壊れた傘で手づくりしよう!

 雨の日、お店の入り口に用意してある雨傘用のビニール袋。地球環境のために脱プラスチックが叫ばれている今、店内にいるほんの少しの時間のためにだけ使われ、捨てられていくのがとても嫌でした。娘の傘で、骨は折れても、生地は傷んでいないのが数本あり、柄が可愛くて捨てずにいました。この生地を使って“マイ傘袋”をつくりました。これがあれば、お店で雨傘用ビニール袋を使わずに済みます。
 骨から外し、解体した傘の布を2枚使います。傘は、だいたい8枚はぎが多いので、1本の傘から4つの傘袋がつくれます。袋を2つに折り曲げれば、折り畳み傘も入れることも出来ます。

【作り方1】生地を外し、縫い目をほどく。2枚のはぎを中表にして、写真の線の部分を縫う
【作り方2】縫って、広げた図。縫い幅は約15cmにする。半分に折った時に傘が入る幅が必要
【作り方3】縦に半分に折って、線の部分を縫う。余分な生地はカットし、裏返したら完成
巻き止め用の紐はそのまま再利用

 別の傘の生地を使って、愛犬のレインコートもつくりました。特にわが家の犬は足が短いコーギーで、雨の日の散歩はお腹がドロドロになるため、レインコートが重宝します。元々持っていた犬用のレインコートから型紙を採りました。試着のときは、新しいレインコートに興奮して大変でした(笑)。捨てずに工夫し、楽しくプラスチックの削減が出来ています。

(津島昌子 SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.125(2020年8月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.49」

※この記事は2020年に執筆したものです

草木染めの愉しみ②

 紅葉した桜の葉で染めることができると知って、早速煮出してみました。すると赤ワインのような濃い色が出ました。私たちがイメージする桜色は花びらの色ですが、桜色に染めるには花びらではなく葉や枝を使います。桜は、枝にも幹にも葉っぱにも、木全体が桜色を持っていることが分かり驚きました。
 さらに、桜は様々な色に化けます。色を鮮やかにし色落ちを防ぐための媒染を行わないと淡い桜色になり、アルミや鉄、銅などの媒染によって、ピンクにもオレンジにも茶色にも変化します。全く同じ条件で染めても、上手くいく時とそうでない時があり、難しいけど面白い。

紅葉した桜落ち葉を煮出す。落とし蓋のように、枝も一緒に。少しの落ち葉で、たくさんの染液ができる
煮出した染液は鮮やかなワイン色になった。「とても魅力的な色で、様々なものを染めてみたくなります」

 また草木染めの楽しさを知ると、白いものを無性に染めたくなります。文具店で和紙を手にした時、「何かで代用できないか?」としばし考えを巡らすと、「障子紙の余りがある!」と閃きました。染めてみたら、とても上手くいきました。不要なものを活かせた時、すごく気持ちいいものです。染めた障子紙を使って、ランチョンマットやポチ袋などを作りました。

水で薄めた染液に、障子紙をしばらく浸す。「障子紙は意外に丈夫で、この後、手で絞っても破れることはありませんでした」
桜の落ち葉で染めた障子紙で作ったポチ袋(右)。左は巨峰の皮で染めたもの。ねずみは自作の消しゴムはんこを押した

(津島昌子・SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.124(2020年7月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.48」

※この記事は2020年に執筆したものです

草木染めの愉しみ①

 昨年の秋、白いサラシを染めてみたくなり、草木染めに挑戦しました。図書館で本を借りると、身の周りの色々なもので染められると分かり、たまねぎの皮や笹の葉、巨峰の皮、びわの葉、ごぼうのアク抜きで出た茶色い汁でも染めてみました。草木染めの楽しさを知ると、自転車に乗っていても、すすきやどんぐり、葛の葉など、目に飛び込んでくるものすべてが染めの材料に見えて、自然がぐっと近くなりました。

淡い色合いが美しい、津島さんお手製の草木染め。左から、巨峰、ローズヒップ、葛、笹の葉、ごぼう、たまねぎで染めた
たまねぎの二番煎じの染液で染めたサラシを使って、蜜蝋ラップを作った

