幸せな気分になれる草木染め

 草木染め。ちょっと難しそうで、やり出すまでは腰が重い。でも始めてみると夢中になる。そして必ず幸せになれる。そんな感じがします。
 落ち葉、花びらなど、自然にある沢山のものが染料となるので、外へ出かけて夢中になって探すことがあります。でも最近は、玉ねぎの皮や黒豆の煮汁を使って、キッチンで料理をしながら気軽に染めることも大好きです。媒染を何にするかによって、染め上がる色が違ってきます。(ただし食品と混ざると危険なので、キッチンで銅を媒染にするのはお勧めできません)

玉ねぎの皮を煮出した染液に、染めたい生地を入れる。その後、火を消してしばらく置き、色落ちがなくなるまで水洗いをする
柔らかい色に染まったTさんの草木染め。染料は左から、玉ねぎの皮、黒豆(いずれもミョウバン媒染)、紅葉(鉄媒染)

「色ムラができてしまった」「この色の具合はどうかな」と染めたばかりのときは不安に感じることもありますが、干して仕上がりを見ると、調和した色に仕上がるものです。草木染めのものが身近にあると心が落ち着く感じがします。
 本格的に草木染めをするのは大変と思われる方には、玉ねぎで染めるのをおすすめします。薬局で売っているミョウバンと乾燥させた玉ねぎの皮だけで綺麗な黄色に染まりますよ。挑戦してみてはいかがでしょうか。

玉ねぎの皮とミョウバンで鮮やかな黄色に染まった布を、日光に当てて乾かす

(S・T SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.127(2020年10月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.51」

※この記事は2020年に執筆したものです

草木染めの愉しみ②

 紅葉した桜の葉で染めることができると知って、早速煮出してみました。すると赤ワインのような濃い色が出ました。私たちがイメージする桜色は花びらの色ですが、桜色に染めるには花びらではなく葉や枝を使います。桜は、枝にも幹にも葉っぱにも、木全体が桜色を持っていることが分かり驚きました。
 さらに、桜は様々な色に化けます。色を鮮やかにし色落ちを防ぐための媒染を行わないと淡い桜色になり、アルミや鉄、銅などの媒染によって、ピンクにもオレンジにも茶色にも変化します。全く同じ条件で染めても、上手くいく時とそうでない時があり、難しいけど面白い。

紅葉した桜落ち葉を煮出す。落とし蓋のように、枝も一緒に。少しの落ち葉で、たくさんの染液ができる
煮出した染液は鮮やかなワイン色になった。「とても魅力的な色で、様々なものを染めてみたくなります」

 また草木染めの楽しさを知ると、白いものを無性に染めたくなります。文具店で和紙を手にした時、「何かで代用できないか?」としばし考えを巡らすと、「障子紙の余りがある!」と閃きました。染めてみたら、とても上手くいきました。不要なものを活かせた時、すごく気持ちいいものです。染めた障子紙を使って、ランチョンマットやポチ袋などを作りました。

水で薄めた染液に、障子紙をしばらく浸す。「障子紙は意外に丈夫で、この後、手で絞っても破れることはありませんでした」
桜の落ち葉で染めた障子紙で作ったポチ袋(右)。左は巨峰の皮で染めたもの。ねずみは自作の消しゴムはんこを押した

(津島昌子・SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.124(2020年7月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.48」

※この記事は2020年に執筆したものです

草木染めの愉しみ①

 昨年の秋、白いサラシを染めてみたくなり、草木染めに挑戦しました。図書館で本を借りると、身の周りの色々なもので染められると分かり、たまねぎの皮や笹の葉、巨峰の皮、びわの葉、ごぼうのアク抜きで出た茶色い汁でも染めてみました。草木染めの楽しさを知ると、自転車に乗っていても、すすきやどんぐり、葛の葉など、目に飛び込んでくるものすべてが染めの材料に見えて、自然がぐっと近くなりました。

淡い色合いが美しい、津島さんお手製の草木染め。左から、巨峰、ローズヒップ、葛、笹の葉、ごぼう、たまねぎで染めた
たまねぎの二番煎じの染液で染めたサラシを使って、蜜蝋ラップを作った

