「こもれびアナザーストーリー」Vol.8

作品名『Tシャツヤーンのひもポシェット』
作者:Kiramekiyukie

―――今回お話を伺ったのは、『Tシャツヤーンのひもポシェット』を製作されたKiramekiyukieさん。日ごろ、日用品や仲間のつながりを大切にされているKiramekiyukieさんならではのお話をお聞きすることができました。どうぞお楽しみください。


作品ストーリー

どのようなきっかけで、この作品『Tシャツヤーンのひもポシェット』をつくろうと思いましたか?

 道具や衣服を長く大切に使う両親に育てられたことで、専業主婦のときは手づくりやリメイクを当たり前に楽しんでいました。
 4人の子どもを育てながらフルタイムで働き始めてからは、仕事の責任が重くなるにつれて早出や残業が増え、できるかぎり手づくりにこだわりつつも、その楽しさを忘れかけていました。

 そんなときに「Tシャツヤーン」のことを知りました。これは、古着やTシャツ工場で出たハギレを裁断してつくられていて、エコな編み糸です。自宅にある着なくなったTシャツを、自ら切ってつくることもできます。
 「Tシャツヤーン」と言っても、Tシャツだけでなく、どんな生地でも編み糸になります。不用になった衣類に新しい生命を与える絶好の機会となりました。

 仕事で遅く帰っても、少しの時間でも色やデザインを考えてTシャツを選び、よく切れるハサミでザクザク切って、編み糸をつくります。同じ形に裁断しますが、同じ柄にはなりません。思い描いた通りに編み上げると、仕事で疲れた頭もスッキリして、楽しみながら元気になっています。

――仕事で疲れていても手づくりをすることでスッキリする気持ち、分かります。楽しいですよね。

 編み物は好きですが、編み方は自己流です。そんな中、今回“森の中のオフィス”に展示したような「Tシャツヤーン」で手編みした作品をSNSで投稿していたら、「教えてほしい」と言われてミニイベントを開催したことがあります。しかし、私は左利きのため、右利きの方20人に教えたときは本当に困り果てました。編み物の上級者にやり方を理解していただいてから、手分けして初心者に教えていただく手順で、なんとかやり遂げました。

 この経験を機に、私は右手でも編めるように訓練し、利き手に関係なく皆さんに編み方をレクチャーできるようになりました。

――すごいですね! 左右どちらの手でも編めるなんて!


材料のポイント

材料を探すときの基準や大切にしていることはありますか?

 長年使用して、古くなった洋服や日用品の中から愛着のあるもので「リメイクできないだろうか?」とよく考えます。そのモノの声を聴くように、対話するように、思い出や感謝をもって考えます。

 すぐにアイディアが思いつかない場合は、そのまましばらく置いておきます。「SNIクラフト倶楽部」のFacebookグループ(※メンバー限定・非公開)などの投稿記事を参考にして、アイディアがひらめいたら取りかかります。うまくいかず、そのモノに感謝しながら断捨離することもありますが、うまくいったときのうれしさは格別です。

――すぐに新しい材料を購入されるのではなく、まず家にあるものを生かすことができないか常に考えていらっしゃるのですね。日ごろからモノを大切にされ、感謝して使われている様子が伝わってきます。

 SNSでエシカル(倫理的)な生活をしている方の投稿では、自然素材を使ったり、リメイクをするアイディアが満載です。生活を丁寧に楽しみながら、地球環境と調和して生きている、そのような尊敬できる方がたくさんいらっしゃいます。そういった方々とのつながりも大切にしています。

――SNSで知り合った方々の発信も参考にされていることで、ご自身のアイディアも膨らみ、新しい作品がどんどん生まれていくのですね。

スマホケースをリペア。手づくりTシャツヤーンで使わなかったTシャツの前見頃のプリント部分を、ケースに合わせて切り取りボンドで貼り付けたもの。
豆乳パック・空き箱と、子ども達が小学生の頃に使用していた給食のナプキンを再利用し、ペンスタンドに。両面テープであっという間に完成。子ども達のお下がりの短くなった色鉛筆も取り出しやすいように、仕切りに段差をつけました。
お菓子の箱に沿って麻紐で外側を編み、内側には主人の古着のデニムシャツを再利用した、主人のヘッドフォン入れ。私がビデオ通信で会議やイベントをすることが増え、優しい主人は大好きな音楽やテレビをヘッドフォンを使って楽しんでくれています。ヘッドフォンさんにも感謝を込めて、指定席を作りました。
使わなくなったカフェカーテンをそのまま使ったソファーカバー。とても気に入っています。

モノづくりのスタイル

普段、どのようにクラフトを楽しんでいますか?