 私が感じた草木染めの魅力は、一筋縄ではいかない意外性です。植物の色素を鮮やかに発色させ、色落ちを防ぐための媒染という工程によって出る色は変化するので、染め上がるまで仕上がりは分かりません。同じ材料を使っても染める度に微妙に違う色を見せてくれるのです。
 面白いのは、緑の葉で染めても緑色にはならいことで、緑色を出すには一度黄色に染めてから藍色で染めると知り、緑という色の奥深さを知りました。何種類も色が揃ってくるととても美しく、古の十二単衣はこんなふうに染められたのかなと、平安時代に思いを馳せました。

笹の葉を煮出して草木染めてみると、緑色ではなく、若竹色に染まった

(津島昌子 SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.123(2020年6月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.47」

※この記事は2020年に執筆したものです

天然の竹皮で、弁当かごを編む

 脱プラを意識しだしてから、急に竹の皮が気になりはじめました。竹皮は、竹の子の時期の皮ではなく、若竹がぐんと伸びる時期に、脱ぎ捨てられている皮を使います。
 知り合いが所有する山で、竹皮を採らせてもらえることになりました。青々とした若竹に、ちまきなどを包む、あの見慣れた竹皮が貼り付いているのを見た時は興奮しました。採取した竹皮は、よく洗って、汚れを拭き、まっすぐに伸びるように重しを載せて、乾燥させます。しっかりと乾かすのがポイントです。

若竹から竹の皮を採取した
採取した竹の皮は水洗いした後、1枚1枚うぶ毛を拭き取り、その後、重しをして伸ばして干す

 下処理した竹皮でお弁当かごを編みました。初めて作ったので、頭に完成のイメージはあってもなかなか形にならず、何度か諦めかけました。クラフト編みの本を読んだりしながら、別の日に気を取り直して再チャレンジし、やっと形になりました。難しかったです。
 ケモノのようでちょっと怖い竹皮の模様が、こんなに美しいとは思いませんでした。抗菌作用もあり、編んでいてもしなやかで、強く引っ張っても破れません。先人の知恵に脱帽です。

何日も干して乾燥させ、帯状に切った竹皮を編んでいく
津島さんが天然の竹皮を編んで作った弁当かご。軽く丈夫で、手づくりの温もりも感じられる

(津島昌子 SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.122(2020年5月号)「つくる、祈る、日々の生活 No46」

※この記事は2020年に執筆したものです

端切れが端切れでなくなる日

 これまで布で様々なものを作ってきましたが、完成すると同時に出来るのが色々な形の沢山の端切れです。この端切れをジグソーパズルのように並べ、1枚の布にしてバッグを作ることを思いつき、同じ柄の端切れを全部出してきました。

 手元にあった接着芯をバッグの大きさに切り、その上に端切れを並べて、布の境を少し重ねて縫い付けていきます。面倒なようですが中々楽しく面白い作業です。すき間が出来た部分には小さな端切れが生かされます。1枚の布になっただけで、かなりの達成感があります。

接着芯に端切れを並べる
ミシンのジグザグ縫いで縫い付けて1枚の布に

 ファスナーと持ち手は以前使っていたバッグから外して取っておいた物を使い、裏地にポケットも付けて完成しました。まだ残っている端切れは、先に接着芯に貼って切り抜き、それを重ねて1枚の布にしてショルダーバッグが出来ました。

完成したバッグとショルダーバッグ。モザイクのようなカラフルな柄が印象的だ
以前使っていたバッグから取り外しておいたファスナーと持ち手を使った

 どんなに小さな端切れも、この方法ならパズルを楽しむように1枚の布に再生できます。普通に布から作るより一層愛おしくて、「良かったね!」とバッグに話しかける私がいます。端切れを生かし、また何か作りたいと思いました。

(大西淳子 SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.131(2021年2月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.55」

※この記事は2021年に執筆したものです

心をこめて繕うことで幸せになる

 私は物を捨てられない性分で、壊れてもなんとか使えないかと考えます。中学1年の時、上履きの擦り切れた所を、糸で繕ったのが最初でした。壊れたり破れたりしたものを、もう一度使えるように考えるのはとても楽しいものです。
 写真の青いスポーツウオッチは3年前に息子から贈られ、普段から愛用していましたが、バンドが切れてしまいました。切れた部分をきれいにカットして糸で繕ってつなぎ、接着剤で固定して同色のリボンを巻いてカバーしました。

