手づくりで父娘のコミュニケーション

 新型コロナウイルスの影響により、在宅勤務が始まった昨年春頃のこと。ふと気がつくと、身近な材料で作れて、楽しめるクラフトはないか考えるようになっていました。
 その頃は、高校生の次女が休校で友達にも会えず、学校から送られてくる宿題をこなすために机に向かう日々を送り、元気がなさそうでした。ある日、外を見ると結構風が吹いていて、「そうだ! 娘と凧揚げをしよう」と思いつき、凧を手づくりしました。段ボールで骨組みを作って新聞紙を張り、新聞紙の尾を付け、凧糸を結べば完成です。早速、娘に声をかけると、意外と素直に付き合ってくれました。

段ボールで作った骨組みは、縦横39cm、幅2cm。3対7の比率でクロスさせる。クロスしている部分は段ボールを重ねて補強。新聞紙は破れないように四辺を織り込んである

 目線をあげる程度の高さですが、手作りの凧が揚がると娘はとても楽しそうでした。風のない時は、吹いている場所を探しながら歩くとちょっとした散歩にもなり、全く風のない時は2人で走って「自分の方が速い!」と競争しながら揚げました(笑)。試行錯誤しながら工夫を凝らした凧となりましたが、そのユニークな手作り感がかえって親子の距離を縮めてくれました。

手づくりした段ボール凧を揚げる

(尾身和洋 SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.132(2021年3月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.56」

※この記事は2021年に執筆したものです