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IPCC第6次評価報告書を受けて

スタッフから

2021/09/25

 2021年8月9日に、IPCC第6次評価報告書の第1作業部会報告書(自然科学的根拠)が公表されました。IPCCとは、気候変動に関する政府間パネルのことで、国際的な専門家でつくる、地球温暖化についての科学的な研究の収集、整理のための政府間機構です。1988年に設立されて以来、33年間の間で今回のものを含めて6回の報告書が提出されています。

報告書はこちらからダウンロードできます。

 IPCCには、以下の3つの作業部会と1つのタスクフォースが置かれており、それぞれ別の任務があります。

・第1作業部会(WG1):気候システム及び気候変動の自然科学的根拠についての評価
・第2作業部会(WG2):気候変動に対する社会経済及び自然システムの脆弱性、気候変動がもたらす好影響・悪影響、並びに気候変動への適応のオプションについての評価
・第3作業部会(WG3):温室効果ガスの排出削減など気候変動の緩和のオプションについての評価
・国別温室効果ガス目録タスクフォース(TFI):温室効果ガスの国別排出目録作成手法の策定、普及および改定

環境省のHPにある「参考資料(IPCCの概要や報告書で使用される表現等について)」に掲載されている図を参考に作成 環境省のHPにある「参考資料(IPCCの概要や報告書で使用される表現等について)」に掲載されている図を参考に作成

 今回公表されたのは、第1作業部会報告書で、現在の気候変動の自然科学的根拠について論じられているものです。
 この報告書で、「20世紀後半以降の温暖化の主な原因は人間活動である可能性が●%である」という記述が2001年の第3次報告書から示されるようになりました。その推移を見てみましょう。

 今回の報告書では、はじめて「疑う余地がない」と言い切る表現がされました。気候変動は、私たち人間活動によって引き起こされているということが言われた訳です。私は前回の報告書(95%:極めて高い)を受けて、これまでの人間の都合のみを優先させる経済至上主義的な生き方を変えなければいけない、つまり、生長の家がオススメしている自然と調和したライフスタイルへの転換を進めていかなくてはならないという気持ちをもちましたが、今回の報告を受けて、より一層その気持ちを強く持ちました。

 例えば次の文章を見てみましょう。報告書の「B.将来ありうる気候」の項目です。

 1.5℃というのは、現在の生活を維持するために人類が守らなければならない限界値のことです。詳しくはIPCCが2018年に臨時発行した「1.5度特別報告書」で確認することができます。(1.5度未満に抑えることは人間が心身ともに安全・健康に暮らし、世界が抱える貧困などの社会課題を解決する上でも重要だと示した。例えば1.5度の上昇でサンゴ礁は70-90%、2度の上昇で99%が消失すると予測されており、世界人口が増え続ける中、1.5度は現在の生活を維持するために人類が守らなければならない限界値と言える。)

 これだけ見ても、気候変動はとてつもなく危険な状況にあり、一刻の猶予もないような切迫感が感じられます。事実、そうなのですが、私たちはどうすべきでしょうか。報告書の「D.将来の気候変動の抑制」の項目には次の通り示されています。

 「少なくともCO2正味ゼロ排出を達成し」とあるように、あらゆる手段を用いて、CO2削減に取り組まなければならないことが分かります。2019年度の日本の二酸化炭素排出量の構成を確認すると、第一位がエネルギー転換部門(発電所等)で39.1%を占めています。

出典)温室効果ガスインベントリオフィス/ 全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より 出典)温室効果ガスインベントリオフィス/ 全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイト(https://www.jccca.org/)より

 生長の家では、「神・自然・人間は本来一体である」と説き、全てが調和した世界の実現を目指します。そのために、気候変動を抑制するだけでなく、全ての生命にとって悪影響のない自然エネルギーの利用拡大に取り組んでいます。

 現在、生長の家では、「京都・城陽メガソーラー発電所」「福島・西郷ソーラー発電所」「大分・別府地熱発電所」の3つの自然エネルギー発電所がそれぞれ稼働しております。これらの発電所の建築費を、志同じくする方々から寄付を募る運動が、“自然エネルギー拡大運動”です。先の2つは、皆様のおかげをもちまして、寄付が終了しました。現在は、「大分・地熱発電所」の寄付を受け付けております。

 「地球温暖化抑制のために、何か力になりたいけど、どうしたらよいか分からない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方々のために、“自然エネルギー拡大募金”はあります。ご協力、よろしくお願い申し上げます。

寄付はこちらからです。


出典:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書
   第1作業部会報告書(自然科学的根拠)
   政策決定者向け要約(SPM)の概要(ヘッドライン・ステートメント)
   暫定訳(2021年9月1日版)

                        

参考:【速報版】IPCC執筆者が独自解説!「気候変動 国連最新レポート」※江守 正多(えもり せいた)氏:国立環境研究所 地球システム領域副領域長

                     

                      (環境共生部 中根 敏也)