鮮のミサイル発射行動に対処するとの理由を強調し、自衛隊の行動の活発化や軍備増強を急いでいますが、軍事力で平和は来ないことは気候変動のことを思えば明らかです。現在、地球温暖化の影響で、激しい気候変動が起こり、巨大ハリケーン、洪水や干ばつの頻発によって飢餓が発生し、難民が大量に流出しています。これらの問題は国家間の紛争の火種になっています。また、石油や天然ガスなどの枯渇資源に依存した文明に頼れば、これも資源の争奪による紛争・戦争を引き起こす可能性があります。私たちは、このような環境問題や資源問題を解決することが、世界の平和安定に大きく貢献するものであると確信しています。反対に軍事力で敵国に対峙しようと思っても、気候変動の影響は、敵味方関係なく襲いかかっているのです。安倍政権は原発再稼働を強行し、原発輸出を日本経済の成長戦略の柱の一つと位置付けて海外に売り込んでいますが、そのような原発技術の輸出ではなく、日本のもつ高い環境技術を世界に輸出したり、技術供与すれば、環境問題や資源問題の解決や世界平和に大きな貢献ができ、日本の安全保障にもつながるものと考えます。このような、環境・資源問題の解決を基軸とした平和安全保障を推進する政治を、私たちは支持します。

この度の衆議院総選挙に当たり、以上のような観点に立って候補者や政党を選択することを会員・信徒に勧めるものです。合掌。

2017年10月4日
宗教法人「生長の家」