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鳥が教えてくれた空

スタッフから

2022/02/05

寒禽(かんきん)の 声のあふるる 朝(あした)かな 

 この俳句の季語は「寒禽」(かんきん)です。寒禽とは冬の鳥のことです。歳時記には次のように載っています。
【冬の鳥 ふゆのとり】寒禽

季語:冬(動物) 山野を問わず、冬に目にする鳥。これに対し、冬鳥というと冬に渡ってくる渡り鳥のことになる。

<写真:立春の朝の甲斐駒ヶ岳 2022年2月4日撮影>


 今日2月4日は立春ですね。私が住む八ヶ岳南麓では気温は氷点下ですが、南アルプスの甲斐駒ヶ岳の雪嶺が朝日に染まるとき、寒禽の声が春の到来を感じさせてくれます。

 私は八ヶ岳南麓に移転して野鳥に興味を持ち始めた頃、標高1400mにあるカフェで、『鳥が教えてくれた空』(三宮麻由子)という本に出会いました。野鳥の生態や鳴声などの特徴が書かれているのだろうと思って手に取りました。そのとおり作者の三宮麻由子さんは、野鳥の会の会員で、バートウォッチングなどに参加され、野鳥の保護活動にも加わっている方でした。冒頭に、野鳥から「深い癒し」を得たと書かれてありました。さらに、「野鳥たちは、それまで知識としてしか頭に浮かばなかった大自然というものを、肌で感じさせてくれた」こと、そのなかで生かされていることの偉大さに、はじめて心から感動したこと、鳥たちは彼女の心を解きほぐし、大自然の生きものたちとともに生かされているという世界観を植え付けてくれたことが書かれていました。

そして続けて
「この本は、そうした私の発見を綴ったものである」
「じつは私がその結果を得たこと、その結果に至る過程をたどれたこと自体が、いちばん大事な事実なのである」
とあり、私は、ややおおげさではないかと思いました。

ですが、次のところを読んで、私は絶句してしまいました。

「というのも、私は四歳のときに、一日にして失明したからだ。」

なんとこの方は、目が見えなかったのです。
四歳のときにウイルスによる炎症が原因で失明されたということでした。

そして、読み進めていくと、野鳥がこの作者の三宮さんの心を開いてくれたということがよく解りました。鳥の声や鳴き方によって、その景色が見え、朝夕の明るさが見え、そして空があるということを肌で実感できたというのです。その時の思いを次のような言葉で書かれています。

「最大の「覚醒」の一つに、空を感じたことがある。私にとって空は、うわさで聞いた未知のもので、本当に存在するのか確かめようもない相手だった。ところが、鳥たちのメッセージを傍らで聞かせてもらうことで、その空が本当にあることを確かめられたのだ。」

私はこの本に触れて思いました。
人々はもっと自然を感じることが大切なのではないか。もっと自然を感じ自然を知れば、人間のために自然を壊しても良いなどという人間至上主義的な考え方は、必然的になくなっていくだろう。人間の本当の幸福は自然と調和した暮らしの中にあるのかも知れないと。


<写真:一昨年の春の家庭菜園 私が畑仕事をすると必ずいつも同じ鳥が来てくれました>

(2022年2月4日記 環境共生部 桜井伸)