2020/11/08
私たちは普段何気なく,食べきれなかった食品を捨ててしまうことがあります。しかしこれは限られた地球の資源やエネルギーを無益に浪費し、地球の寿命を縮める行為です。
食糧は無限ではなく、限られた資源です。地球上で生産できる食物量には物理的な限界があります。それに加え、急速な地球温暖化の加速により、ますます農作物生産量や漁獲量の低下が進行しています。
世界における貧富の格差は拡大しており、少数の豊かな国が食糧を独占し、世界の大半を占める貧しい国々に食糧が行き渡らず、大勢の人が飢餓に苦しんでいます。実際、飢えや栄養で苦しんでいる人々は約8億人、5歳未満の発育阻害は約1.5億人にも上っています。(※1)そして、近年では、日本国内でも、子どもの貧困率は13.9%で、7人に1人の子供が十分に食べられないのです。(※2)
こんな現状があるにも関わらず、私たちの国では、家庭でなんと食品の約4割(39%)をも食べ残し、そのうち2割以上(22.2%)は手もつけずに捨てているというのです。(※3)
年間1人当たりの食品ロス量は実に51kgにもなります。(※4)しかも、わが国は食料を海外からの輸入に大きく依存しており、食料自給率(カロリーベース)は平成28年度では38%もの割合を占めています。(※5)食糧を自給できず、外国に頼りながら、大量の食糧を無駄に捨てているのです。
私たちの個人のレベルでできることはいくつもあります。わが国の食品ロスの内訳は、
◎事業系廃棄物由来 : 約357万トン
◎家庭系廃棄物由来 : 約289万トン
と、食品ロスの約半分は家庭が原因だからです。(※4)
そこで、私も、食品ロスを出していた普段の生活を反省し、できることから取り組んでみました。
① 買いすぎない、作りすぎない。
これまでは、お徳用感から、大袋入りやまとめ買いをし、結局は食べきれず痛ませてしまうことがありました。また、料理も、大皿にまとめて作り、余らせてしまうことがありました。必要な分を買い、使い切る。そうすると、かえって無駄がなくなり、食費が抑えられ、いつも新鮮な食材を食べられることがわかりました。
② 生ゴミを極力出さない。→
生ゴミは水分を多く含むので、焼却処理に多くのエネルギーを要し、設備に負担がかかるとのことです。
結構な生ゴミ量となってしまう野菜の皮について、見直してみました。野菜の皮には栄養がいっぱいあるとのこと。皮まで食べられる野菜(にんじん、大根、カボチャ、なすなど・・)は、皮を捨てず、洗って極力お料理にいれています。
これらの取り組みは、やってみる前はめんどうくさいのでは、と思っていましたが、少しづつ続けるうちに、日々の習慣になってしまいます。
また、いろんなかたが、いろんな工夫で食品ロスをなくす取り組みをネットなどで紹介していて、それを見るのもとても楽しいです。
実際、わたしたちの家計で食料が消費支出の1/4も占めているというデータがあり(※6)、食品の無駄をなくすことは、私たちの家計の負担を軽くするというメリットもあります。
家庭での個人の取り組みは、微力に見えるかもしれません。しかし、私自身、身近なところやネット上で取り組みを紹介する人をとおして、自分自身の実践へとつなげる力をもらいました。個人個人の取り組みは、周囲にじわじわ広がっていきます。
そして、取り組みを通して個人の意識が変わり、食品の無駄をなくす消費行動へと変わることで、企業や食品業界のあり方を変えることになるはずです。
(環境共生部 井手 由香)
家庭での取り組みの参考となるサイト
●消費庁HP「家庭での食品ロスを減らそう|[消費者庁]めざせ!食品ロスゼロ」
●上記サイトから『計ってみよう! 家庭での食品ロス 食品ロス削減マニュアル』が入手できます。その中に、家庭で、いつ、何を、どのくらい、どんな理由で捨てたかをメモする表もあって、自身の食品購入のあり方を点検することができます。
(データ出典)
(※1)国連「世界の食料安全保障と栄養の現状2017」
(※2)厚生労働省「平成28年国民生活基礎調査」
(※3)平成19年度京都市家庭ごみ組成調査(生ごみ)
(※4)消費者庁消費者政策課「食品ロス削減関係参考資料(平成30年6月21日版)」
(※5)農林水産省「食料需給表(平成28年度)」
(※6)総務省「家計調査(平成28年)」