ノーミートの食生活を心がけ、野菜や穀物については、有機農法によって自ら栽培することに挑戦し、それらを収穫し食すことで、地域と季節に即した自然の恵みの有難さを味わい、地域の人々とも共有するライフスタイルです。
また、食材を購入する場合は、地産地消・旬産旬消を心がけ、フードマイレージの低いものを選び、化学肥料、農薬など、化石燃料由来のものをなるべく使わないものを選択することが、自らの健康のためだけでなく、環境や社会に配慮した、人にも自然環境にも優しいライフスタイルをめざしています。
◇「生き抜く」ための災害食
現在、地球温暖化や気候変動による災害などが増え、それらの防止や抑制を目指すとともに、何かあった際は、その中を「生き抜いていく」必要性が高まっています。
私は妻と娘の3人家族ですが、もし、「明日に災害が起こったとしたら自分には何が準備できるか?」と考え、災害食に取り組んでみました。
災害食に関することを、調べてみると、発災直後には、ご飯を炊くことは難しいため、すぐに食べられるものがよいとわかりました。
そこで、災害の備えとして国産の「アルファ米」をはじめて購入し、試食してみました。
アルファ米とは、お湯や水を注ぐだけで、煮炊きせずにご飯ができあがる食べ物で、私が購入したものの保存期間は約5年間でした。
◇実際に作って食べてみました
水を注ぐ前のアルファ米です。
水を入れて、付属のスプーンで、かき混ぜて、60分待ちます。
できあがり、試食してみました。
炊いたご飯に比べるとパサパサしていましたが、十分に食べられるものでした。
また、火を使わずに済む、アルファ米ですが、戻すものとして水でなくてもよいです。
例えば、「野菜ジュース」であれば、栄養的付加価値が高いです。
実際に試したところ、水と同じように、ご飯を作ることができ、味はケチャップライスのような酸味の効いた味でした。
◇ローリングストックで日頃からの備えを
試食を行い、今後、アルファ米を「ローリングストック」することにしました。ローリングストックとは、買い置きし、期限が切れる前に食べ、不足分を新たに補充する方式です。そうでないと、一気に大量の買い置きの食品が賞味期限切れを迎え、調理をするのも大変な上、廃棄につながりかねないからです。
以上のように、初めてアルファ米を試食してみて、災害に対して知識を持ち、適切に備えることが大切な家族や地域を守ることにつながるのだと感じました、
また、今後は、災害食を手作りすることも取り組みたいと思いました。
今回、災害の対策を考えてみて、普段から倫理的ライフスタイルを通して、災害そのものを少なくすることを目指すことの大切さも改めて実感する機会になりました。
(SNIオーガニック菜園部事務局 松尾憲作)
こんにちは。
SNIオーガニック菜園部事務局員の矢野です。
この7月、私たち菜園部事務局では、生長の家国際本部“森の中のオフィス”に来ているインターン生(女性2人)に向けて3つのプログラムを実施しました。
本記事では、私たちがインターン生に伝えたこと、それに対する彼女たちの反応、そして今回のプログラムを通して私たちが学んだことなどをレポートします。
【目次】
・そもそも“インターンシッププログラム”って?
・菜園部が担当したプログラム
・インターンシッププログラムを通して私たちが学んだこと
そもそも“インターンシッププログラム”って?
生長の家国際本部が行っている“インターンシッププログラム”とは、海外の教育機関と連携して“森の中のオフィス”にインターン生を招き、このオフィスでの環境の取り組みを伝えたり、宗教と環境の関係の重要性などについての理解を深めてもらうことなどを目的としたプログラムです。
2019年度はアメリカ合衆国カリフォルニア大学から2名のインターン生が、約6週間のプログラムに参加してくれています。
インターン生。とても明るく、かつ知的な2人だ。手元にある“もの”については後ほど紹介。
菜園部が担当したプログラム
菜園部事務局は、3回に分けて主に以下のような内容でプログラムを実施しました。
心をつなぐ餃子づくり
人と人の心をつなぐものって何でしょうか…?
はい、その通り。「食」です、「食」。一緒に食事をしたら、国の違いなど飛び越え、もう仲間です。
そんなわけで(?)、菜園部の最初のプログラムでは、私たちの活動のコンセプトを紹介したほか、餃子づくりに取り組みました。
菜園部のコンセプトなどを説明中。
エプロンと三角巾を身につけて、作業内容のレクチャーを受けるインターン生たち。
最初のプログラムということで漂っていた緊張の雰囲気も、ともに具材を混ぜ、ともに餃子の皮に包み、ともに盛りつけをすることで、和やか~な雰囲気へと変わっていきました。
そしてノーミート餃子が完成!
