繁栄ストーリー

CSR(企業の社会的責任)と繁栄の原理

2015年5月16日  

生長の家栄える会会長  中村 全博

中村会長

有難うございます(拍手)。この度、栄える会の目的が変わりましたので、よく理解していただいて、地元に帰って皆さんにお伝えしていただきたいと思います。目的は3つあります。

新しい「栄える会の目的」

  1. 産業界に生長の家の「繁栄の原理」を宣布して、それぞれの企業活動を通じ、真の繁栄を実現すると共に、
  2. 全ての資源やエネルギーを神の生命、仏の生命の現われであると礼拝する宗教心に基づいて、地球温暖化の解決に取り組む産業人の集団を築き、
  3. もって人類光明化・国際平和信仰運動の強力な推進実践体として、神・自然・人間が大調和した”新しい文明の構築”に貢献することを目的とする。

以上の3つです。この中で、「地球温暖化の解決に取り組む産業人の集団を築き」とありますが、何故かと言いますと、地球温暖化の問題は、今世紀に生きる人類にとって、一番大きな問題となっているからです。逃げることなく、温暖化問題解決に向けて、我々は神の子として、神様からアイディアをいただいて、人・時・処に展開して行くのが、大切であるからであります。

生長の家栄える会は「神・自然・人間が大調和した”新しい文明の構築”に貢献する」ために、力強い努力を続けます。

まず目的の第一である「繁栄の原理」についてですが、生長の家でいう「繁栄の原理」は一般の繁栄の原理とは違いますので、これをしっかり確認したいと思います。

その前に、まず私達の脳についての理解が大切ですので、脳についてお話しします。私達の生命は肉体を通して、この世界に神の生命、神の国を表現するために生まれて参りました。

ところが脳の働きを知っておかないと、現在意識によって、眼に視え、耳に聴こえるものに引っ掛かって、その奥にある実相に気がつかず、マイナスの習慣をつけちゃうんですね。ですから脳の働きをしっかり知っていただきたいんです。

私達の脳の働きを知ること

資料にある「生命脳」というのは、私達の肉体を維持するための脳です。食べる、寝る、種を保存するなどですね。

その次にある「感情脳」は、大脳辺縁系であり、無意識でなされている各部の新陳代謝やホルモン系各全部にかかわります。

その上の「人間脳」は大脳新皮質。これが「考える」という人間の特徴にかかわる脳です。この脳は、真ん中に脳髄があり、「左脳」と「右脳」に分かれています。

左脳と右脳の働きは違いますが、同時に働いています。しかし右脳と左脳の情報量とその処理スピードは、かなり違います。

「左脳の働き」は、まず言葉と文字による外への伝達と理解です。人との会話や読書や計算などに必要な聴覚や視覚も働きます。そして論理的な思考や、計算や分析などに非常に優れています。

これらはいずれも現在意識によってなされているので、自他を区別し、現象をそのまま在りと認めるので、「不足感」の習慣がついてしまいます。

それに対して、「右脳の働き」はまずイメージです。そして「見る、聴く、嗅ぐ、味わう、触れる」の五感からの情報を受ける知覚と感性があります。左脳は現在意識で判断するため、左脳の情報量や認識スピードは16ビットしかありません。

それに対して、潜在意識にかかわる右脳の情報処理能力は、1100万ビットと言われています。ビットとは、情報処理能力のことですが、コンピュータが現在64ビット、スーパーコンピュータでも110ビットですから、潜在意識の情報量とその処理能力のスピードが如何に素晴らしいか、お判りでしょう。

現代人はその社会生活から、計算や分析などに優れている必要があるので、左脳はよく発達していますが、損得の世界に生きることになり、味気なく、失敗もあります。

栄える会が提唱する「繁栄の原理」とは

そもそも今から200年前に産業革命が行われて以来、もっと便利に、もっと幸せにと追求してきた結果、人は絶えず不足感に悩まされ、人との競争に明け暮れる生活になり、人口もこの200年間で、5億から72億にまで増え、自然界のものを全部利用し活用して来た結果、今日の地球環境の混乱があるわけです。

しかし、私達の脳には「純粋意識」別名「超越意識」といって、神様の世界に直結した意識があります。

これは「無限の愛、智慧、生命、供給、歓び、調和」に結び付いた意識ですから、神想観によってそれを潜在意識に印象づけることにより、生き生き、ワクワク、嬉しい、楽しいという、充足した生命の世界意識を習慣化することが出来るのです。

今までは、「給料の多寡と職場での地位」が働く一つの価値観になっていましたが、それでは働く生き甲斐は満たされません。

そうではなくて、これからは純粋意識の開発により、働く目的も大きく変わります。

優れたアイデアで素晴らしい技術を開発し、愛と感謝に目覚めて、それを実践し、優れた「人間力」を開発して、職場を、社会を光明化していく人となることが、大きな目的、価値となります。

科学的にいうと、この世は素粒子によって創られています。神様の世界においては、この素粒子は完全な思いによって創られており、全ては一つに繋がっている。

ですからそれは本来、神の生命、仏の生命として、人として、全ての動植物として現われているわけで、そこに立てば、全てを礼拝して、感謝をもって大切に出来るはずですが、我々の潜在意識にある不完全な思いが、時間と空間の制約を通して、不完全に現われるのを見聞きして、それを“本当の世界”だと思ってしまう。

