信仰体験談

福島から滋賀に移住して/滋賀教区 岸田教敬

2015年11月28日  

今号は、滋賀教区の会員・岸田教敬(ゆきのり)さんの体験談(教区大会で発表)をお届けいたします。
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ありがとうございます。
草津第一相愛会の岸田教敬(ゆきのり)です。

あれは朝から小雪が舞う寒い日でした。
会社で仕事をしていた私の、この携帯が鳴り響きました。
<<<緊急地震速報の警戒音>>>

平成23年3月11日、午後2時46分。
当時、私が住んでいた福島県郡山市は震度6強の激しい揺れに襲われました。
東日本大震災でした。

郡山市は福島県のほぼ中央、原発のある太平洋側から 西へ約60キロ、1000メートルの山々に東西を挟まれた「中通り」と呼ばれる内陸にあります。

激しい揺れは3分間も続きました。
津波の被害はありませんでしたが、会社は柱が曲がり、壁が崩れ、窓ガラスが割れ、倒壊こそ免れたものの全壊でした。
自宅は壁にひびが入り半壊で、町の全てが壊れました。

交通網は完全に麻痺しました。
スーパーからは食糧、水、乾電池が、スタンドからはガソリンや灯油が無くなりました。
電気や水道も止まりました。

代わりに、山々を越えて放射性物質が降り注ぎました。
余震も続き、町からは人が消えました。

たった3分間で、人間社会は大きく崩れ去りました。
死者・行方不明者、合わせて約1万9,000人、あの阪神淡路大震災の3倍以上でした。

私は既に生長の家を信仰しており、「必ず良くなる」と思っていましたが、さすがにこの惨劇には衝撃を受けました。

生長の家では「環境は心の影」と教えています。
では、この惨劇は、一体どんな心の影なのでしょうか?

何故、自然豊かな東北で地震が起き、町が津波に飲み込まれ、多くの人々が亡くなったのでしょうか?
何故、東京に電気を送っていた福島が放射能に汚染されたのでしょうか?
何故、私は福島で地震に遭ったのでしょうか?

これからどうなるのか? 私は? 家族は? 仕事は? 生活は?・・・。
私の心は不安で一杯でした。

しかし、私を救ってくれたのも、生長の家の教えでした。
振り返れば、大地震は暗黒面の中の光となって、私たちに色々なことを教えてくれました。

大震災による避難者は現在でも19万5千人、ここ滋賀には約200人の方が避難生活をされています。
NPOやボランティアの方々による支援活動が現在も続いています。
このように、地震は人と人の絆の大切さと力強さを教えてくれました。

郡山市のスーパーでは、県内産の野菜や果物が震災前より多く並ぶようになりました。
これは風評被害の救済のためでしたが、その結果、地産地消が可能であることを知りました。

全国的にも節電やスローライフの意識が高まりました。
太陽光発電も増えました。
今では、原発なしでも真夏の電力をまかなえるようになりました。

大地震は便利さだけを求めていた私たちに、ライフスタイルの見直しや自然エネルギーへの転換について考えるきっかけを与えてくれたのです。

今朝9時のJR郡山駅の放射線量は1時間当たり約0.16マイクロシーベルト。
東近江保健所では0.05マイクロシーベルトです。
大震災から約4年半過ぎても、未だに3倍もの高い値です。

大飯原発、美浜原発、敦賀原発から、ここ滋賀県教化部までは約70キロです。
郡山市は約60キロでしたので、原発から決して遠くはありません。

人間はウランからエネルギーを取り出す技術はあっても、放射能を無毒化する技術は未だ持ち合わせていません。
しかし、私たちを包むこの大気は、宇宙の放射能から私たちを守ってくれています。
それらは全て、太陽と植物の力です。

大地震は原発の愚かさ、放射能の脅威だけでなく、自然の巧みな仕組みと、私たちが自然の無償の愛に抱かれていることを教えてくれました。

このように、私の心から不安が消えたとき、福島から兵庫に転勤が決まりました。
そして昨年の春には、家族とともに現在、住んでいる滋賀県の草津に12年ぶりに戻ることができました。
こうして大地震は私たち家族に“新たなステージ”を与えてくれたのです。

滋賀に移住後、自宅で家庭菜園を始めました。
昨年はキュウリがたくさん採れて、今年はミニトマトが豊作でした。
肥料の一部は生ゴミ・コンポストで賄っています。
小さな庭で、小さな命が別の小さな命によって育まれています。

今、私の夢は3つあります。
一つ目は、自宅をエネルギー収支ゼロの家にリフォームすること。
二つ目は、今の会社で環境事業の仕事に就くこと。
三つ目は、その仕事を通じて、森林や琵琶湖と調和する滋賀県で、環境保全活動に関わること。

「最もよい時期に、最もよい場所で、最もよいことが、何やよう分からんけど、夢がかなった」
これは私たち夫婦にとっての“魔法のことば”です。

最後になりましたが、東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、「新しい文明の構築は、神・自然・人間の大調和から」を目指し、環境保全活動を通して、人間・神の子の真理をお伝えします。

ご静聴ありがとうございました。

(平成27年度 相愛会滋賀教区大会 信仰体験発表より)

(2015.11.13、相愛会・栄える会推進課)


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