冒頭にも掲載した写真のとおり、インターン生たちは最高の笑顔である。餃子おいしそう。
そしてそして、実・食。
!!!!!
う、うまい。激うまである。地球環境への配慮と、動物への愛と、国籍を超えた仲間との協力関係によって、傑作料理がこの世に誕生した瞬間でした。
地元の農家さんを見学
2回目の菜園部のプログラムでは、“森の中のオフィス”がある北杜市の農家「自給農園めぐみの」を訪問。
インターン生はもちろん、私たち菜園部事務局メンバーも一緒に、農薬や肥料を使わない自然農法について勉強させていただきました。農園主の湯本さんによれば、生物多様性を保持することが効果的な栽培のポイントなのだそうです。生物多様性が保たれた環境では、野菜を食べる虫が来ても、その虫を食べる別の虫や鳥が来てくれるので、野菜が大きな被害を受けることがありません。
無農薬の畑は、心なしか空気もキレイな感じがする。
収穫も体験し、その場でガブリ。水洗い無しでも安心して食べられるのは、無農薬栽培ならでは。
白熱Q&A
第3回目のプログラムでは、オーガニックの野菜と慣行栽培の野菜の食べ比べをしたほか、「生長の家が日本国内で推奨する食品選択の優先順位」について説明。
私たちは単に「食べたい」「安い」「カロリーが低い」などだけで判断するのではなく、地球環境や次世代の人々、また人以外の生物にもやさしい食べ物を選ぶ必要がある、ということを伝えると、インターン生たちは大きくうなずいて理解を示してくれました。
どっちがオーガニックだろう? 色つや、味、みずみずしさなど、多角的にチェック!
食品選択の基準についての説明。インターン生たちの熱心な傾聴姿勢に感動である。
また、この日は菜園部の担当としては最後のプログラムのため、「どんな質問でもオッケー」なQ&Aの時間を設けたところ、インターン生は次々に積極的な質問を出してくれました。
「地球上のすべての野菜をオーガニックで育てていたら、収穫量が減って、人口をまかなえないのではないか?」
「都市に住んでいる人には、家庭菜園が難しい。その点についてどう考えるか?」などなど。
これらの質問に対して、SNIオーガニック菜園部としての考え方を伝えたほか、菜園部事務局一人ひとりが自分自身の体験や率直な思いを伝えました。
インターン生たちは、菜園部のコンセプト等を理解していたものの、母国では大都会ロサンゼルスに住んでいることもあり、自分が実際にオーガニックなライフスタイルをすることは難しいのではと思っていたようです。
ところがこのQ&Aで疑問や不安が解消されて、Q&A後は次のように言ってくれました。
「皆さんの話を聞いて、まずは自分が出来るところから取り組めば良いのだと分かりました。私たちがアメリカに帰ってからも、Facebookなどを通して家庭菜園のやり方について教えていただけますか?」
…
Of course !!!!!!!!!!! (もちろん!!!!)
事務局員全員が叫びましたw
20代前半ですでに環境意識も高く、遠くアメリカから“森の中のオフィス”に来てくれたインターンたちに私たちの思いが伝わったことに感動、感動、大感動です。
白熱Q&Aから4日後に行われた、インターン生と“森の中オフィス”職員との交流野球イベントには、なんとインターン生たちが自ら手作りしたノーミートサモサを持ってきてくれました。
自分たちが出来る事を早速実践してくれたことに、またまた大感動でした。
インターンシッププログラムを通して私たちが学んだこと
今回、インターン生たちへのプログラムを計画・実施して、本当に沢山のことを学びましたが、私(矢野)は特に以下の2つの点が大切だと感じました。
(1) 海外にオーガニック菜園部の活動を伝えるには、英語を習得しよう!
菜園部で受け持ったプログラムでは、基本的に事務局員一人ひとりが英語の原稿を用意して説明をしました。でもまだまだ実力不足。Q&Aのときなどに、言いたいことが英語でパッと出てこない。。。 地球環境を守るために世界中にオーガニックなライフスタイルを伝えていくためには、もっともっと英語を勉強して、自分の考えを的確に伝えられるようになりたいと感じました。
(2) なによりも日々、オーガニックなライフスタイルを実践することが必須!