バンドを縫ってつないだ。切り詰めて長さもぴったりに
接着剤で固定し、同じ色のリボンを巻いて完成

 白いハンドバッグは、気づいた時には内側部分が劣化してボロボロになっていました。でも外側や持ち手はまだ使えるので、思い切ってファスナーなども全て外して、作り変えることにしました。どのように直そうかわくわくしながら考え、裏地に水玉柄の紺色の生地を選び、ポケットも作りました。袋状に縫った裏地やファスナーは本体に手縫いして縫い付け、縫えない所は接着剤で貼り付けました。
 生まれ変わった時計やバッグは喜んでいるようで、私も幸せな気持ちに満たされました。

内側部分とファスナーを取り外した
接着芯を貼り袋状に縫った裏地
裏地と外ポケットを付けて完成

(大西淳子 SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.130(2021年1月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.54」

※この記事は2021年に執筆したものです

まな板がおもちゃに!

 地元のコミュニティカレッジで開かれている「女性のための木工教室」に通って1年半ほどになります。初めは用意された板で作っていましたが、木製おもちゃの本を見た時、不用になったまな板で、木のおもちゃが作れるのではと閃きました。ところが、家のまな板は厚みが3センチ近くもあったため、電動糸ノコの刃が曲がったり折れたりしました。また垂直に切らないと、パズルは片方からしか抜けなくなってしまいます。「アリの歩く速さで」と教えられたとおりに、時間をかけて慎重に切り進めました。

ヨコ47cm、タテ25cm、厚さ2.8cmのまな板を切り抜いて3つのおもちゃを作った

 初めに出来たのは、カタカタと心地良い音を立てる歯車を、曲線に沿って移動させるおもちゃ。次は8頭のゾウのバランスパズルで、手触りが良くなるように紙やすりを丁寧にかけました。3番目は形合わせパズルです。赤しそ、玉ねぎ、なす、ウコン等の草木染めで色を付け、着色、乾燥、研磨を10回以上繰り返し、最後にアマニ油を塗ってやさしい色に仕上げました。残った小さなかけらはイヤリングに。楽しみながら物を大切にする暮らしを送っています。

歯車のおもちゃ。左右に傾けながら曲線に沿って歯車を移動させる
形合わせパズル。積み木としても遊べる
ゾウのバランスパズルは、上手に積み重ねて遊ぶ

(大西淳子 SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.129(2020年12月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.53」

※この記事は2020年に執筆したものです

【つくり方】簡単・オシャレな木製バターナイフづくり

焼きたてパンの香りに包まれた食卓。
自分で手づくりしたバターナイフを使って、熱々のパンにバターを塗る。

そんな至福のひとときを、過ごしてみませんか?

初めて木工に挑戦する人でも大丈夫。
一本の端材からオシャレなバターナイフができちゃう感動を味わえます。


準 備 ・ 材 料 

材 料

端材・木片(今回は山梨県産・栗の木を使用)を1本

  ※木材の種類は粘りのある堅い木広葉樹がおすすめです。

   杉などの針葉樹は柔らかいので削りやすいですが、
   パキッっと折れることがあります。

道 具

・鉛筆 

・ペン

・糸鋸(いとのこ) 

・小刀 

・紙やすり(粗い〜細かいものを3,4種類ほど(例:#60、#120、#240、#400))

・布2枚(油を塗る用と、仕上げに拭く用。古着等のハギレでも◎)

・乾性油(紅花、ヒマワリ、胡桃、亜麻仁などの植物油)

※万力(あればなお良い)

準 備

・段ボールの上に新聞などを敷き、更に木の板などを置き、作業ができるようにします。

・手順2以降に出てくるような木板を準備して、作業台にできると尚良いです。


つ く り 方

1.木片にバターナイフの形を描きます。

 握りやすさなどを意識して、自分がつくりたい形を想像しながら、まずは鉛筆で下書きし、ペンでなぞります。

 この時、なるべく片側に寄せて描き、木片の元々の直線を活かすと、削る箇所を減らせます。

 ⚠木目の向きに注意。長手方向に木目が流れるようにしましょう。
  木目の向きを間違えると、簡単に折れてしまいます。


2. 上、横、下の3方向から、残す所と削る所がわかるように線を書いてみましょう。


3. 余分な所を糸鋸(いとのこ)でカットします。
  万力などで挟むと、力が入りやすくてオススメです。


4. カットできました。 カットしたことで無くなった線を描いておきましょう。


5. 小刀で削ります。利き手で小刀を持ち反対の親指で刃の背を押しながら少しずつ、慌てずひたすら削ります刃の背を押す親指が動く範囲内で、刃を動かすようにしましょう。