そこに経済上の問題や人間関係の問題、地球温暖化の問題が起きて来ているのです。

それらは全て我々の心の思いの映しとして現われて来ているのですから、まずは我々の心の思いを変えなければならないのです。

山本良一・東京大学名誉教授も、宗教界の人々に、根本的に思いを変えて、地球温暖化に全身全霊で当ってほしいと訴えておられるわけです。

生長の家栄える会が提唱する「繁栄の原理」は、今申し上げた事が根本となります。

地球環境悪化の原因

ここで、地球の環境が悪化した原因について考えますと、まずは人口の問題です。先程も述べたように、200年間に5億から72億への人口増加により、食料の必要量が莫大に増え、水や電力など全ての面で、エネルギー量が非常に増え、その結果、森林の伐採が増え、水が枯渇するようになり、自然が失われ、干ばつや北極の氷床の減少などが起こり、大型台風の頻発や水害が起っています。

さらに、資本主義が発達がするにつれて、より大きな利益を求めて売上至上主義となり、乳牛をも含む、食料における遺伝子組み換えが行われるなど、行き過ぎた資本主義が、地球環境のみならず、人類の健康状態の悪化や、動物に対する倫理上の問題も懸念されています。

CSR(企業の社会的貢献)の3つの貢献

『七宝の塔』で皆さんご存じのように、世界的企業、IBMに勤務していた岡本享二さんは、登山家の田部井淳子さんの講演を聴いてチャレンジ精神に目覚め、大いに頑張っているうちに、上司に認められて経営部門に抜擢された。しかしそこで見たものは、行き過ぎた資本主義による、徹底的人的カットだった。

疑問を感じた岡本さんは、それが切っ掛けとなって、CSRに目覚める。そして猛勉強をして、『CSR入門「企業の社会的責任」とは何か』(日経文庫)というベストセラーを出すまでになる。そしてCSRをやればやるほど、人間の生命と自然の大切さ、調和ということが非常に大切だと解った。

「CSRの3つの貢献」というのは、

  1. 法的環境貢献 法令に沿った環境対応を守る。
  2. 地域環境貢献 メセナ活動(文化支援活動)や太陽光や電気自動車などのCO2を出さない環境商品、さらに植樹などの環境良化活動。
  3. 未来環境貢献 貧困撲滅、消費の在り方、生態系、生物多様性の保護。

となっています。

注目される日本の文化

世界がこのような事に目覚めて行くにつれて、日本の文化というものが、非常に認められて来ていますね。先ほど脳の話をしましたが、外国人の脳には、秋の虫の鳴き声は、単なるノイズにしか聞こえないそうですが、日本人の脳には、侘び寂びの世界に通じる虫の音として聴こえるそうです。そのような日本人は、昔から、自然、神との深い一体感を感じて生活して来ました。

今から100年前に、和歌山の天才科学者、南方熊楠は、害虫すら含むあらゆるものに「世界に不要なものなし」と言って、非常な愛を注いで生活した人でした。そのような人でしたから、神社の廃統合と、それによる神社の合祀に大反対しました。神社には1000年にもなる巨木がある処があり、その巨木が伐採されると、木と、それに棲む多くの動植物や粘菌までも失うことを悲しんだのです。彼の反対運動により、神社の統廃合は途中で中止されました。

生物多様性を守る3つの公正

このように生物多様性を守ることは大切なのですが、岡本さんは「六相円融義」と生物多様性について述べています。

これは部分と全体、つまり部材と建物全体の関係について述べた言葉で、仏教でも言われていることです。つまり一つのものは一面で終わりではなく、まだ5つの面が隠されている、それを見なさいということです。

例えば建物は、柱・椽(たるき)・梁(はり)・瓦などを総合したものが屋舎であり、その全体的統一を示す。つまりそれぞれ役目は異なり独立していながら、一つのものとして成り立っていること。そのように一つのものが見えた時、6つの部分と働きが繋がって、一つのものとしてあるんだよということなんですね。

そのように、生物にも人にも、社会にも相対して行くことが大切、ということなんですね。そしてこれが生物多様性を守る根本原理であると言われています。その「生物多様性を守る3つの公正」とは、

  1. 世代内公正と他者配慮
    私達の暮らしや事業が、発展途上国や国内外の社会・経済的弱者とも関係している事を認識し、負担を強いないように考えて行動する。
  2. 世代間構成と未来配慮
    未来の世代が私達と同等の環境を享受する権利がある事を認識し、現代の暮らしや事業が、未来に与える影響を常に考えて行動する。
  3. 人類と生物との公正と自然配慮
    人間と自然との関係を根本的に問い直し、自然の保護に努め、自然から謙虚に学ぶ姿勢を養う自然資本主義へ。

このようになっています。

私達栄える会の会員は、例えば経済活動においても、今までのように事業を大きく拡大し、利益を上げることに主眼を置くのではなく、神様からアイデアをいただいて、新しい技術を開発して、人類の正しい進歩に貢献することが大切になって来ると思います。

日本の中小企業でも、そういった優れた技術によって、世界有数のシェアを有して、その分野でのオンリーワンになっている企業も多いのです。

そのためには、私達は科学技術だけではなく、真理を学び、哲学、知識、行動が三位一体となって、よりよい社会を築くよう、努力することが大切であると思います。

行き過ぎた資本主義に歯止めをかけ、神と自然と人が大調和した自然資本主義の世界を構築することに努力することですね。

「生物多様性の尊重こそが人類を救う」のだということを肝に銘じ、六相円融義で述べたように役に立つものだけを見るのではなく、「あらゆる生物は互いに支え合っており、不要なものは一つとしてない」ことを認識して、「神・自然・人間が大調和した“新しい文明の構築”に貢献すること」を目的として邁進しましょう。有難うございます(拍手)。

 


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