 私が感じた草木染めの魅力は、一筋縄ではいかない意外性です。植物の色素を鮮やかに発色させ、色落ちを防ぐための媒染という工程によって出る色は変化するので、染め上がるまで仕上がりは分かりません。同じ材料を使っても染める度に微妙に違う色を見せてくれるのです。
 面白いのは、緑の葉で染めても緑色にはならいことで、緑色を出すには一度黄色に染めてから藍色で染めると知り、緑という色の奥深さを知りました。何種類も色が揃ってくるととても美しく、古の十二単衣はこんなふうに染められたのかなと、平安時代に思いを馳せました。

笹の葉を煮出して草木染めてみると、緑色ではなく、若竹色に染まった

(津島昌子 SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.123(2020年6月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.47」

※この記事は2020年に執筆したものです

まな板がおもちゃに!

 地元のコミュニティカレッジで開かれている「女性のための木工教室」に通って1年半ほどになります。初めは用意された板で作っていましたが、木製おもちゃの本を見た時、不用になったまな板で、木のおもちゃが作れるのではと閃きました。ところが、家のまな板は厚みが3センチ近くもあったため、電動糸ノコの刃が曲がったり折れたりしました。また垂直に切らないと、パズルは片方からしか抜けなくなってしまいます。「アリの歩く速さで」と教えられたとおりに、時間をかけて慎重に切り進めました。

ヨコ47cm、タテ25cm、厚さ2.8cmのまな板を切り抜いて3つのおもちゃを作った

 初めに出来たのは、カタカタと心地良い音を立てる歯車を、曲線に沿って移動させるおもちゃ。次は8頭のゾウのバランスパズルで、手触りが良くなるように紙やすりを丁寧にかけました。3番目は形合わせパズルです。赤しそ、玉ねぎ、なす、ウコン等の草木染めで色を付け、着色、乾燥、研磨を10回以上繰り返し、最後にアマニ油を塗ってやさしい色に仕上げました。残った小さなかけらはイヤリングに。楽しみながら物を大切にする暮らしを送っています。

歯車のおもちゃ。左右に傾けながら曲線に沿って歯車を移動させる
形合わせパズル。積み木としても遊べる
ゾウのバランスパズルは、上手に積み重ねて遊ぶ

(大西淳子 SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.129(2020年12月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.53」

※この記事は2020年に執筆したものです

【つくり方・材料】草木染めってどうやってやるの? -タマネギの皮編-

「草木染めをしてみたい、でもどうやってやるの??」
そう思っている方も多いのではないでしょうか。

今回は、初めての方でも簡単にできる、タマネギの皮を使った草木染めの方法を紹介します。

皮は茶色ですが、染めるときれいな明るい黄色になります。

すべて自宅で簡単にできますので、ぜひ試してみてください♪

(ここでご紹介する材料の種類や量、方法は一例です。いろんなやり方があるので、あなたのやりやすい方法で染めてみてくださいね)

【 材 料 】

タマネギの皮・・・
ハンカチ1枚につきタマネギ3~4個分の皮が目安です

・・・
1枚。今回はオーガニックコットン(綿)の布を縫ってハンカチにしました。
(綿、麻、絹がおすすめで。)

媒染剤(ばいせんざい)・・・
焼ミョウバン 大さじ1
(スーパーのお漬け物作り売り場などで売っています)