 場所はクラフトの作業部屋ですることが多いです。
 「思いついたらすぐに実践する」ことが私のモットーです。アイディアが浮かんだらすぐにやってみて、ダメなら次に行きます。

 生長の家の瞑想法である「神想観」を実修している最中にひらめいたことは、特にすぐ実践してみます。集中してクラフトに没頭できる時間は、至福の時ですね。

――アイディアが浮かんだら、いてもたってもいられなくなる。本当にそうですよね~


失敗は成功のもと!

ずばり「失敗は成功のもと!」と思う話がありましたら教えてください。

 Tシャツヤーンの手編みのショルダーバッグを長女が愛用してくれたことがうれしく、次は夏バージョンとして「麻ひも」を素材に同じ要領でつくりました。

 麻ひもは国産で手芸用のものを購入して編みました。長女は喜んで使ってくれたのですが、麻ひもの毛羽立った糸がスカートにこびりついてしまいました。その糸くずを取り除くのが一苦労で、とうとう使えないバッグとなってしまい、残念でたまりませんでした。

 「何か解決法はないものか?」と悩み、SNIクラフト倶楽部の友達に相談をしました。たまたま、その友達も同じように困った経験があり、「麻を柿渋で染める」というアイディアが浮かんでやってみたら、上手くいったという話をきくことができました。

 そこで私もすぐに実践してみました。すると、麻ひもの繊維がしっとりと落ち着いて毛羽立ちが抑えられ、色も深みを帯びて、すてきなバッグに変身しました。

――「柿渋」が功を奏したとは意外ですね! 一度は、使えなくなってしまったバッグが「柿渋」というアイディアのおかげで、よりすてきなバッグになるなんて、まさに「失敗は成功のもと」ですね。

 クラフトも料理も自分の身体を使ってつくり出す喜びは同じだと思います。アイディアが現実化する喜びを知るために、人は生きているのではないかと思ったりします。

――自分の思いを形に表現できるのがクラフトのいいところですよね。

――最後に、作品のアピールポイントを教えてください。

 麻ひものバッグは、簡単にすぐ編めるのが良いところです。ほかの方のように一生懸命につくったわけではありませんでしたので恥ずかしいくらいです。
 しかし、失敗作品からよみがえった喜びがこの作品に込められています。そこがアピールポイントかな(笑)


さいごに

 連載8回目となる「こもれび アナザーストーリー」、いかがでしたでしょうか?

 「失敗は成功のもと」をあらためて学びました。SNSなどを通して多くの方々のアイディアも取り入れると、より一層魅力的な作品づくりにつながっていくのですね。モノづくりがますます楽しみになりました。

 次はどんなアナザーストーリーを聞くことができるのでしょうか?

 次回もどうぞおたのしみに~♪♪

 (聞き手:SNIクラフト倶楽部・永井暁)


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作者インタビュー「こもれびアナザーストーリー」Vol.7
作品名『リネン×和紙糸の食器洗いクロス』 / 作者:手作り雑貨ふわふわ工房


森の小人たち

「こもれびアナザーストーリー」Vol.6

作品名『森の小人たち』
作者:ひだまりの家

――今回お話いただくのは、『森の小人たち』を製作されたひだまりの家さんです。
ひだまりの家さんはクラフトを通じて、脱プラスチックに取り組まれています。
また、材料は竹やとうもろこしの皮など自然のものを使用され、作品はおしゃれな小物から実用的なものまで多岐にわたっています。


作品ストーリー

どのようなきっかけで、この作品『森の小人たち』をつくろうと思いましたか?