 ⚠利き手(画像は右手)の力だけで無理に削ったり、
  刃の進行方向に指を置くと大変危険です。


6.  描いた線を残しながら削り、線は最後に慎重に削ります。


7.  横から見ると、このようになります。


8. バターナイフの刃の部分は、均等の厚みになるように、両側から慎重に削ります。
小刀の刃先を使うと削りやすいです。


 ⚠撮影のため小刀に手を添えていませんが、必ず刃の背に親指を添えましょう。


9.   両側の厚みが決まったら、中央のやや厚めになっている部分を削ります。小刀を寝かせて薄めに削ります。


10. 刃の先部分は、板に付けて削るとやり易いです。


11.  この削る作業で、できるだけ最終形に近づけます。


12.  目の粗い紙やすりで形を整えます。

最初は#60前後で行います。
この作業で、傷や凸凹した表面を均して最終の形を決めます

 ⚠紙やすりは、数字が小さいほど目が粗く、大きく削れます


13.  形が決まったら、#120→#240→#400(例)と段階的に目の細かい紙やすりに変えながら、磨いていきます。


14.  磨きました!横から見ると、このようになります。


15.  焼印を入れる場合は、この段階で入れます。

 焼き印を入れた後に油を塗ります。

 ⚠先に油を塗ってから焼印をすると焦げますのでご注意ください。


16. 乾性油を布にとり塗っていきます

 塗ると艶と木目が美しく出てきます。別の乾いた布で拭いて、もう一度#400の紙やすりで磨き、さらに油を塗って拭いたら完成です!

※乾性油・・・紅花、ヒマワリ、胡桃、亜麻仁などの植物油で、空気に触れると固まります。

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【つくり方】枝からつくるオリジナル箸

(SNIクラフト倶楽部事務局)

手づくりの蜜蝋ラップで、脱プラを始める

 ニホンミツバチを趣味で飼育している方から貴重な蜜蝋を譲っていただきました。そのおかげで、国産オーガニックコットンの布を使って、SNIクラフト倶楽部の仲間と、蜜蝋ラップを作る集まりを開くことができました。
 つくり方は、布の上に細かくした蜜蝋を散りばめ、クッキングシートを乗せて、低温に設定したアイロンを当てながら、蜜蝋を布地に染み込ませます。溶けた蜜蝋の甘い匂いに包まれるだけで幸せな気持ちになりますが、自然素材のラップを使うことは脱プラになり、少しでも地球の自然を守れると思うと、さらにうれしくなりました。ハンコで生地に柄を入れると作る楽しさが増します。友人たちが作ってくれたハンコを押して、可愛い蜜蝋ラップができました。

Sさんが可愛く手づくりした蜜蝋ラップ。脱プラに一役買っている

 どんな形にもフィットするので、お皿やお椀のフタにもなるし、野菜やおにぎりの保存もできます。水洗いができるので繰り返し使えます。適度な通気性もあり、蜜蝋ラップで包んだ食べ物がとても美味しく感じるのは、私だけではないはずです。

(Y・S SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.121(2020年4月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.45」

※この記事は2020年に執筆したものです

ダーニングで靴下をかわいく修繕する

 今、靴下の修繕がとても楽しい。
 以前から破れた靴下は修繕していたけれど、穴を縫い縮めていたので、そこが靴の中でゴロゴロして違和感があって好きではなかった。
 何か良い方法はないかとインターネットで探して「ダーニング」のことを知った。穴が空いた靴下を電球にかぶせてヘアゴムでしばり、縦と横に交互に糸を通して、織物をするように穴を塞ぐ。電球の丸味のおかげで、針が糸と糸の間をスイスイ通る。靴下に新たな布地が織り込まれて、何とも愛嬌のある靴下に生まれ変わるのだ。アップリケのようにカラフルにかわいく修繕して、1足の靴下を20年も履いている人もいる。マッシュルームという専用の道具も販売されているそうだ。

電球に靴下をかぶせて、穴が空いたところを慣れた手つきで縫っていく

 ちょっとでも穴が空くと嬉々として繕うので、靴下が長持ちする。長持ちするから滅多に買わないが、安売りの靴下は買わないように心がけている。わが家の靴下も20年持つかもしれない。

ダーニングで修繕されたSさんの靴下。自分の手で修繕することでいっそう愛着がわく

(Y・S SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.120(2020年3月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.44」

※この記事は2020年に執筆したものです