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エネルギーの地産地消ってなんだろう

大分・別府地熱発電所

2022/02/25

 

 バナナやアボカド、チョコレート。私たちは、日本にいながら世界中のおいしい食品を輸入し簡単に手に入れて豊富に食べることができます。しかし、そんな豊かな食生活は、地球環境に大きな負荷をかけ、他国の、特に貧しい国の人々の犠牲の上に成り立っている側面があります。豊かな国向けの大量な食糧の生産は、現地の自然を破壊し、輸送に温室効果ガスを排出します。それは、こんにち、人類史上類をみないほど頻発する災害や異常気象の原因となっています。今、私たちひとりひとりにできるのは、輸入食品依存の生活から地産地消の食材がメインの食生活に変えていくことです。


 最近、雑誌の記事で実はエネルギーについてもこれと同じであるということを知りました。エネルギーも地産地消・・・・とは??なんでしょうか?
 記事によると、日本のエネルギー自給率は11.8%しかなく、88.2%も海外からの輸入に頼っているそうです(2018年現在)。食料自給率については、カロリーベースで37%(2020年現在農林水産省HP)と、自給性の低さと海外依存の大きさが問題になっているのに、エネルギーの海外依存はさらに深刻なのですね!!

※水色:国内、オレンジ:輸入



 なぜ、エネルギー資源を海外の輸入に頼るのが問題なのかというと、資源の輸送に大量のCO²(=温室効果ガス)が排出されること、そして上記記事によりますとエネルギー資源の輸入先は政治情勢が不安定な中東が多く、地政学的なリスクを抱えているからということです。(※参考文献1)
 また、エネルギー供給を各地方に分散することは、今後頻発するといわれている地球温暖化を原因とする災害や異常気象への備えにとって重要です。集中供給型のエネルギーシステムがいかに脆弱であるか、東日本大震災や大型台風に見舞われ、都市圏の電力供給が大混乱した経験から私たちは学んでいます。
 そこで、地域の資源を活かして地域のエネルギーは極力地域でまかなう「地産地消のエネルギー」の考え方がこれから必要になってくるという訳です。


 この点、地方のほうが太陽や風、地熱や森の間伐材、海の潮、水など自然エネルギーとなる資源が多様で豊富です。例えば、地域の資源を活かして電力を生産・供給する、自治体とエネルギー会社等の共同出資による「自治体新電力」が各地で設立する動きが広がりつつあるとのこと。(※参考文献2)このような取り組みは、電力供給源の分散・電力供給の安定そして地域の活性化にもつながります。

※写真出典1


 一方で、都市部でも自然エネルギーを活用できます。無尽蔵な太陽光エネルギーです。工場や住宅などの建物の屋根を活用すれば、太陽光パネルが土地を覆いつくし、自然を壊すという問題も生じないでしょう。現に、国内の屋根への太陽光パネルの設置は、特に住宅用(10kW未満)では、堅調な導入が進んでいるとの報告もあります。(※参考文献3及び補足注)

※写真出典2



 とはいえ、太陽光発電の普及率は2019年時点で9%とのこと。(一般社団法人太陽光発電協会データによる)見方は人によるでしょうが、まだまだ普及はこれからなんだなあという印象を私は受けました。普及の進まない主な原因は、設置コストにあるようです。かけたコストに見合うだけの採算が取りにくいのが普及の敷居を高くしているようです。また、都市部においては、とりわけ産業用において電力消費量が多く、屋根に太陽光パネルを設置しても必要量は賄えないという問題もあるようです。


 そんな中、私が注目しているのが、神奈川県の取り組みです。同県は再生可能エネルギーシステムの導入に県をあげて力を入れており、(2013年7月「神奈川県再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例」制定)

【3つの原則】
〇 原子力に過度に依存しない
〇 環境に配慮する
〇 地産地消を推進する
 を基本理念に、太陽光発電の普及拡大を目指して、県民や県内事業者がリーズナブルな価格で安心して設置できる制度(かながわソーラーバンクシステム)、初期費用0円で太陽光発電を始められる制度、太陽光発電・蓄電池の共同購入事業などの工夫を凝らして推進しているようです。(※参考文献4)
 それでも、都市部での電力消費量に、都市内で発電される再エネだけでは十分にまかなえない問題は残っており、自然エネルギー資源の豊富な地方とのエネルギー連携を検討しているようです。(※参考文献5)
 解決すべき問題にめげず、前進し続ける神奈川県の姿勢に私は共感します。