 SNIクラフト倶楽部に入部したことで、これまで買うことの多かったクリスマスの飾りを、手づくりしたいと思いました。このクラフト作品も、買わずにつくることができるかな?というワクワク感がありました。

――SNIクラフト倶楽部への入部で、気持ちに変化が生まれたのですね。ワクワクしながら作品に挑戦するって、すてきですね。

 綿(わた)は、今回の作品をつくった年に参加した「綿栽培のボランティア」(無農薬・無化学肥料で栽培)で収穫したものを使いました。地元・兵庫県加古川市では、地域の地場産業として明治時代から綿産業が発達しています。収穫の際に指導してくださった方が、「農薬は植えているところだけではなく、その一定の場所周辺にも散布しない」とのお話に驚きとともに感銘を受けました。

 綿紡ぎ体験では、綿繰り機(わたくりき)で綿とたねを分ける作業をさせていただきました。まわりには綿製品がたくさんありますが、綿が衣類などの製品になるまでに、糸を紡いだり、染色したり、機織りをするなど、気が遠くなるほどの労力が掛かっています。今回ボランティアに参加した事で、改めてその大変さを感じることができ、綿製品の有り難さに思い至りました。

 この時にお会いしたプロジェクトリーダーの方が言われていた、「この地に綿を栽培することは、気候や土壌などが向いていて、本来の植生に基づいている」という自然を重んじる考え方が素晴らしく、印象に残っています。

――綿製品が地場産業の地域で暮らしながら、実際に綿(わた)の収穫を体験されたことで、綿製品を仕上げる大変さを感じられたのですね。


材料のポイント

材料を探すときの基準や大切にしていることはありますか?

 庭などにある自然の素材を使うこと、手元にあるものを生かすことを大切にしています。最近つくったこちら(左下)の作品は、市内にある工務店さんから県産木材の端材をいただいてつくりました。

工務店の端材でつくったチャーム(左)とペンダント(右)
庭でローズマリーを摘む。染色だけではなく、消臭剤や煮出してリンスに使うことができます

 工務店さんのインスタグラムをフォローをしていて、「自由に使ってください」という発信を見て、端材をいただきに伺いました。この工務店さんには、以前にミニイベント(自身が主催)の会場としてもお世話になりました。
 材料を探すときは、SNSの発信や雑貨屋さん、喫茶店のインテリア、地域で開催される街角ミュージアム(※)の作品などを参考にしています。

――インスタグラムなどのSNSも活用して、地域の方々との交流を大切にされているのですね。また、地元の工務店で地産地消の材料を入手されたり、街角ミュージアムのような地域の催しでクラフトのアイディアを発見されたりと、実際に足を運ばれて行動されていることがすばらしいなと思います。

※街角ミュージアム・・・街全体をミュージアムに見立て、作品やワークショップなどを楽しめる企画


モノづくりスタイル

普段、どのようにクラフトを楽しんでいますか?

 リビングなどで音楽をかけることもあります。
 時には、屋外(自宅駐車場)で行うこともあります。実家でもらった茣蓙(ござ)を敷いて、木材にやすりをかけたり、竹を割ったりします。おひさまのもとでするクラフトは、より“今”の感覚を味わえ、リフレッシュにつながりますね。

道具やハギレをしまっている箱
右側の白い丸型の箱は、カレンダーから切り抜いた色用紙を貼っているお気に入りのもの

 ダーニングなど修理をするリペアクラフトは、必要に応じて場所を変えて行っています。

端がほころびた眼鏡ケースにハギレをあててリペア

 また、天然の素材を使って手づくりすることで、プラスチックフリーにできないかな、これあったらいいな、と思うものをつくるようになりました。買う前にまず、家にあるものでつくれないかと考える習慣ができ、自然の美しさや恵みに気がつくようになりました。

竹やトウモロコシの皮を、バランとしてお弁当の仕切りに
自然素材の布で、毎日使うお茶パックを手づくり。繰り返し使えます。
使い捨てのお掃除シートが石油由来とわかり、古いタオルでつくったモップ。洗って使います。

――クラフトが気分転換になったり、日々の生活を豊かにしてくれると感じられながら、リラックスした気持ちで取り組まれているのですね。私も参考にしたいです。


失敗は成功のもと!

