いつやる?

 “森の中のオフィス”の家具の多くは、東京・原宿の事務所から移転と共に持って来たもの。大切に使っているつもりだけれど、長く使っていると壊れてしまうこともある。


 私の勤務する部署にも、座面のカバーが破れて、中のスポンジが露出してしまった椅子がひとつあった。備えられている椅子の数は室員よりひとつ多いので、全員座るには問題無い。「あとで時間があるときに直そう」そう思って、部屋の隅に半年以上放置した頃、私の部署に、新たに人が増えることになった。


 椅子が足りない!!(足りてるけど、使えない!!)


 慌てて、もう一人の女性職員と、端布や強度のある太い糸を用意して、ちくちく縫い始めた。スポンジが出て来ないよう、裏面でしっかりと縫い止める。始めてしまえば、1時間もかからずに直すことができた。思い立った時に行動に移してしまえば良かったのだ。端布なので、色が全然違うのが少し気になるけれど(笑)。

(H.M・SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.85(2017年4月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.10」

自分で直すことで、より大切に思えるモノに

 10年ほど前、メガネを買った時にサービスでついてきたメガネケース。最近、触るたびに表面がボロボロとはがれてくるようになった。新調するのは簡単で、お店には様々な形や色のものがあったけれど、今使っているものより素敵と思えるものは無かった。サービスでついてきたこのメガネケースは、10年使っている間に私の大切なものになっていたのだと気づいた。


 家にある端布を木工用ボンドで貼り付けて直すことを思いついた。もし失敗したら諦めて買い替えればいいのだ、と軽い気持ちで、でも慎重に、シワが寄らないように、角がかさばらないように、ふたがうまく開閉できるように、じっくり時間をかけて作業した。


 出来上がりは、布に少しボンドが染み出たり、ふたの裏の布を切り過ぎて角に元の色が見えたりしているけれど、真剣に向き合って直したメガネケースは、より愛おしくなった。以前は鞄にポイッと投げ入れていたけど、今はそうっと。


(H.M・SNIクラフト倶楽部)

『白鳩』誌No.82(2017年1月号)「つくる、祈る、日々の生活 No.7」

そうじ用具に新しい生命を吹き込む

 

職場にあるシュロのほうきたち
だいぶ年季が入り、毛先が曲がって使いづらくなったほうき。
ここ数週間、だんだんと使われなくなっていき、役目を終えそうな雰囲気がありました。

とうとう、破棄して新しいものに替えようか、という話が出ました。

買い換えを思案していた頃、備品管理を行っている部署の先輩にちょうどお話しをする機会がありました。

「毛先を切ったら、まだまだ使えるわよ~」

と優しく教えてもらい、

「そうか!!!!!!」とハッとするものがありました。

早速教えてもらった通りに
仕事の合間をぬって、外のデッキでハサミを入れていきます。
ちょき、ちょき、ちょき、ちょき・・・。

シュロは固くて、なかなか作業は進みません。

それでも切っているうちに、
なんだか心があたたかくなっていく感覚がしました。

毎週一緒にそうじをする職場の方々への感謝

まだ使えるのに破棄しようとして申し訳ない気持ち、

ほうきに絡みついているホコリや髪の毛さえも、ほうきが私たちの手の代わりとなって働いてくれているんだ、とありがたく感じてくるのでした。

決してまっすぐではないし、短くなってもいい、
そんな思いで整えてみること2日間。

できたー!!

使いやすくなって、まだまだ使えるようになりました。

道具をていねいにメンテナンスし、新しい生命を吹き込む。

シュロの切った毛先の束は、薪ストーブのたき付けで再利用。

大量生産、大量消費の時代ですが、

1人の先輩の言葉をきっかけに、

捨てること無く、むだもでず、新しく買うこともなく、
大切に使うことができました。

そしていちばん喜んでいるのは、
この「気づき」をもらったわたし自身の心なのでした。

(SNIクラフト倶楽部 松尾純子)