―信教の自由への国の不当な介入を許す新法に反対する―(法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律に関する声明)

ニュースリリース

2022.12.07

信教の自由への国の不当な介入を許す新法に反対する
(法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律に関する声明)

 生長の家は2022年12月1日に閣議決定され、国会に提出された「法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律」案について、宗教的真理に対して国が合理性を求めることで、信教の自由を侵す危険性があることから、成立に反対します。

 同法案の第四条には「法人等は、寄付の勧誘をするに際し、次に掲げる行為をして寄付の勧誘を受ける個人を困惑させてはならない」として、六項に次の内容が記されています――

六 当該個人に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、当該個人またはその親族の生命、身体、財産その他の重要な事項について、そのままでは現在生じ、もしくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、またはそのような不安を抱いていることに乗じて、その重大な不利益を回避するためには、当該寄付をすることが必要不可欠である旨を告げること。

 ここに記されている「困惑」また「霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力」は、実に幅広い解釈を許します。場合によっては、宗教の教義自体に抵触する可能性があり、これを容認することは、将来にわたり、拡大解釈によって信教の自由が侵害される可能性を残すことになると私たちは考えます。
 多くの被害が訴えられていることを踏まえると、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の布教方法には重大な誤りがあったと考えられ、それには所定の手続きを経て、所轄庁による然るべき判断が行われるべきです。教団による詐欺的な手法が罷り通ってきたとするならば、それを防ぐための法案等の検討自体に、私たちは反対するものではありません。しかし、今回の法案は、同教団の被害への対応という視点からのみ考えられており、憲法が保障する信教の自由への影響を考慮した十分な議論の結果とは考えられません。
 一方で、安倍元首相の銃撃事件によって明らかになった自民党と同教団の野合的関係や、同元首相の果たした不明朗な役割について、十分な究明はされていません。同法案の成立によってこれらの不祥事に「幕引き」がされることは許されず、同党はこの問題についての説明責任を果たすべきです。
 過酷な宗教弾圧に苦しんだ人々の長い歴史の上に、憲法に定められた信教の自由が存在します。苦い歴史を二度と繰り返さないために、私たちは同法案の成立に断固反対します。
 生長の家は従来から、「生長の家」の名前を隠して伝道することを戒め、公明正大な伝道活動を推進してきました。宗教は自らが何を信じるかを正面に掲げ、「隠し事をせず、正直に生きる」べきと考えます。
 その信念に基づき、本声明を発表いたします。

2022年12月7日
宗教法人「生長の家」

<電子メールアドレス: info@jp.seicho-no-ie.org

PDF版はこちら