ずばり「失敗は成功のもと!」と思う話がありましたら教えてください。

 製作途中で「うまくいかないな」と思うことは何度もあり、やめてしまったこともあります。

 一方で、「最後まであきらめないでよかった」と思うこともありました。

 例えば、2021年につくった竹製のマドラーは、持ち手を接着する際にすき間が埋まらず、どうしたものかと思案していました。しかしその時、持ち手の側面に、U字型に曲げた1本の細い竹を沿わせ、すき間を埋めることを思いつきました。持ち手の先端は、台所のフックに掛けることができ、もともと思い描いていたものよりも、良いものに仕上がりました。  
 導かれるようなひらめきは、「クラフトの神様が降りてきた」って思ったりします。

改良前:マドラーの持ち手がかみ合っていない
改良後:側面にU字型に竹を沿わせ、先端はフックに掛けられるようになった

――竹製マドラー、もともと思い描いていたものよりも良いものができあがったときの喜びはひとしおだったと思います。普段から積極的にクラフトに取り組まれていることで、思いもよらぬひらめきが出てくるのですね。

 また、スマホケースを厚紙と布でつくり、しばらく使っていましたが、強度がもうひとつで今は使っていません。いつか、木製のスマホケースをつくってみたいと思っています。

――新しい目標を見定めていらっしゃるところがすばらしいです。木製のスマホケース、作り甲斐がありそうです。一度、布でつくってみた経験が、次のクラフトにつながっていく楽しみもありますね。

竹製コースター
ナタを使って均等の厚さに竹を割るのが難しかった

作品のここに注目

今回、展示された作品について教えてください。

 小人の足元はどんぐりの殻斗(かくと)です。ビックリするほどサイズがぴったりでした。腕は、南天の実やどんぐりで表現したことで、意外性と可愛らしさが両立できたかな、と思います。

――今にも踊り出しそうなとてもかわいらしい人形ですね。どんぐりの殻斗は、本当に小人の靴のように見えます。すべてのパーツが全体的に調和していて、とてもすばらしいです。

※殻斗(かくと)・・・ナラ・クヌギ・シイ・クリなどブナ科植物の、実の一部または全部を覆う椀(わん)状・まり状のもの。

こびとの足元はコナラの殻斗、顔はぎんなん、腕はドングリや南天の実を使用

さいごに

 連載5回目となる「こもれびアナザーストーリー」。

 地元でのつながりを大切に、身近な材料や地域のものを活用して、さまざまなクラフトを楽しまれているひだまりの家さんのお話を聞くことができました。

 試行錯誤を繰り返しながら、よりよいものをつくりだそうという気持ちが、作品を見る人の喜びにつながっていくのだと感じました。

 今回の記事を通して、クラフトを始められるみなさまには、これからさまざまな試行錯誤を通して、すてきな作品づくりに挑戦して頂ける機会になればと思います。また、すでにクラフトを楽しんでいるみなさまには、これまで経験した試行錯誤や、アイデアが浮かんだときの喜び、達成感を得たときの気持ちを思い出していただくなど、ご自身のクラフト時間を楽しく振り返るきっかけになっていましたら、嬉しく思います。

 次はどんなアナザーストーリーを聞くことができるでしょうか?
 次回もどうぞお楽しみに!
(聞き手:SNIクラフト倶楽部・岸田) 


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作者インタビュー「こもれびアナザーストーリー」Vol.5
作品名『クラフトテープのカゴ』/ 作者:あーちゃんのカゴ


【つくり方】簡単・オシャレな木製バターナイフづくり

焼きたてパンの香りに包まれた食卓。
自分で手づくりしたバターナイフを使って、熱々のパンにバターを塗る。

そんな至福のひとときを、過ごしてみませんか?

初めて木工に挑戦する人でも大丈夫。
一本の端材からオシャレなバターナイフができちゃう感動を味わえます。


準 備 ・ 材 料 

材 料

端材・木片(今回は山梨県産・栗の木を使用)を1本

  ※木材の種類は粘りのある堅い木広葉樹がおすすめです。

   杉などの針葉樹は柔らかいので削りやすいですが、
   パキッっと折れることがあります。

道 具

・鉛筆 

・ペン

・糸鋸(いとのこ) 

・小刀 

・紙やすり(粗い〜細かいものを3,4種類ほど(例:#60、#120、#240、#400))

・布2枚(油を塗る用と、仕上げに拭く用。古着等のハギレでも◎)

・乾性油(紅花、ヒマワリ、胡桃、亜麻仁などの植物油)

※万力(あればなお良い)