助剤(じょざい)・・・
豆乳:水=1:1で割ったもの。
ボールの中でハンカチが浸るくらいの量。


【 道 具 】

・・・
1個。ステンレスかホーローの鍋

ざる・・・
2個。これもステンレス素材


さいばし・・・
2膳。トングも活躍しました


ボールまたはバケツ・・・
助剤に浸す、染液をこす、媒染液に浸す等に使用


計量カップ・・・
1リットルを計れると便利


たこ糸、麻紐、輪ゴム、ビー玉など・・・
しぼりをする時に使用


ハサミ


【 事前準備 】

1.染める植物を決める

 最初にどんな植物で染めるか決めましょう。

 野菜や果物の皮、花や葉っぱなど、いろんな植物で染まります。

 もし迷ったら、こちらもご参考にどうぞ

 「意外に簡単!自宅でできる草木染めで自然の色使いを楽しもう♪」

 今回は、比較的簡単にできるタマネギの皮を使用しました。

ふだん料理した時にでる皮を溜めておけば、用意しやすいですよね。


2.ハンカチをお湯で煮る、または洗う

 染める布の汚れや油、糊を取って綺麗にします。

 中性洗剤などを使って洗濯する方法もありますが、

 今回は沸騰したお湯で30分ほど煮ました。

 煮た後は絞って干します。

裁断した布を縫って使う場合は、洗うことで布が縮むので、裁断する→煮るor洗う→縫う→助剤に浸す 
の順番が良いです


3.ハンカチを助剤(豆乳液)に浸す

乾いたハンカチを、助剤に浸して染まりやすくします。
 
 染料はタンパク質と反応して、繊維を色づけています。
 繊維が動物性(例:羊毛や絹)なのか植物性(綿や麻)なのかで異なります。
 今回使用する布は綿です。綿は植物性のため、
 人工的にタンパク質を染みこませて、染まりやすくする必要があります。
 
 なお、合成繊維のポリエステル生地などは染まりませんのでご注意です。

染まりやすくするための助剤。
手軽に用意する場合は、牛乳や豆乳などが挙げられますが、
できるだけ環境負荷が少ないよう、今回は豆乳を使用しました。

成分無調整の豆乳と水を1:1の割合で薄めます。
ハンカチがひたひたになるようにします。
何度か菜箸で動かしながら、30分浸します。

その後、手でしっかりと絞り(脱水機を使う場合は約30秒)、日当たりの良いところで乾かします。タンパク質の豆乳や牛乳は腐りやすいので、晴れた日に手早く行うことをおすすめします。

たんぱく処理後、水洗いをするとせっかく浸したタンパク質が落ちてしまいます。また干す際には、しわがあると染めムラの原因になります。しわを伸ばして乾燥させましょう。


【 当 日 】

1.タマネギの皮を煮出して染液をつくる

タマネギの皮と、ひたひたになるくらいの水を鍋に入れ、沸騰後30分煮出します。


2.ハンカチに模様をつける

その間にハンカチに模様をつけます。
たこ糸、麻紐、輪ゴム、ビー玉などで自由にしぼりを入れます。


3.タマネギの皮を取り除く

1で煮出してつくった染液をこして、タマネギの皮を取り除きます。


4.染液にハンカチを入れて煮る

染液にハンカチを入れ、20~30分ほど煮ます。

このとき、染め液が沸騰しないようにするのがポイントです。
染めムラにならないよう、さいばしで時々動かしながら煮ます。


5.媒染液を作る

その間に、媒染液を作ります。
大さじ1の焼ミョウバンを、少量の熱いお湯で溶かします。
焼ミョウバンが溶けたら、
ハンカチが浸るくらいの水(今回は約1リットル)を足します。


6.4で煮たハンカチを水洗いする

 染液で30分ほど煮たハンカチを取り出し、水洗いをします。
 絞る際に、強くねじると、その通りにムラができるので
 両手でやさしく押すようにして水気を切ります。


7.ハンカチを5の媒染液に浸す(30分)

絞ったハンカチを、5.で作った媒染液(ミョウバン液)に20~30分ほど浸けます。時々さいばしで、ユラユラさせながら浸けていると、くすんだ茶色だったハンカチが、じわじわと明るい黄色になっていきます。


8.媒染液に浸したハンカチを水洗い流す

ハンカチにつけたたこ糸や麻紐をはずして、水洗いします。
よく絞って、陰干ししたら完成です。


9.お好みでアイロンをかける

乾燥後、アイロンをかけて整えるのもおすすめです。

草木染めは天然染料ゆえ、色落ち・変色・退色は避けられません。

ですが、用途や洗い方を工夫したり、繰り返し染め重ねしたりなど、
合成染料で染めた既製品にはない楽しみ方があると思います。

そして、草木染めだから味わえる、優しくて柔らかい色あいがあります。

ぜひ、体感・体験してみてください♪


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草木染めっておもしろい?! 合成染料と天然染料について

(SNIクラフト倶楽部)

草木染めっておもしろい!?