コミュニケーションのツールとして、英語の能力を鍛えていくことも大事ですが、やっぱり自分自身が日々、本当にオーガニックなライフスタイルを実践しているのかが最重要であることは言を俟たないでしょう。実践していないことは話せない、説得力が無いのです。これからも地道に着実に、そして楽しみながら実践していきたいなと感じました。
今度はこちらがアメリカへ赴いて、現地の人々と一緒にオーガニックなライフスタイルを実践してみたいなぁなんて夢も膨らんだ貴重な経験でした。
感謝、感謝です♪
(SNIオーガニック菜園部事務局 矢野裕大)
こんにちは、SNIオーガニック菜園部事務局の水島です。
先日、ヘチマの植え付けをする小さなイベントをしました。
オーガニック菜園部で借りている共同菜園の一角を耕し、ヘチマを育てます。
最終的にはヘチマ料理を楽しむとともに、地球にやさしいたわしを作る予定。
ただ植え付けるだけではなくて、今回はSNIクラフト倶楽部と協力して、農業資材を自然素材でまかなおうという取り組みです。
◇深刻な環境汚染をもたらすプラごみ
この欄でも、プラスチックの問題は何度か書いたことがあります。
プラスチックごみは年間800万トンが海に流出しているとされ、深刻な環境汚染をもたらしています。また微少なプラスチックであるマイクロプラスチックは、洗濯の際に衣類などから流れ出すなどして、世界の海洋を汚染しているとみられています。
台所に必須の食器洗いも、スポンジの多くが合成繊維=繊維状のプラスチックで、下水を通じて海に流れ込みます。マイクロプラスチックは食物連鎖によって、最終的には人体に取り込まれると指摘されています。
そんなわけで、合成繊維に含まれるアクリルたわしやマイクロファイバーを避け、天然素材に切り替えようと私たちも考え、行動しています。
◇棚も手作り
綿や麻でスポンジの代わりになるものを作るという手もありますが、今回はヘチマを育ててたわしにしてしまおうというプロジェクト。
支柱も石油製品を避け、地元の方から分けていただいた竹で手作りします。
職人級の同僚の指示で、竹を切り、格子状に組み、紐で結んで、杭と共に建て、つるが伝う棚ができました。
十数人の参加者がいたとはいえ、2時間で立派な棚ができたのは、ひとえに職人級の同僚の的確な指示のおかげ。その後、うねを整え、菜園部長が種から育てていたヘチマの苗を植え付けました。
「脱プラスチック」のうねりは起きているけれど、まだまだ大量のプラスチックが使い捨てになっている光景も見かけます。
そんなとき、自分が暮らしを小さく変化させたところで、何か変わるのだろうか、と思いそうになることもありますが・・・。きっと、正しい心で行動を積み重ねていくことで世界は変わるはず。
仲間とのヘチマの植え付けも棚作りも、とても楽しい時間でした。そして、良いことをしようとするとき、心の深い部分で喜べる自分がいます。
楽しみながら、地球にやさしい生活を!
ヘチマの成長ぶりは、また後日、報告します。
(SNIオーガニック菜園部事務局 水島育子)
こんにちは、菜園部事務局の池田知嘉子です。
環境破壊による地球温暖化が進む一方、世界各地では大規模な自然災害が起きています。
国内でもたびたび大地震により、ライフラインがストップするなど食生活にも大きな影響を及ぼしています。このような災害時に備えて、今回は非常食の備蓄について考えました。
◇ローリングストック法
この方法は、非常食を定期的に飲食し、使用した分を補充するという備蓄方法で最近注目されています。
例えば4日分の備蓄(12食分)では、毎月1食分を食べる日を決めて作ることにより1年間すべて入れ替えながら消費期限を保つことが出来きます。保存期間も長期間保存がきく食品に限定されず、約1年くらいの保存がきく食品、乾物など幅広い食品を選べる利点があります。
これまでは3~5年ほど保存できる食品をたくさん備蓄しておき、消費期限が切れるころに入れ替えることにしていても、気がついた時には期限が既に切れていたり、期限が迫ってきたものは一気に片付けなければという問題点がありました。
それに比べるとローリングストック法は、常に意識して無理なく調理ができるので、それほど負担もかかりません。
◇ 私のお勧めする備蓄に適した食品とその消費期限
備蓄に適した食品の消費期限を、私が自然食品店と一般の店で買った食品を参考に記載してみました。
インスタント乾麺(そば) 半年
大豆ミート缶詰 1年
干ししいたけ 1年
切り干しダイコン 半年
もち 1年
有機トマトピューレ 1年半
干し柿 1年(冷凍庫)
自然食品のインスタント麺の中には添加物が含まれないものもあり、比較的、身体にも安心していただけます。海苔も栄養価値が高く、おかずが無くてもご飯が食べられます。
◇非常食のメニュー