準 備

・段ボールの上に新聞などを敷き、更に木の板などを置き、作業ができるようにします。

・手順2以降に出てくるような木板を準備して、作業台にできると尚良いです。


つ く り 方

1.木片にバターナイフの形を描きます。

 握りやすさなどを意識して、自分がつくりたい形を想像しながら、まずは鉛筆で下書きし、ペンでなぞります。

 この時、なるべく片側に寄せて描き、木片の元々の直線を活かすと、削る箇所を減らせます。

 ⚠木目の向きに注意。長手方向に木目が流れるようにしましょう。
  木目の向きを間違えると、簡単に折れてしまいます。


2. 上、横、下の3方向から、残す所と削る所がわかるように線を書いてみましょう。


3. 余分な所を糸鋸(いとのこ)でカットします。
  万力などで挟むと、力が入りやすくてオススメです。


4. カットできました。 カットしたことで無くなった線を描いておきましょう。


5. 小刀で削ります。利き手で小刀を持ち反対の親指で刃の背を押しながら少しずつ、慌てずひたすら削ります刃の背を押す親指が動く範囲内で、刃を動かすようにしましょう。

 ⚠利き手(画像は右手)の力だけで無理に削ったり、
  刃の進行方向に指を置くと大変危険です。


6.  描いた線を残しながら削り、線は最後に慎重に削ります。


7.  横から見ると、このようになります。


8. バターナイフの刃の部分は、均等の厚みになるように、両側から慎重に削ります。
小刀の刃先を使うと削りやすいです。


 ⚠撮影のため小刀に手を添えていませんが、必ず刃の背に親指を添えましょう。


9.   両側の厚みが決まったら、中央のやや厚めになっている部分を削ります。小刀を寝かせて薄めに削ります。


10. 刃の先部分は、板に付けて削るとやり易いです。


11.  この削る作業で、できるだけ最終形に近づけます。


12.  目の粗い紙やすりで形を整えます。

最初は#60前後で行います。
この作業で、傷や凸凹した表面を均して最終の形を決めます

 ⚠紙やすりは、数字が小さいほど目が粗く、大きく削れます


13.  形が決まったら、#120→#240→#400(例)と段階的に目の細かい紙やすりに変えながら、磨いていきます。


14.  磨きました!横から見ると、このようになります。


15.  焼印を入れる場合は、この段階で入れます。

 焼き印を入れた後に油を塗ります。

 ⚠先に油を塗ってから焼印をすると焦げますのでご注意ください。


16. 乾性油を布にとり塗っていきます

 塗ると艶と木目が美しく出てきます。別の乾いた布で拭いて、もう一度#400の紙やすりで磨き、さらに油を塗って拭いたら完成です!

※乾性油・・・紅花、ヒマワリ、胡桃、亜麻仁などの植物油で、空気に触れると固まります。

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【つくり方】枝からつくるオリジナル箸

(SNIクラフト倶楽部事務局)

「こもれびアナザーストーリー」Vol.5

作品名『クラフトテープのカゴ』
作者:あーちゃんのカゴ

―今回お話いただいたのは、『クラフトテープのカゴ』を製作されたあーちゃんのカゴさんです。色とりどりに編まれたカゴは、見ているだけで楽しくなります。日頃からクラフトを楽しんでいる様子が伝わるインタビューとなりました。


作品ストーリー

どのようなきっかけで、この作品『クラフトテープのカゴ』をつくろうと思いましたか?

 日頃から手づくりすることが好きで、日常生活の中で必要なものを必要なときに、必要なだけつくるようにしています。

 今回の3つのカゴも、「テーブル上の片づけ用」「孫のトイレトレーニングに使う下着入れ用」「かわいいプレゼント用」と、それぞれ用途があってつくったものです。

 使いやすいもの、よろこばれるものを、と思いながらつくりました。

――手づくりは、自分が欲しいと思うサイズ、量をつくることができていいですね。また、使う側のことを考えてつくられたものは、自然と大切に使いたくなると思います。手づくりが物を大事にすることにつながるのですね。


材料のポイント

材料を探すときの基準や大切にしていることはありますか?