突然ですが、今あなたが着ている洋服は、何色でしょうか。
そして、どのような染料でその洋服を染めているかご存じでしょうか。

今回ピックアップするのは、「草木染め」です。
「自然染め」「天然染め」「植物染め」とも呼ばれています。
自然界にある天然のもの、たとえば花、草、野菜、木の実など、
身近にあるもので布を染めます。
草木を煮出してつくった染液に、天然素材の糸や布などの材料
《コットン(綿)やシルク(絹)、ウール(羊毛)》などを入れて染めるのです。

ちなみに、草木染めという言葉は、比較的新しい言葉で、
名付け親の山崎斌さんは、昭和7年に「草木染」という言葉を一度商標登録しましたが、
「草木染を愛する人に自由に使用してもらいたい」という思いから商標権を放棄された、と言われています。


染色文化の歴史

染色文化の歴史は古く、原始的な手法での染色は、
一説によるとエジプトのピラミッドでは4000年以上も前に、
中国では紀元前3000年頃、ヨーロッパやインドでは紀元前2500年頃から行われていたことが分かっています。
日本では、紀元前1400年頃から植物や貝紫などで染色が行われてきたとされています。


合成染料と天然染料

1856年、約160年前にロンドンにて「合成染料(化学染料)」が世界ではじめて誕生します。
天然染料よりも安価で手軽な合成染料は、世界の染色技術の主流となっていきます。
現在も流通している商品の9割以上が「合成染料染め」になります。
おそらく、みなさんが持っている洋服も、合成染料で染められたものが多いのではないでしょうか。

「合成染料」が普及した背景には以下のような理由があります。

1)染料自体の質を安定して供給できる。
 これによって毎回同じ色が染められるようになりました。

2)安価である
 草木染めは植物を育て、収穫し、煮煎じるなど、とても手間がかかります。収穫や栽培、人件費、光熱費もいれるとそのコストは合成染料の100倍以上とも言われます。

3)長期保存ができる
 合成染料にも保存期限が有りますが、たいていは2-3年程保存ができます。草木染めの場合、鮮やかな色を染めようとすると採取してすぐに使わなければならないということもあります。また、草木染めは季節によって染められる色も限られてきます。

こういった点から、合成染料が世界で主流となりました。
しかしこれは、あくまでも製作者目線においての「良いこと」です。
安い値段で、同じ色をいつでも染められるので、大量生産に向いているということです。


一方で、「草木染め」の良いところも考えてみます。

1)安全性が高い
化学染料の中には危険なものもあります。
過去に使われていた化学染料で現在は使用を禁止されているものもたくさんあります。
その点、草木染めは自然界の物を使って染めるため、安全です。

2)環境に優しい
染色には水をたくさん使い、染色後に排水します。
合成染料の染織排水は環境汚染の原因となります。
草木染めは植物を煮煎じた物を使うので、熱湯のまま川に流すなどをしなければ環境を傷つけてしまうことはまずありません。

3)複雑な色合いが出せる
人工的に作られる分、安定した色が出る合成染料。
そのため、グラデーションなど微妙なニュアンスの色合いを出す場合、数種類の染料を調合する必要があります。

一方の草木染めは、もともと染料の中に様々な色素が混ざっているため、淡いグラデーションや色をいくつも重ねたような風合いなど、複雑な表現ができるのです。


手仕事の楽しさを知って、買い物を考える。

私たちSNIクラフト倶楽部では、
自然からもらった環境に優しい素材を使って、
少しめんどくさいと思うことも丁寧にクラフトすることを大切にしています。

わたし(松尾)はこの草木染めに初めて挑戦したことで、
手仕事の尊さと、楽しさを再確認することができました。

すべて自分で染めた服や布でなければいけない、ということではなく、
安く、大量に購入した衣服が、どんなプロセスで染めて造られ、
販売されているかを、前よりも知ることができ、
考えて衣服を買うきっかけもになったと思います。

今回タマネギの染液で染めたハンカチ。模様ひとつひとつが違って愛着がわきます

草木染めが楽しいとわかったので、
次はどんな植物や野菜などで染めてみようか、ひとつ楽しみが増えたのでした。


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草木染めってどうやってやるの? -タマネギの皮編-

(SNIクラフト倶楽部 松尾純子)