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生長の家 大分・別府地熱発電所今昔 ~生まれ変わった八幡地獄跡地~

スタッフから

2020/05/22

 読者のみなさま、こんにちは!
 温泉はお好きですか?

 私たち、自然エネルギーチームは、今、九州は大分県、別府にて、温泉の噴気を利用した地熱発電所の稼働に取り組んでいます。

 私たち生長の家国際本部は、2017年夏、さまざまなご縁があり、別府市南立石八幡町にある噴泉地を所有することとなりました。背後に森を望む緑美しい土地です。

<上の写真は発電所建設途中のもの。(2018年7月下旬頃)このとき井戸の噴気は内部圧力の変化により止まってしまっていました。(現在は復活)>

 この地には2つの噴気泉があります(1号井、2号井)。そのうち、2号井と呼ぶ温泉が、私たちの地熱発電所の原動力です。噴気の温度100.2℃、噴気圧275kPa。

<(写真:景観と噴気、発電所)上の写真で噴気を上げているのが2号井です。(2019年11月下旬頃)>

 実は、この地は、戦前まで『八幡地獄』という、別府地獄めぐりの噴泉地のひとつだったのです!!
この八幡地獄跡地は、NHKの番組「ブラタモリ」でも取り上げられ、話題を呼びました。平成29年2月4日放送の#62(62回)です。見たよ!というかたもいらっしゃるでしょうか?

 そんな八幡地獄とは、どんな「地獄」だったのでしょうか?

インターネットで検索してみると、興味深い記事を見つけました。そこに戦前の八幡地獄がのった絵はがきが投稿されています。(出典:温泉サムライさんHP「温泉奉行所」掲載先HPのURL:http://www.1onsen.com/siryoukan/hatimanjigoku.html)

 下のイラストは、絵はがきの写真を元に、当時の様子を絵で描いてみたものです!(上の写真と比べてみてくださいね。)
 たくさん手作り風の建物が見えます。かつては観光地として多くの人が集まり、賑わったことが想像できますね。

 そして、これが歴史の証人といえる、本物の八幡地獄の表札です。
元々、この地は門があり、そこに掲げられていたものです。
 現在、この表札はわたしたちの発電所の敷地内に、大事に安置しています。

 ところで、なぜ別府では、温泉地を「地獄」と呼ぶのでしょうか?
『豊後風土記』(8世紀)によると噴気・熱泥・熱湯などが噴出していたことが記せられていて、近寄ることもできない忌み嫌われた土地であったといわれています。

 私たちの地熱発電事業の取り組みは、そんな、昔は忌み嫌われた「地獄」の温泉熱を人間の技術によって自然エネルギーとして取り出すことで、人々に喜ばれる自然と調和した「地上天国」をつくる活動でもあるのではないかと思っています。

<写真は八幡地獄跡地の2020年1月頃の噴気の様子>

 地熱発電所を稼働させるという事業に取り組んでみて、実感したことがあります。

 「自然を人間の都合のよいように利用する」という考え方から、「自然と調和しながら、自然の力をかりる」という意識で向き合っていくことが大事だということ。

 地熱発電は、温泉の噴気という自然エネルギーを利用して電気をつくる技術です。
 それは、温泉の噴気(自然エネルギー)と発電設備との調和的な運用が要です。

 また、技術の粋を集めた立派な発電設備がまさに主役に見えますが、本当の主役は噴気(自然のエネルギー)です。

 あるとき、噴気量の増減に一喜一憂し、調整に奔走していた私たちに、温泉井の整備を委託しているボーリング業者さんがこんなことをおっしゃっていました。
「温泉井戸はいきものですからね。人間のいいようにしようと思ってもなかなかうまくいかないですもんね~」

    

 私たちは、特に産業革命以降、自然を人間の都合に合わせて変えていくというやり方で社会や技術を発達させてきたので、自然は克服し、従わせるものという考えが無意識にあるようです。
 しかし、自然を変えていこうと奔走するのではなく、あせらず自然のリズムに合わせ、人間の側が知恵を働かせ、工夫をし、柔軟に対応していくのが、自然も人間も無理なく調和する道ではないかと、地熱発電に関わってから思う日々です。

 今日の投稿は長めでした。最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

(井手 由香)