 材料は、自然素材を選ぶようにしています。クラフトテープを留めるときに使用する接着剤の成分にはプラスチックが入っているため、使用を最小限に抑えることを意識しています。

 また、廃棄するときにCO2をできるだけ出さないものを購入時から選んでいます。

 材料の購入には通販を利用していますが、配送時にかかるCO2に配慮して、購入回数を少なくできるよう、材料をまとめて購入することを心掛けています。

――材料を選ぶこと以外にも、使用する量や購入の仕方、廃棄する段階にも配慮されているのですね。小さいことの積み重ねが重要なのだなと改めて勉強になります。


ものづくりスタイル

普段、どのようにクラフトを楽しんでいますか?

 家事の合間に少しずつ、つくります。気分転換になりますし、だんだんと形ができてくると、出来上がりが想像できて楽しみも増していきます。

①「何をつくるか」を決めて、②材料とつくり方の確認をします。
③編む前に、クラフトテープを必要なサイズにカットします
④土台をつくり、⑤本体を編み、⑥仕上げをする、という流れです。

 はじめのうちは小さいものをつくって完成の喜びを味わい、自分にもつくれるという実感を持ちながら、だんだんと大きいものにも挑戦していきました。

(1)クラフトテープを必要なサイズに(クラフトテープは必要な太さに裂くこともできる)
(2)土台づくり(接着剤で固定されるまで、クリップで留める)
(3)本体編みはじめ(ラジオペンチやピンセットは仕上がりを綺麗に、爪楊枝は接着剤を減らすために役立つ)

――完成品を見ると、どのようにつくられたのか、途方もない作業なのではないかと思ってしまいますが、少しずつ出来上がっていくことを楽しみながら、つくられているのですね。
はじめは小さいものからつくってみて、達成感を味わうというのも大切なことだなと思います。


失敗は成功のもと!

ずばり「失敗は成功のもと!」と思う話がありましたら教えてください。

 カゴは、部分ごとにつくっていきます。そのため、力の入れ方など編み方を間違えると、出来上がりの形がゆがんでしまったり、高さが違ったりします。そういったことを何回も経験しながら、だんだんコツを掴んでいきました。

 また、つくりながら考え、配色などを変えていくことができ、小さいものから大きなもの、いろいろな編み方にチャレンジしていくのも楽しみのひとつです。

――できなかったことができるようになるよろこびが、あーちゃんのカゴさんの原動力になっているのですね。また、配色や編み方など、奥が深く、色んな楽しみがありますね。

失敗したところをカバーして、同じようでも、ちょっと違うものに。
何個かつくっていくうちに、段々出来上がりに納得できるようになったカゴ

作品のここに注目

作品のことを教えてください

 カゴの形だけでなく、編み方の違いや、つなぎ目の隠し方、色の組み合わせにも注目していただくと作品をより楽しんでいただけると思います。

 カゴづくりは、何を入れるか考えたり、「これにはこんな形のカゴが良いか」と考えながら思うものに近づいていくワクワク感が楽しいです。また、「次はどんなものをつくろうか」と考える意欲も湧いてきます。

(1)作品の内側
ていねいに編まれた手作業の美しさを感じます
(2)作品の裏側

――様々な組み合わせによって、バリエーション豊富に楽しむことができるのですね。作品を見ていると、あーちゃんのカゴさんがワクワクしながらカゴづくりを楽しまれていることが伝わってきます。つくり手の想いが物にも表れるのだなと思いました。


さいごに

 連載5回目となる「こもれび アナザーストーリー」はいかがでしたでしょうか?

 あーちゃんのカゴさんの、カゴづくりに対するワクワクした気持ちが伝わってくるお話しを伺う中で、私もクラフトの魅力を再認識させていただきました。

 使う量や環境に配慮することなど、手づくりだからこそできることがあるなと思いました。

 また、想像する楽しみや、つくったあとの達成感も、手づくりだからこそ味わえる喜びだと思います。

 私も今、自分にできそうなことからやってみたいと思いました。

 次回は、どんなクラフトばなしを聞くことができるのでしょうか?

 どうぞ次回もおたのしみに~♪♪

(聞き手:SNIクラフト倶楽部 松尾富美子)


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作者インタビュー「こもれびアナザーストーリー」Vol.4
作品名『めぐる季節(刺しゅう)』/ 作者andante

お気に入りをつくってみませんか?

 皆さんは市販のものに満足していますか?