わたしたち生長の家が運営する「大分・別府地熱発電所」。別府の豊かな温泉資源を活用。温泉の高温蒸気から得られた自然エネルギーを隣接する関係法人(生長の家大分県教化部会館)に供給しています。これもわたしたちの実践するエネルギーの地産地消です!(筆者撮影)



2022年2月に落慶した生長の家大分県教化部新会館(筆者撮影)


 激変する気候変動を食い止めるには、まさに今ががんばりどころ。私たちに残された時間はもうわずかです。なぜなら、気候変動が後戻りできない限界に達する転換点(tipping point) が2030年にも来るといわれているからです。この転換点では、温室効果ガスなどの変化が少しずつ蓄積していった結果、ある時点を境に劇的な変化を起こすとされています。 (※参考文献6)

 地球環境の激変が後戻りできない限界に達する2030年まであと8年。
 とはいえ、焦るあまり、温室効果ガスを生じないからと原子力発電依存に回帰するのは、本末転倒です。原子力発電は、あらゆる生物の遺伝子に深刻なダメージを与える放射性廃棄物を出し続け、その最終処分方法がいまだに見つかっていない危険なエネルギーだからです。

 まだまだ、私たちにできることはたくさんあります。
 今回取り上げたエネルギーの地産地消の普及を応援することも重要なひとつです。
◎今利用している電力会社を、地元の資源を活用した自然エネルギーを扱っている電力会社に変えてみる
◎地元になければ、なるべく近隣エリアで探してみる
 その電力会社が自然エネルギーをどれだけ扱っているかは、『電源構成』というワードで検索するとだいたい確認できます(確認できる電力会社を選ぶのがお勧めです)。
 それと同時に、私たちひとりひとりのエネルギー消費のあり方を見直すことが、不可欠です。いくら自然エネルギーを活用するといっても、今のエネルギー大量消費生活を変えなければ限界はすぐにやってくるでしょう。
 使うエネルギーを選択すること(=地産地消の再生可能エネルギー)と使い方を考えること(=省エネ・節エネ)。

 私たち消費者が一層大きく意識を変えていくことで、気候変動を食い止める道が拓ける。信念をもって、前進していきたいものです。
                         (環境共生部 井手由香)


【参考文献】
※1)シン・エナジー社長 乾正博氏“地域の活性化は再エネづくりから”.
    『オルタナ』2021月10月66号記事
※2)“知ってる?「電力の地産地消」”.経済産業省資源エネルギー庁公式HP
    https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/solar-2019after/regional.html
※3)“太陽光発電開発戦略 2020 ”8ページ~「2.2 太陽光発電の導入状況(国内)」.
    2020 年 12 月国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
    https://www.nedo.go.jp/content/100926249.pdf ※4)“かながわスマートエネルギー計画”.神奈川県産業労働局産業部エネルギー課公式HP
    https://www.pref.kanagawa.jp/docs/e3g/cnt/f491087/
※5)環境ビジネス編集部.“都市部の再エネ供給力不足をどう補う?
    カギは資源豊富な地域との連携にあり” 2022年01月27日公式HP掲載
    https://www.kankyo-business.jp/column/030751.php
※6)“362. 気候変動の転換点(tipping point)”.国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター | JIRCAS公式HP
※(※補足注)太陽光パネルの堅調な導入という点の現状傾向について
 :「FIT (=固定買取)制度の買取期間終了後の買電契約の維持を懸念する声も
  あったが、住宅用システムが調達期間終了を迎える 2019 年 11 月においては、
  小売電気事業者による買電継続や蓄電池導入による自家消費促進の動きがある」
  とのことです。
  <出典>上記参考文献3“太陽光発電開発戦略 2020”.
  2020 年 12 月国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
    https://www.nedo.go.jp/content/100926249.pdf
【写真出典】
※1)、2)とも画像素材:PIXTA