この食品をいくつか利用した非常食を作ってみました。
「切り干しダイコンのトマト煮」と「大豆ミートとにんにく、玉葱のそぼろかけご飯」
そぼろかけご飯には、干し椎茸の粉末も入れています。
★干し椎茸を粉にすると料理の味にコクが出て美味しく仕上がり、椎茸が苦手な方も安心して食べられます。この方法はある番組で知り活用してみました。
オリジナルの「ゆかりのふりかけ簡単パスタ」です。
いつもストックしてある食品で、栄養があって簡単にできるメニューとして是非おすすめです。今後も少しずつメニューを増やせるようチャレンジしていきたいと考えています。
(SNIオーガニック菜園部事務局 池田知嘉子)
◇じいちゃんの無農薬イチゴ
こんにちは、SNIオーガニック菜園部事務局の水島です。
前回に続き、職場のある北杜市大泉町で無農薬無化学肥料のイチゴ栽培に取り組む北川信(きたがわ・まこと)さんの話題です。
北川さんがイチゴを手がけ始めたのは、今はもう成長した孫が幼い頃、イチゴをことのほか喜んだことがきっかけ。「じいちゃんが作ったイチゴは無農薬なんだぞって食べさせたくてね」。孫が「ここにもあるよ、あそこにもあるよ」と喜んでイチゴ狩りをするのを見るのが楽しみでした。
その上、技術やエネルギーを駆使し、冬に出回るイチゴへの疑問もありました。
「なんでイチゴを冬に食わなきゃいけないんだろうってね」
◇不自然な冬のイチゴ
イチゴは冬を経験して結実する果物です。
そのため、冬に収穫するためにはそれより前に冷蔵庫のような保冷設備の中に入れて、イチゴに「冬を経験させる」と言われます。
その後、春が来たと感じさせるために暖房施設・温室などで暖めます。
日が長くないと花芽分化しにくいため、煌々(こうこう)と照明で照らす工程も。
エネルギーを大量に使用し、いわば工業的に、不自然な形で育てられているのが冬のイチゴです。
◇強い品種を選ぶ
北川さんが育てている品種は主に「宝交(ほうこう)」、それに静岡などで栽培される「紅ほっぺ」です。
このうち、「宝交」は50-60年以上前からある品種です。一般的にイチゴは病気や虫に弱く、消毒を繰り返すことが多いとされますが、「宝交は病気に強い」(北川さん)とのこと。
北川さんによると、品種改良の結果、現在出回っているイチゴは、病気や虫に弱い面があるとのことで、昔からある、比較的古い品種を選ぶことで、無農薬に耐えうるようです。
もちろん手はかかります。比較的、虫に強いとはいっても、途中で喰われるものももちろんあります。「宝交」の果実は比較的柔らかいため、雨対策としてビニルをかけます。また、ビニルハウスならば入り口の管理をしっかりしておけば動物の被害を防ぐことができますが、路地栽培の場合はキジなどの鳥、ハクビシンなどの獣の対策もしなくてはいけません。「手がかかってもう嫌になっちゃうよ」と北川さんは苦笑いします。
写真:北川さんがイチゴを路地栽培する畑
◇経済と密接につながる農業
お話を伺っていると、経済と密接につながっている現代の農業のすがたがくっきりと浮かび上がってきました。
冬のイチゴは高く売れるから、冬に収穫できる方向へ技術が進んできた。
保冷施設で「冬」を経験させ、再び暖めて結実させるため、温度変化に敏感な方向へ品種改良されてきた。
長距離を輸送し、大消費地へ届ける必要性から、一定の固さをもった品種に改良されてきた。
自然をねじ曲げる方向に、なぜ「進化」してきたかといえば、それを求める消費者がいるからです。
◇温暖化につながる欲望
多くの野菜や果物が世界中から運ばれ、また技術の進化によって、1年中、スーパーマーケットに並ぶようになり、自然のサイクルで育てた場合の本来の「旬」がわかりにくくなりました。イチゴも品種改良や海外からの輸入によって、一年中、ケーキ店ではイチゴケーキを買うことができます。
しかし、消費者が望む方向にねじ曲げられた形で野菜や果物が栽培されれば、そこには膨大なエネルギーが必要となり、地球温暖化につながります。
どうしても冬のイチゴが必要でしょうか?
6月、標高700~1300メートル付近に住む同僚たちが家庭菜園で育てるイチゴの収穫の知らせが聞こえ始め、北川さんのイチゴも少しずつ色づいてきました。
昨年夏の植え付けから、実にほぼ1年がかり。
でも、これが自然のスピードです。
経済は需要のあるところに供給されるように動きます。つまりいわば消費者の選択、換言すれば、人間の心が経済の動きも作ります。だから一人一人の選択が大切です。
自然のリズムを知り、人間の欲望を叶えるためにどれだけのエネルギーが使われるかを知り、その上で、地球にやさしい日々の小さな選択を積み上げていきたいと思います。
写真:収穫を控えた北川さんのイチゴ。前夜の激しい雨で周囲の土が飛び跳ねている
(SNIオーガニック菜園部事務局 水島育子)