 「デザインは良いけど、使い勝手が」とか、「使い勝手は良いけど、大きさやデザインが」なんていう経験、ありませんか? そんな時は、自分でつくってみることをオススメします。

 私は『日時計日記*』のカバーを作りました。市販品は千円くらいで買えますが、デザインも機能も気に入ったものがなかったのです。家にあった厚紙を芯にして、昔買ったデニムの端切れをかぶせて縫い、違う色のデニムでポケットをつくって、ペンや付箋などを入れられるようにしました。内側には、お気に入りだったシャツの生地を使っています。材料費はゼロ円だけど、すごく気に入ったものができました!

 縫い目は上手とは言えませんが、ひと針ひと針丁寧に縫っています。気に入っていたシャツがちらっと見えるところも工夫しました。今回、設計図から真剣に考えてつくってみて、今まで味わったことのない感動を覚えました。出来上がったカバーだけでなく、製作を通して味わったこの気持ちも、私の大切な宝物になりました。

大好きなデニム生地で、使い勝手もいい。いつまでも使えるような一品に仕上がった

裏地は、デザインが気に入り、7年ほど着ていたカジュアルシャツ。襟元がボロボロになっていたが、何かに使いたいと思い、取ってあった。カバーを開くたびに見ることができ、嬉しいという

『日時計日記』の上下巻2冊が、一緒に入れられるように設計した。持ち歩くには少し重くなったが、『日時計日記』にはスケジュール欄もあるので、2冊セットでカバーに入れて、活用している

* 生長の家白鳩会総裁・谷口純子監修、生長の家刊


(高橋竜矢・SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.118(2020年1月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.42」

朝クラフトのすすめ

 「クラフト作りはしたいけど、時間が取れない」という方は多いと思います。

 私は、路線バスの運転士をしていて、毎日12時間以上、長い時は16時間勤務の日もあり、生長の家の活動もしているので、毎朝の15分をクラフト作りの時間にしています。

 もちろん15分では完成しないので、ちょこちょこと作っていきます。一気に完成させたい気持ちを抑えて何日もかけることで、新たなアイデアが湧いてきたり、続きが楽しみになったりするのです。

 毎朝、クラフト作りに没頭することで、さわやかな朝の時間を過ごすことができ、不思議と疲れもイライラもなく、穏やかな心で過ごせることに気がつきました。

 さらに、ものを生かす喜びや、新たないのちを吹き込む感動が得られ、心が豊かになることを感じています。朝クラフトを通して、ここに本当の喜びの生活があるのだと、実感しています。

カレンダーを編み込んで作るリングファイル。
①カレンダーを1cm幅に折って、縦に編む部分と横に編む部分を作る。縦は強度を付けるため、中に厚紙を入れる。(写真の伝票用のリングファイルは、縦はカレンダーの裏面の白にして、横はカレンダーの絵柄を生かしている)

② ①の縦と横を編み込み、縁を切りそろえて、マスキングテープを貼る
③ 適当なサイズのカードリングを2つ取り付けて完成

写真は、カレンダーを再利用して作った紙袋

(高橋竜矢・SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.117(2019年12月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.41」

リメイクから始める豊かなクラフト生活

 20代前半の頃、物質的に豊かで、お金さえあれば何でも出来て幸せだと錯覚していました。両親に反抗し、勝手に一人暮らしを始めたものの寂しさが募りました。それを紛らわそうと愛車の改造に、グルメに、ファッションにと、お金を使っていました。気がつけば、高級車1台分の借金を抱えてしまっていたのです。


 借金のため、節約しなければならなくなり、自分で直せるものは自分で直すようになりました。バッグの補修から、友人からいただいたジーンズの裾上げまで、買うよりもはるかに低コストで出来たことが、私の生活を支えました。その後、リメイクは当たり前になり、「立派なクラフト生活だ」と人から言われたことが嬉しくて、SNIクラフト倶楽部に入部しました。そして、鞄の壊れた取っ手を直し、倶楽部のメンバーに紹介すると、多くの方から讃嘆のコメントをいただきました。

取っ手を付け替え、鞄に新しい命が吹き込まれた

鞄はリサイクルショップで購入したもの。取っ手が壊れてしまったので外し、ハトメを付けて、重さが分散するよう工夫することにした

中学生の頃から愛用していた聖経の表紙と箱が傷んだので、張り替えた。高橋さんにとって、リメイクはクラフトの原点


 そのことで、より一層リメイクする楽しさを知り、自分で手を加えたことで愛着が湧き、物を大切に使うようになりました。


(高橋竜矢・SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.116(2019年11月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.40」

