体験談

一滴の水に思いを込めて/岐阜教区栄える会会頭 武藤 可三

2021年7月16日  

 岐阜教区栄える会は、岐阜県郡上市白鳥町にある「長滝白山神社」で、居住地の自然と文化を顕彰してみようと提案、企画して、4月18日に開催しました。私は毎日、「この日はお天気になりますように」と真剣に祈りました。結果は寒冷前線の南下で、何百年の年輪を経た大杉に囲まれた境内の杜に、寒風が吹き、雨が降ったりやんだり、やみ間に太陽の光が差し込みますが日差しには限りがあります。それでも太陽の温もりを「ああ極楽、極楽」と改めて教えていただきました。
 当日は、久しぶりに懐かしい会員が各地より29名が参加。「この寒い中、遠い所へ足を運んでくださった」と思うと目頭が熱くなりました。参加者全員での参拝、境内の清掃、宮司さんの白山信仰(山岳信仰)にまつわるお話に耳を傾けました。白山神社が日本で一番多いのは岐阜県で525社。その中心である長滝白山神社は修験道の僧である泰澄(たいちょう)によって1300年ほど昔に開創されました。泰澄は奈良の都で流行っていた天然痘を収束させたことで認められ、新しい力をいただく信仰を広めました。白山信仰は、自然界の脅威に対して白山の霊験で治める信仰です。
 私たちは、コロナ禍も含めて自然界の全ての生きとし生けるものと仲良く、感謝しながら、学びながら、ともに生きているのです。白山に雪が積もり、木々から葉っぱに浸み込み、春先から徐々に溶け出して河川を作り、私達の生活や生き物たちを潤してくれます。水は感謝すべき命そのものです。白山連峰大日岳に源を発し伊勢湾に流れ込む日本一美しい川と称される長良川は延長160㎞。その周囲には長良川の鵜飼いや関の刃物、美濃和紙、郡上踊りと80万の人たちが自然を大事にして河川を守ってきた証として、平成27年には「清流長良川の鮎」が世界農業遺産に認定されました。漁業関係者のみならず流域の人々が深く長良川と関わりながら、その恩恵に預かるだけでなく、その暮らしの中で清流が保たれているからです。自然と人間の調和、白山から流れる一滴の水の話に私は時間が経つのを忘れ、あまりの寒さの中「会員の皆さんが風邪などひかないか」と心配しましたが、誰一人何事もなく帰途につきました。私たちは、この体験を通し、自然というものは美しくもあり、厳しいものでもあるということを身をもって知らされました。その瞬間、私の最初の祈りが神様に通じていたことに気が付きました。神様、有難うございます。感謝申し上げます。
 5月30日、栄える会は総会をネットフォーラム(非正規版)で開催し、その中で谷口暁子・本部講師補に「豊かな生活」をテーマに講話していただきました。お話を聞き、豊かな生活とは居住地の自然と文化の中にあることを感じました。参加された皆さんに大きな感動を与えていただき唯々感謝です。ありがとうございます。


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