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新型コロナウイルス問題以後、私たちはどこを目指すべきか

スタッフから

2020/07/31

 今年1月に新型コロナウィルスが発生してから世界中で人々は、生命や身体の安全を脅かされるのみならず経済的にも大打撃を受け、先の見えない中、回復への道を模索しています。

 そんな世界情勢下、新型コロナウィルス問題(以下、新型コロナ問題)前、せっかく高まりつつあった地球環境問題解決への世界の国々の取り組みは後退するだろうという意見があります。なぜなら、各国は新型コロナ問題による自国経済の立て直しが最優先となり、世界各国の協力・強調が不可欠な地球環境問題に取り組むゆとりを喪うからです。

 しかし、そんな中でも環境破壊は待ったなしで進み、現に自然災害は頻発しています。経済や社会の立て直しと地球環境問題の解決とは両立不可能なのでしょうか?

 そんなとき、興味深い記事を見つけました。

 『新型コロナで世界のCO2が激減、ドイツの再エネ比率は驚異の6割超』(サブタイトル IEAの最新レポートとドイツの実績データで読み解くコロナ影響)(日経BP :2020年7月7日エネルギー戦略研究所所 山家公雄氏)というものです。

参照 https://project.nikkeibp.co.jp/energy/atcl/19/feature/00007/00033/

 
 記事はIEA(世界エネルギー機構)が4月30日に発表したレポート「Global Energy Review2020 – The impactsimpacts of the Covid-19 crisis on global energy demand and CO2 emissions」を根拠に、書かれています。

 詳細は、是非、記事を全文読んでいただきたいのですが、要約すると、

〇新型コロナ問題による先進国での都市封鎖にともない、エネルギー需要がかつてないほど急減
〇なかでも、化石燃料の減少が顕著(石油減は運輸・産業需要の大幅減が響いている)
〇原子力の減少は小幅にとどまる
〇再生可能エネルギーは増加傾向(特に太陽光と風力の拡大が著しい。運転費用が小さいため、コストが安く、市場から選ばれるため)

 その結果、CO2排出量が激減したとのことです。中でも、注目すべきなのが、ドイツです。なんと、ドイツでは、10年も前倒しで使用電力における「再生可能エネルギー比率6割」を達成してしまったというのです。

 ちなみに日本の再エネ比率は、15%(1.5割)に過ぎません(数値は「2019エネルギー白書について」令和元年6月資源エネルギー庁より)

 ドイツにおける再エネが発電量に占める割合が高い原因は、

〇新型コロナによる需要減少と好風況、好日照による再エネ発電量増加
〇原子力発電の一部廃止

によるとのことです。



 もともとドイツでは、新型コロナ問題により電力需要が減少する前の2019年から、再エネ比率の増加でCO2を前年比6.3%削減し、1990年比ですと35.7%削減を達成していたとのことです。今年はそこに需要減が加わって、1990年比で4割を超えるCO2削減の達成が視野に入っているとのこと。

 さらに、ドイツでは、再エネ電力比率が6割前後と高い割合であっても、電力システム(※)は安定しているとのことです。それは再エネ普及に向けた近年の様々な取り組みや技術革新により、電力ネットワークのオペレーターが、再エネの変動をうまく運用できるようになってきていることによるようです。

※電気を利用する利用者に届けるための、「発電」「変電」「送電」「配電」のすべてを含むネットワークのこと。



 ドイツほどの経済大国で、原子力発電に頼らず、再エネをここまで拡大していることに驚きます。これには、私たち日本もドイツの取り組みから学ぶことが多くあるのではないでしょうか。

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 今後私たちは、新型コロナウィルス感染拡大を克服していく上で、「これまでの生活を取り戻す」ことを目標とするのではなく、エネルギーや資源の大量消費で成り立ってきたこれまでの私たちの社会に足りなかったもの、誤った選択をしていたものを、今こそ、見直すことが大切です。


 足るを知り、すでにある恵みに感謝する。手間がかかっても、それを楽しみ、骨身を惜しまず省エネを選ぶ。新型コロナを、そんな新しい生活を始める「飛躍のチャンス」に変えてみませんか!!(井手由香)