ひと手間加える楽しさと喜び

 私がクラフトの中で一番好きなのは、空いた容器などに手を加えて、見て楽しく、使って嬉しいものに変身させることです。
 佃煮の木箱は、ペーパーナプキンを貼り、蝶番を取り付けてフタを開閉できるようにし、アクセサリー入れにしました。元は黒色だった海苔の空き缶も、端布やレースを使って明るくイメージチェンジ! ジャムの空きビンには、切り抜いたラベルを貼り、フタは布で覆って綿を入れ込み、ピンクッションとしても使えるようにしました。美容クリームの容器は、紙やすりで表面の印刷を消してからペーパーナプキンを貼り、ビーズなどの小物入れに。

使い終わった佃煮の木箱、ジャムの空きビン、美容クリームの容器が、おしゃれな雰囲気に生まれ変わった
佃煮の箱には蝶番を付けて、開閉式に

 空き箱はきれいな絵や写真のカレンダーを貼って、手作りのお菓子を差し上げる時に使っています。すると相手の方が、「箱がもったいない」と返して下さるので、また別の方へと何度も行ったり来たりして、有効活用してもらえる喜びを感じています。今では“空く前”から、「これはどんな風に変身させようかな」と考えるのが、楽しみになりました。

空き箱もカラフルに変身し、手作りお菓子の箱に

(H・N SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.111(2019年6月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.35」

※この記事は2019年に執筆したものです

娘の披露宴を手づくりで演出

 結婚が決まった三女から、披露宴会場のウェルカムコーナー作りを頼まれました。娘からは和風と洋風、2つのコーナーを作りたいという希望があり、洋風の方はオーガンジーなどで白とピンクのバラの花を作り、それをハート型の段ボールに隙間なく貼って、飾りました。

布のバラをハート型のダンボールに貼って飾った

 和風コーナーは、和紙や折り紙を使って、花くす玉やブーケ、祝い鶴などを作りました。その他には、ウェルカムボードのキットを完成させたり、小物を準備したりしました。その際、1回しか使えずリユース出来ないものや、プラゴミになるバルーンなどは避けました。
 今回の飾り付けで使ったものの中には、ウェディング関係のリユース品を扱うサイトで、三女が購入したものもあります。そのサイトでは“お古”ではなく“幸せのリレー”という言葉で商品が紹介されていて、素敵だなと思いました。

三女の披露宴会場の和風ウェルカムコーナー。中央の額、和紙の花くす玉、花束、祝い鶴などを手づくりした。
手づくりした花くす玉、花束、祝い鶴

 一連の準備期間中、試行錯誤を繰り返す毎日ではありましたが、それよりも手伝わせてもらえる喜びの方が大きくて、こんな機会を与えてくれた娘に感謝の思いでいっぱいです。

(H・N SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.110(2019年5月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.34」

※この記事は2019年に執筆したものです

古着を活かして、オリジナルカーテンをつくる

 2年間かけっぱなしだったキッチンの収納棚の目隠しカーテンが色褪せてきて、気になっていました。そこで、襟が擦れて着られなくなった白のワイシャツ2枚と、チェックのシャツ1枚で、新しくカーテンを作ることにしました。

手作りしたキッチンの収納棚の目隠しカーテン

 上下2つに分け、丈が短い上のカフェカーテンは、ワイシャツの袖の部分を開いてつなぎ合わせ、チェックのシャツで縁どりしました。下の丈が長い方も、シャツ2枚の身頃の部分をつなぎ合わせただけで、上と同じようにチェックのシャツを縫い合わせて統一感を出しました。

チェックのシャツの端切れで、可愛く縁取り

 サイドのミニカーテンは、シャツのポケットの部分をそのまま付けて、すぐ使えるようにキッチンキャップ入れにしました。出来上がったものをかけるとパッと明るくなり、キッチンに立つのが楽しくなりました。

シャツのポケットをそのまま縫い付け、キッチンキャップ入れとして活用

 気になっていたことが解決し、心が軽くなったのが嬉しく、新たに購入しなくても、古着をリメイクしてお気に入りのカーテンが出来たことに、とても満足しています。

(H・N SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.109(2019年4月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.33」

※この記事は2019年に執筆したものです